更新日:2022年8月5日
公開日:2021年4月19日
自動車保険は「自賠責保険(強制保険)」と「自動車保険(任意保険)」の2つに分けられます。
自賠責保険は強制保険とも呼ばれています。被害者救済を目的とした保険であり、保険金は最低限に抑えられています。
自賠責保険ではカバーしきれない損害を補償する保険が任意保険です。
また、自動車保険には、自賠責保険と任意保険だけではなく、補償の対象や範囲についての種類があります。
自動車保険の種類と選び方についてご説明します。
自動車保険の種類は、まず、自賠責保険(強制保険)と任意保険があります。
自賠責保険は、自動車損害賠償保障法(自賠法)に基づき、自動車の保有車すべてに加入が義務づけられている保険です。
強制的に加入を義務づけられているため、「強制保険」とも呼ばれています。
自賠責保険では、損害賠償の責任を負ったときに支払われる保険金が、被害者1名について限度額が定められ、死亡の場合で最高3,000万円、傷害の場合で最高120万円となっています。
自賠責保険の証明書を車やバイクに積んでいないと、それだけで30万円以下の罰金となります。
また、自賠責保険の有効期間が切れている場合は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金となります。
任意保険は、自賠責保険の限度額をはるかに超える賠償金が必要な場合の事故などに備えるために任意で加入する自動車保険です。
自賠責保険が強制的に加入することを義務付けられている「強制保険」であるのに対し、任意で加入することから「任意保険」と呼ばれています。
高額な賠償金が発生した場合、自賠責保険では足りない部分を補います。
補償内容は、対人、対物、人身傷害補償、搭乗者傷害、車両補償などの種類があり、各種の役割を持つ保険が組み合わさっています。
必要に応じてリスク要因を選べる一方、保険会社にリスクが高いと判断された年齢や車種等の要因によって、保険料が高額になる場合もあります。
任意保険は、保険会社の保険内容をよく調べ、比較してから選ぶことをおすすめします。
自賠責保険 | 自動車保険(任意保険) | ||
---|---|---|---|
相手方への補償 | 対人賠償 | △ 限度額 死亡:3,000万円まで 傷害:120万円まで 後遺障害:75万円〜3,000万円まで(※)
|
○ |
対物賠償 | × | ○ | |
自分への補償 | 人身傷害 | × | ○ |
人身傷害定額払 搭乗者傷害 |
× | ○ | |
車の補償 | 車両保険 | × | ○ |
任意保険は損害保険会社が販売し、販売スタイルによってダイレクト自動車保険と代理店型自動車保険に分かれます。
ダイレクト自動車保険は、営業拠点を持たないことから店舗経費、人件費などの固定費を軽減でき、その分保険料が抑えられるのが特徴です。
また、金融自由化を背景とする保険商品の自由化により、リスクを細分化した自動車保険がダイレクト自動車保険を中心に多様化しました。
ダイレクト自動車保険は、より顧客に合った補償内容を提案し、むだのない最適化された補償内容を提案しています。
代理店型自動車保険は、担当者が保険を検討する顧客に直接会って、自動車の利用状況や誰が運転するかなどの情報を聞き取り、適切な保険商品を提案します。
自動車保険の複雑な補償内容などの把握や実際に事故が起こった場合の相談など、直接面談してくれる担当者がいると安心です。
一方で、担当者の「人」によってサービスの質が左右される側面があり、人件費や事務所経費など代理店システムを維持するコストとして、保険会社に支払う代理店手数料が保険料に上乗せされています。
自動車保険(任意保険)は、いくつかの補償の組み合わせで構成されています。
自動車保険の補償は、「相手方に対する補償」、「ご自身・同乗者に対する補償」、「自分の車に対する補償」の3つの種類に大別できます。
事故の相手(人や物)に対する補償 | 賠償責任保険 |
---|---|
自分および同乗者に対する補償 | 傷害保険 |
自分の車に対する補償 | 車両保険 |
前述した3つをさらに細かく分けると、自動車保険は次のように分類することができます。
自動車保険(任意保険) | 相手方への補償 | 対人賠償保険 |
---|---|---|
対物賠償保険 | ||
ご自身・搭乗者への補償 | 人身傷害保険 | |
人身傷害定額払保険 | ||
搭乗者傷害保険 | ||
自損事故保険 | ||
無保険車傷害保険 | ||
車の補償 | 車両保険 |
自動車保険の加入は義務ではありません。
しかし、加入していないと万が一の事故の際、十分な補償を受けられない可能性があります。
車を運転する人は加入しておくべき保険だと言えるでしょう。
なお、チューリッヒの自動車保険では基本となる補償にオプション補償として車両保険やその他の特約をつけることができ、一人ひとりにあった保険設計が可能です。
詳細はこちらをご覧ください。
自動車保険の選び方を考えるうえで、それぞれの補償内容を理解することが重要です。
それぞれの保険の主な補償内容を種類別にご紹介します。
相手方の「人」に対する補償です。
事故によって乗車中の人や歩行中の人にケガをさせたり、死亡させたりしたときの法律上の損害賠償に対し、自賠責保険を超える部分に保険金が支払われます。
歩行者、相手の車の搭乗者などが補償の対象となります。
相手方の車など「物」に対する補償です。
事故によって相手の車、道路沿いにある電柱やガードレールなどの財物に損害を与え、法律上の賠償責任を負った場合に保険金が支払われます。
また、店舗に突っ込み、事故の影響によってその店舗が営業できない期間があった場合の休業損失なども補償対象となります。
ただし、自宅の車庫や塀などを壊してしまった場合は適用されません。
対物賠償保険で補償する事故で、相手方の車に時価額を超える修理費用が発生したときの補償です。
対物賠償保険では、相手方の車の時価額を超える修理費用に対しては保険金が支払われません。
この場合、超過分の修理費用について、相手方とトラブルが発生することがあります。
対物超過特約では、時価額を超える修理費用に被保険者の過失割合を乗じた額が保険金として支払われます。
ただし、事故日の翌日から起算して6ヵ月以内に相手自動車が実際に修理されたときに限ります。
支払限度額は、50万円または無制限を設定する保険会社もありますが、無制限が設定できるのは当社のみとなっております。詳細はこちらをご覧ください。
契約自動車の事故によって乗車中の人が死亡または傷害を負った場合に、過失割合に関係なく、治療費や休業損害、逸失利益などの実損害額を補償する保険です。
受け取れる保険金は加入時に設定した保険金額までになりますが、事故後の示談交渉を待たずに、損害額の決定後速やかに保険金を受け取れるなどのメリットがあります。
人身傷害定額払保険とは、自動車事故により傷害を被ったり死亡した場合に、あらかじめ定めた死亡保険金・後遺障害保険金・医療保険金をお支払いする「定額払い」の補償をする保険です。
人身傷害定額払保険には、人身傷害保険の補償タイプと同様の補償範囲が適用されます。
※当社の場合、保険始期日が2022年1月1日以降のご契約に基本補償として付帯されます。
詳細はこちらをご覧ください。
搭乗者傷害保険とは、契約中の車に乗車中の人が死亡または傷害を負った場合に備えた保険です。
死亡保険金、後遺障害保険金、医療保険金などが支払われます。
当社では、現在、搭乗者傷害保険は扱っておりません。保険始期日が2021年12月31日以前のご契約に付帯されていますが、保険始期日が2022年1月1日以降のご契約では搭乗者傷害保険に代わり人身傷害定額払保険が付帯されます。詳細はこちらをご覧ください。
電柱との衝突や崖での転落などの単独事故や、相手の過失がゼロである交通事故において、契約自動車の運転者や同乗者が死亡または傷害を負った場合に保険金が支払われます。
当社では、現在、この補償は、保険始期日が2013年9月30日以前のご契約のものとなります。2013年10月1日以降、自損事故は人身傷害保険で補償されます。詳細はこちらをご覧ください。
保険に加入していない車や加入していても補償内容が不十分な車との事故により、運転者や同乗者が死亡または後遺傷害を負い、相手方から十分な補償を受けられない場合に保険金が支払われます。
無保険車とは、被保険者を死亡または後遺障害を負わせた相手の車で、次のいずれかのケースに該当する自動車のことを指します。
詳細はこちらをご覧ください。
自動車保険は対人や対物の賠償だけでなく、自分自身のケガ、それも相手が無保険車の場合の事故などもカバーしてくれるなど、特約が充実しています。
車両保険とは、自分自身の車に対する保険です。車両保険は保険会社によって補償範囲が異なっています。
補償範囲には、車対車の衝突、接触事故、自損事故、物の落下、当て逃げ、盗難、台風などほとんどの車両事故が補償対象となる「一般型」と呼ばれるものがあります。
また、一般型よりも補償の範囲を限定し、車対車の衝突、接触事故、または盗難、いたずらなどの主に車の走行に起因しない事故について補償する「限定型(エコノミー型)」と呼ばれるものもあります。
補償範囲が異なるので、ご自身にあったタイプを選ぶことが大切です。
それぞれの補償内容や補償範囲を理解したうえで、自動車保険の加入手続きや見直しに役立てましょう。
自動車保険(任意保険)は名前の通り、ドライバーが自分の意志で加入、または非加入を決定できる件です。
2021年度の任意保険の対人賠償保険の加入率は、全国平均で約75%※です。
高い加入率だと感じられるかもしれませんが、約25%の人は対人賠償保険に加入せずに、自動車を運転しているということになります。
つまり、4台に1台の割合で対人賠償保険に未加入のクルマが走行しているということです。
※出典:2021年度自動車保険の概要 第19表 任意自動車保険 都道府県別普及率表 損害保険料算出機構
任意保険未加入で事故を起こした場合、どのようなことが起きるでしょう。
まずは強制加入である自賠責保険の補償限度額を確認しておきましょう。
損害範囲 | 補償限度額(死傷者1名につき) |
---|---|
傷害による損害 | 120万円 |
後遺障害による損害 | 傷害の程度に応じて75万円〜4,000万円 |
死亡による損害 | 3,000万円 |
自賠責保険では、死亡による損害の限度額は3,000万円、後遺障害による損害では最大で4,000万円までしか補償されません。
認定 総損害額 |
裁判所 | 判決年 | 被害者 性別年齢 |
被害者職業 | 被害態様 |
---|---|---|---|---|---|
5億2,853万円 | 横浜地裁 | 平成23年 | 男41歳 | 開業医 | 死亡 |
3億9,725万円 | 横浜地裁 | 平成23年 | 男21歳 | 大学生 | 後遺障害 |
3億9,510万円 | 名古屋地裁 | 平成23年 | 男20歳 | 大学生 | 後遺障害 |
3億8,281万円 | 名古屋地裁 | 平成17年 | 男29歳 | 会社員 | 後遺障害 |
一方で、事故により相手方に後遺障害を負わせてしまい、介護が必要になったときや死亡させてしまったときには、裁判で高額な損害額が認定されることがあります。
上記の表は、実際に裁判で高額な賠償判決が下された例です。
認定された総損害額は億単位となっており、自賠責保険だけでは補償の範囲、補償金額ともに十分とは言えず、とても自己負担できるような金額ではありません。
自動車保険に加入していない状態での運転は多大なリスクが伴うのです。
また、相手が自動車保険に加入していないケースも考えられます。相手が保険未加入の場合、自分に過失のない事故であったとしても賠償請求を行っても十分に支払ってもらえないケースもあります。
そのようなときに、自分自身が任意保険に加入していれば、保険で治療費などを賄える可能性もあります。
加入は任意とはいえ、自動車保険に入らずにクルマを運転することは考えられません。安全運転をするのと同じように自動車保険はドライバーにとって不可欠な存在と言えるでしょう。
自動車保険には、加入が義務付けられている自賠責保険とドライバーが任意で加入する自動車保険があります。
自動車保険(任意保険)では、事故の相手方に対する補償や自分や同乗者に対する補償、車両に対する補償などを組み合わせて加入します。
自動車保険(任意保険)に加入していない場合、自賠責保険では賄えない高額な賠償を求められる可能性があります。
誰でも事故を起こす、または事故にあう可能性はあり、万が一のためにも自動車保険(任意保険)は加入しておくべき保険です。
自動車保険の種類や選び方については以下の記事でもご説明いたしますので、あわせてご参考にしてください。
※記載の情報は、2022年6月1日時点の内容です。
1965年生まれ。芝浦工業大学工学部機械工学科卒。トヨタ直営販社の営業マン、輸入車専門誌の編集者を経て自動車ジャーナリストとして独立。さまざまな自動車雑誌のほかエンジニア向けのウェブメディアなどに寄稿している。
近著に『エコカー技術の最前線』(サイエンス・アイ新書)、『カーメカニズム基礎講座パワートレーン編』(日経BP社)がある。企業の社員ドライバーに対し交通事故低減とマナー向上を目指す講習を行なうショーファーデプトで、チーフインストラクターを務める。
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員
これに対し、搭乗者傷害保険では、運転していた本人と家族を含めて自分の車に同乗していた人が補償の対象となり、保険金が支払われます。
※搭乗者傷害保険は、保険始期日が2021年12月31日以前のご契約で付帯が可能です。
※本記事の内容は特段の記載がない限り、チューリッヒの保険商品ではなく、一般的な保険商品の説明です。
※チューリッヒの自動車保険に関する内容について
本記事内で紹介しているチューリッヒの自動車保険に関する内容につきましては、ご契約の保険始期および契約条件によって、ご契約のお客さまに適用されない場合がございます。
必ずお客さまの保険証券、約款、重要事項説明書の記載などをご確認ください。
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