更新日:2023年3月10日
公開日:2018年2月3日
車が動かせなくなる原因で多いのが「バッテリー上がり」です。
ドライバーに必要とされる最低限の知識として、「バッテリー上がり」の対処法は知っておいたほうがよいでしょう。
バッテリー上がりを見極めるポイントと、一般的な対処法をご説明します。
バッテリーは使っているうちに劣化して、充放電の能力が低下します。
また、車が発電する電力より消費電力が上回るとバッテリーの蓄電量が下がり、バッテリー上がりを起こしてしまいます。
バッテリーの電力は、主にエンジンを始動する際に消費されます。走行中はエンジンの動力による発電によって電装品は駆動しますが、消費電力が発電量を上回るとバッテリーの電力も使われます。
電気は主にヘッドライトやルームランプ、エアコンなどの電装品を動かすのに使われています。
エンジンを始動したとき、セルモーター(エンジンを始動させるモーター)が回らない、あるいは回そうとしても力なくカチカチという音だけが聞こえる場合はバッテリーが上がっている可能性が高いです。
エンジンの始動を試みた後は、電装品の作動を確認してください。
キーを挿せばエンジンをかけなくても通常はライトの点灯やパワーウィンドウを動かせるはずです。
もし作動しないなら、やはりバッテリーに原因がある可能性が高いといえるでしょう。
またバッテリー以外にも、発電機やセルモーターが故障している場合もあります。
車を始動させようと、何度もエンジンをかけようとする方がいます。
これではさらにバッテリーに負担がかかり、劣化が進んでしまいます。
バッテリーが弱っている状態でエンジンの始動を試みても、ますますバッテリーを弱らせてしまうだけです。エンジンを頻回にかけるのは、やめましょう。
バッテリーが上がったことがわかると、しばらく待ってみようと思う方がいらっしゃるかもしれません。
数分ならともかく、数時間待って様子を見たところで、弱ったバッテリーの能力は回復することはなく、むしろ状況が悪くなる可能性があります。
バッテリー上がりがわかったら、できるだけ早いうちに対処しましょう。
バッテリーが上がってしまったときの対処法としては、主に3つの方法があります。
車のトラブルを手助けしてくれる、ロードサービスに救助を要請します。
場所や会社にもよりますが、おおよそ45分程度で駆けつけてくれるでしょう。保険会社のロードサービスの場合、無料で対応してくれる場合もあります。有料の場合の費用の目安は1万円前後+高速道路料金(利用する場合)と考えてください。
たとえばチューリッヒのロードサービスの場合、バッテリー上がりのトラブルは無料で対応します。
しかも時間の制限もなく、エンジンを始動(ジャンピング)してくれます(ただし、保険期間中1回のご利用です)。
ジャンピングスタートとは、他の車(救護車)から電気を分けてもらい、エンジンを始動する方法です。具体的な方法は、この後くわしくご説明します。
ジャンプスターターとは、ジャンピングスタートを他の車なしでもできるようにする携帯用の小型バッテリーのことです。
また、自動車用バッテリー充電器を使って、電気を充電する方法もあります。
どちらもカー用品店で1万円前後から購入できるため手軽に入手でき、初心者でも簡単に操作可能です。
ハンディサイズのジャンプスターターが、手頃な価格で手に入ります。モバイルバッテリーとしても使えるので、車載しておくといざというときに役立ちますよ。
前述の②でご説明した「ジャンピングスタート」について、具体的な方法をご説明します。まずは、必要なものを準備します。
ジャンピングスタートに必要なものは、以下の通りです。
ジャンピングスタートに必要なもの |
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なお、救援車は故障車と同じ電圧でなくてはなりません。
一般的な自動車には12V車と24V車(大型トラックなど)があるので、車のマニュアルを見て確認しましょう。
救護車のバッテリーが故障車に比べて小さい場合は、ジャンピングが行えないことがあります。なお、電気自動車やハイブリッドカーは構造上、救援車として使うことができません。
「ブースターケーブル」とは、バッテリーが上がってしまったときに使用するカー用品です。
赤と黒、2本のケーブルがワンセットになっており、両端が洗濯ばさみの形をしています。
カー用品店に行けば数千円〜15,000円程度で入手できますが、車種によってケーブルの種類があるので、説明書で確かめてから購入しましょう。
ジャンピングスタートの前には、必ずブースターケーブルの点検を行います。
被覆は剥がれていないか、ケーブルは断線していないか、クリップが損傷していないかなどをチェックしておいてください。
異常があるものは、事故の原因になるので使用できません。
ブースターケーブルはバッテリー上がりに備え、トランクルームに入れておくとよいでしょう。
準備ができたら、次のような手順に従ってジャンピングスタートを進めてください。
(A) | 故障した車と救援車を近づけエンジンを止めて、両車のボンネットを開ける。 |
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(B) | ヘッドライトやルームランプ、エンジンキーがオフになっているのを確認する。(オンだと電気が急に流れ、故障の原因になる) |
(C) | ブースターケーブルをつなげる順番 1.故障車のプラス端子に赤いケーブルをつなげる 2.救援車のプラス端子に赤いケーブルをつなげる 3.救援車の−端子に黒いケーブルをつなげる 4.故障車のエンジンブロックなどの金属部かバッテリーの−端子に黒いケーブルをつなげる ※ケーブルを繋ぐ場所は車種によって異なるため、説明書で確認する。特に繋ぐ順番は重要なので、しっかりとチェックする。 |
(D) | 救援車のエンジンをかける(AT車はパーキング、MT車はニュートラルに入れて、サイドブレーキをかける)。 |
(E) | しばらく(5分ほど)そのまま待つ(充電する)。 |
(F) | 救援車のアクセルを踏む。エンジン回転数を1,500〜2,000回転くらいに高く保つ。 |
(G) | 故障した車のエンジンをかける。 |
無事にエンジンがかかったら、見事ジャンピングスタートの成功です。救援車のエンジンを止めて、繋いだときと逆の順番でケーブルを外してください。
ブースターケーブルの接続は、極性やつなげる場所を間違えるとバッテリーを破損させたりすることもあって危険です。十分に知識を得てから、作業するようにしましょう。
ここまでの話は、基本的にガソリン車を想定してご説明しました。バッテリーが上がった車が電気自動車やプラグインハイブリッドカーの場合は、特別な注意が必要です。
これらの車にはモーター駆動用と補機類用、2種類のバッテリーが積んであります。上がってしまったのが補機類用バッテリーの場合は対処可能ですが、モーター駆動用は電圧が高く、素人が自力で対処するのは危険です。
もし、モーター駆動用のバッテリーが上がってしまったのなら、無理せずメーカーのサポートサービスやロードサービスに連絡したほうがよいでしょう。
ジャンピングスタートやジャンプスターターを使う対処法は、あくまでも「応急処置」に過ぎません。
バッテリーの状態をプロに確認してもらう必要がありますし、バッテリー以外にも問題のある箇所があるかもしれません。
エンジン再始動後は、必ず速やかにお近くの自動車整備工場などに向かい、専門家に車を見てもらってください。場合によっては、バッテリーを交換する必要性も出てくるでしょう。
車の交通量が多い一般道でバッテリーが上がってしまうと、周囲の交通を妨げ、事故につながる可能性もあります。不測の事態にならないよう、バッテリーの状態を日ごろから確認しておくよう心がけましょう。
※記載の情報は、2023年2月10日時点の内容です。
1965年生まれ。芝浦工業大学工学部機械工学科卒。トヨタ直営販社の営業マン、輸入車専門誌の編集者を経て自動車ジャーナリストとして独立。さまざまな自動車雑誌の他、エンジニア向けのウェブメディアなどに寄稿している。
近著に『電気自動車用パワーユニットの必須知識』(日刊工業新聞社)、『エコカー技術の最前線』(SBクリエイティブ)、『図解カーメカニズム基礎講座パワートレーン編』(日経BP社)がある。
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員
※本記事の内容は特段の記載がない限り、チューリッヒの保険商品ではなく、一般的な保険商品の説明です。
※チューリッヒの自動車保険に関する内容について
本記事内で紹介しているチューリッヒの自動車保険に関する内容につきましては、ご契約の保険始期および契約条件によって、ご契約のお客さまに適用されない場合がございます。
必ずお客さまの保険証券、約款、重要事項説明書の記載などをご確認ください。
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