自動車保険の検討中や、実際の契約の際に「ロードサービス」という言葉に触れることがあります。「困ったときにかけつけてくれる」というイメージはできるものの、詳しい内容まではよく知らない…という方、また、自動車保険に付帯するロードサービスを使うと「等級が下がって、翌年の保険料が上がってしまうのではないか」、「大きな故障時でないと利用できないのではないか」などと思って活用していないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
多くの保険会社が自動車保険にロードサービスをセットしてさまざまなサービスを無料で提供しています。ここでは、自動車保険のロードサービスをより深く知り、賢く使う方法について解説します。
車の運転にはトラブルがつきものです。車のパンク、ガス欠、バッテリーが上がった、車が自力で走行できなくなった…など事故ではない、さまざまなトラブルが起きたときに現場に駆けつけて応急処置などのサービスをしてくれるのが「ロードサービス」です。
自動車保険の「ロードサービス」は自動車保険(任意保険)に付帯するサービスで、「ロードアシスタンス」や「アシスタンスサービス」などと呼ばれることもあります。各保険会社、それぞれカバーする範囲や細かいサービス内容が異なりますので、サービス内容や料金を知ってロードサービスをご活用ください。
ほとんどの自動車保険にはロードサービスがセットで付いています。
基本となる保険に加入さえすれば、車両保険の付帯の有無に関係なく自動的にサービスを受けられるのです。ただし、一部では、ロードサービスがオプション(特約)や、車両保険の付帯が条件となっていることもありますので、保険加入の段階でしっかりと確認しておきましょう。
「ロードサービスを利用すると等級が下がって、翌年の保険料が上がってしまうのでは」と思っているのなら、それは間違いです。
保険の等級が下がるのは「保険金が支払われる事故があった」場合ですのでロードサービスを利用しただけでは、等級や保険料に影響はありません。
たとえば、ドライブ中のパンクやキー閉じ込みをロードサービスで対応してもらった場合であれば、相手や自分の車、そして乗っていた人への保険金支払いが発生しません。仮に有料の対応となった場合でも、そのお金は保険金ではなく自分が支払うことになります。
ただし、事故が原因で、ロードサービスに加えて車を修理するために車両保険を利用した場合は、この限りではありません。車の修理や相手への補償などで保険金を請求する場合は、保険金の支払いが発生しますので、等級が下がります。
ドライブ中などの出先に限らず、多くのロードサービスは自宅におけるトラブルにも対応可能です。キーの閉じ込みやバッテリー上がり、ガス欠などが考えられます。ただし、保険会社によっては、自宅へのロードサービスは対象外となっている場合があります。契約時に確認をしておきましょう。
また、自宅にある長期間動かしていない車を整備工場に運ぶ、といったケースについても保険会社によって解釈が異なりますので、問合わせが必要です。
では、自動車保険に付帯されたロードサービスは、具体的にどのようなサービスがあるのでしょうか。
故障やトラブルに対し、その現場で応急的な処理をする、という種類のサービスです。なお、あくまで応急処置ですので、その後の修理についてはロードサービスの対象外です。車両保険を使って修理するか、自己負担で修理することになるのでご注意ください。
半ドアやライト・室内灯の消し忘れなどによってバッテリーが上がってしまった場合は、車にケーブルをつないで一時的に電気を共有し、エンジンの始動を補助するジャンピング作業を行います。
チューリッヒでは、ジャンピング作業は、保険期間中1回まで無料ですが、バッテリー充電・交換は無料サービスの対象外となります。
車の鍵を車内に置いたままドアを施錠してしまい、車内に入れなくなってしまった状態を「キー閉じこみ」といいます。
チューリッヒでは、キー閉じこみの解錠は、保険期間中1回まで無料で対応します。
原則として、専用特殊工具を使用したなるべく車を傷つけない方法(ピッキングなど)で解錠作業を行います。
ガス欠の場合、ほとんどの保険会社で「1年に1回」もしくは「保険期間中に1回」という回数制限を設けていることが多いです。
チューリッヒでは、ガス欠時のガソリン代を10リットルまで、保険期間中1回まで無料で対応します。(ロードサービスを付けるかどうか自分で選べるチューリッヒのネット専用自動車保険を除く)
チューリッヒでは、タイヤがパンクしてしまった際は、車に標準装備されているスペアタイヤへの交換を無料で行います。スペアタイヤへの交換が困難な場合は、レッカー車でご指定の修理工場まで車を移動します。
タイヤが側溝に落ちるなど落輪してしまった際は、車の引き上げ作業を行います。
チューリッヒでは、ジャッキやけん引ロープなどで引き出せる程度の落差1m以内の場合は、落輪しているタイヤの本数に関わりなく無料となりますが、落差1mを超えた場合、作業にクレーンを要する場合や救援車両1台かつ作業員1名で作業ができない場合は、無料サービスの対象外となります。
キー閉じ込み以外については、応急処置後にきちんとした対応が必要になります。バッテリーやタイヤの交換は、応急処置で対処しただけでは長く乗り続けるには不安があります。また、落輪については自動車のボディに影響を及ぼしていないかといった心配があります。ガス欠も単純な入れ忘れなら問題ありませんが、「まだたくさん入っていたはずなのにガソリンがなくなっていた」などの場合は、車のどこかに重大な故障が発生している可能性があります。いずれの場合も、ディーラーなどでチェックしてもらうのがよいでしょう。
車のトラブルが応急的に回復できない場合、ロードサービスによる以下のような対応があります。
故障で車が自力で走れなくなった際は、現場から修理工場までレッカー車で移動します。レッカーの移動距離の無料範囲は各社異なりますので確認しておきましょう。
チューリッヒでは、ご契約者様ご指定の修理工場への移動の場合は、100Kmまで無料です。
また、最寄りの「指定修理工場」への移動の場合、距離の制限なく無料です。
車に乗っていた人はレッカー車に同乗することができません。
そこでレッカー後のサポートとして以下のような、移動費用や帰宅費用に関するサービスがあります。
トラブルによりペットとともに行動ができなくなった際に利用できるサービスは、ペットホテルやシッターなどの費用が補填されます。
自動車保険のロードサービスについては、各保険会社によって利用回数や利用する場所などに制限がある場合があります。「バッテリー上がりやガス欠は保険期間中に1回のみ使用可能」「砂浜や河原など道路以外の場所ではサービスを利用できない」など、サービスを受ける条件は細かく設定されています。契約時にはサービス内容をしっかりと確認する必要があるでしょう。
また、高速道路でロードサービスを利用する場合も注意が必要です。一般的に自動車保険のロードサービスは、高速道路でもサービスを受けることができます。高速道路で起きやすいトラブルは、タイヤのパンク、ガス欠などです。保険会社によっては「保険期間中の1回目のみ使用可能」などの条件が設定されていることがあります。
さらに、レッカー車で車を運ぶ際の距離や、宿泊・帰宅などにかかる費用には、上限が定められていることがあります。パンフレットや契約書などに「ロードサービス付帯」と記載があっても、すべての保険会社が同じロードサービスを提供しているわけではありません。保険の内容に加え、ロードサービスについても、事前に詳細を確認しましょう。
これまでの説明にもあるように、保険会社のロードサービスは同じようにみえても、無料でのレッカー移動距離や宿泊費、移動費用など細かい点に違いがあります。トラブル対応がどこまで必要なのかということを、チェックすることが大切です。
たとえば、故障などで帰宅できないときにペットにかかる費用をサポートするサービスは、まだ珍しいサービスです。ペットとの暮らしを大切にしている人にとっては自動車保険を選ぶ際の決め手のひとつとなるかもしれません。
サービス内容 | 比較ポイント | 主な保険会社による範囲 |
---|---|---|
拠点数 |
多ければ多いほど、迅速なサービスが期待できます。 |
3,000〜9,500カ所程度 |
レッカー移動 |
日常生活や旅行など、車を使用する条件に当てはめてみましょう。 |
15km〜100km ※保険会社によっては「15万円まで」と金額で示すところもある |
宿泊費用 |
故障先からの帰宅が困難な場合に利用できます。一人あたりの限度額が比較ポイントです。 |
補償なし〜1万円/名程度 |
帰宅費用 |
現場から帰宅する際に利用します。近場での車移動が多ければ、宿泊費用よりも優先度は高いと考えられます。 |
補償なし〜全額補償 |
車両搬送費用 |
修理完了後に工場から自宅まで車を運んでもらうことができます。旅行先の工場へ入庫した場合などでは、非常に役立ちます。 |
補償なし〜15万円程度 |
|
気をつけているつもりでも、突然起こりうるトラブルです。回数制限や、給油量の上限などが比較ポイントです。 |
基本的に各社サービス提供あり |
普段、車を使うのが自宅近辺だけなのか、年に数回でも遠出をするのか。車を利用する頻度やシーンを想像するだけでも、ロードサービスの比較はしやすくなります。
レッカー移動や宿泊費の提供などお金に関わる部分は、上限額が大きいものであれば安心です。原則としてドライバーはレッカー車に乗せてもらうことができませんので、遠方への旅行をする場合には宿泊費や帰宅費用のサポートは心強いものとなります。
どの項目に関しても「サービスが付いている」ことだけではなく、「無料範囲、利用可能な回数」を比較することが、大きなポイントと言えます。
「レッカー移動やパンク対応に関してのプロフェッショナル」というイメージで、「車のトラブルならJAFを呼べばいい」と思っている人も多いでしょう。JAFは日本自動車連盟という一般社団法人で、民間の保険会社とはサービスの内容や性質が若干異なります。
JAFのサービスは、「入会している会員」、つまり人を対象にしています。そのため、レンタカーなど自分の車でなくとも、会員が運転または同乗していればサービスを受けることができます。
これに対し自動車保険(任意保険)のロードサービスは、「契約している車」を対象にしています。友人や家族の車では、自分の保険によるロードサービスが受けられない点に注意しましょう。
基本的に保険会社もJAFも同様のロードサービスを提供しています。しかし、細かい点で比べると違いがあるため、注意が必要です。たとえば、バッテリー上がりなどは、保険会社によっては「契約期間中に1回のみ」としていますがJAFの場合は回数無制限です。なお、宿泊・帰宅費用についてはJAFでは提供がありません。
自動車保険のロードサービスは通常、契約した保険に自動で付帯されています。ですから、ロードサービスについて入会金や年会費などの別途料金が発生することはありません。一方、JAFの場合は入会金と年会費を支払って入会する必要があります。
前述したように多くの自動車保険では、ロードサービスが自動で付帯され、追加の保険料は必要ありません。サービス内容も充実しており、カーライフをサポートしてくれる体制が整っています。これではJAFに加入するメリットがないように思えますが、JAFならではの強みがあります。
・「自動車」ではなく「会員」を対象としている
「会員」に対するサービスで「自動車」単位のサービスではないので、友人の車や家族の車など、複数の自動車を運転する機会が多い場合には、メリットがあります。
・会員優待が受けられる
会員証を提示することで、全国各地のテーマパークやグルメ、ショッピングにおいて優待を受けることができます。また、運転技術の向上を目指したい会員向けに、ドライビングセミナーも開講されています。
このように、自動車保険とJAFを比較する際にはその付加価値の違いに着目してみるとよいでしょう。
テレビCMなどで、警備会社が事故現場に来て、事故対応を一緒に行っている様子を見たことがないでしょうか。一部の保険会社が提供しているこのようなサービスは一般的に「かけつけサービス」と呼ばれ、近年注目を集め始めています。
ひとりで運転しているとき事故を起こしてしまったら、誰でも気が動転してしまうもの。自分の味方が側にいてくれたら、とても心強いはずです。そんなときに活躍するのが、プロの警備スタッフが現場へ急行してくれる「かけつけサービス」です。では、この「かけつけサービス」とロードサービスとでは何が違うのでしょうか。
保険会社ごとに多少の違いはあるものの、「かけつけサービス」では概ね以下のようなサポートを行っています。
とくに相手方がいる場合の事故では、迅速かつ正確な判断が求められます。車を安全な場所に移動したり、ケガや体調不良を訴えている人を救護したりする必要があるからです。場合によっては、相手の住所、氏名、車のナンバーなどを早急に控える必要にも迫られます。警察や救急にも連絡をしなければなりません。かけつけサービスでは、運転者が対処すべきことの一部を代わりに行ってくれます。
ときには事故相手との間に入り、状況を落ち着かせる役割も担っているかけつけサービスですが、「任せておけばすべて大丈夫」と過信しすぎるのはよくありません。事故の際に特に問題になりやすい「示談交渉」や「過失割合」についてまでは、このかけつけサービスは対応していないからです。
現場へ急行してくれた警備会社のスタッフは、あくまで運転者のサポート役です。事故時の写真や双方の主張など、集めてもらった情報を元にその後の交渉がスタートすることになります。ここで中心となるのは事故の当事者である運転者ですから、心身の落ち着きを待って保険会社との相談を行いましょう。
「かけつけサービス」が事故現場にかけつけ、事故時の困ったことや心配ごとなどの不安を取り除くためのサポートであるのに対し、ロードサービスは契約の車が事故や故障などのトラブルに見舞われたときに、レッカー移動や応急処置を行うサービスです。 このようにロードサービスと「かけつけサービス」は別のサービスなのです。
ここまではロードサービスの種類や内容、比較ポイントなどをご紹介してきました。では実際にどのような状況でどのようなロードサービスが利用されやすいのかを、具体的な事例を挙げて見ていきましょう。
少し狭い山道で、側溝にタイヤを落としてしまった。近くに民家などはなく、時折やってくる他の車も止まってくれない。途方に暮れていたが、契約している保険にロードサービスが付帯されているのを思い出し、出動を要請。ほどなくしてやってきたサービススタッフに車を引き上げてもらった。左側の前後タイヤを落としてしまったが、問題なく引き上げに対応してくれた。幸い車のボディなどにも影響はなく、無事にその後の旅行を楽しめた。
・落輪引き上げ
道路の側溝などにタイヤを落としてしまうことは、市街地だけでなく周りに人が少ない場所でも起こり得ることです。人通りが多い場所であれば誰かに協力を要請して自力回復を図ることができますが、そうでない地域でのトラブルでは頭を抱えてしまうことも。ロードサービスの拠点数が多いと、地域による到着時間の差などが少なくなるため、車中で長い間待たなければならない、ということも減るでしょう。落輪したタイヤを引き上げるサービスについては、落ちたタイヤの本数や、クレーンまたはレッカー作業の有無などで有償になる場合があります。
梅雨のジメジメした季節に洗車をし、いつものように駐車しておいた。すると翌日パーキングブレーキが解除できず、車をまったく動かすことができなくなった。保険会社に相談したところ、ロードサービスでサイドブレーキ固着の解除に対応できるとのこと。自宅駐車場まで来てくれ、張り付いたブレーキを元通りにしてもらえた。
・サイドブレーキ固着の解除
この事例の他にも、ガス欠やバッテリー上がり、キーの紛失や閉じ込みなど、「車を動かそうと思ったときに発生するトラブル」があります。出先ならばともかく、このようなトラブルが自宅で発生した場合にはそのロードサービスが自宅出張に対応していることが必要となります。近年「スマートキー(インテリジェントキー)」のトラブルが増加傾向にあると言われますが、ロードサービスではスマートキーの自動車にも対応していますので安心です。
久々に夫婦水いらずの旅行を計画。愛犬はペットホテルに預け、1泊で出かけた。2日間の観光を楽しみ帰宅しようとしたところ、運転席のメーターに警告灯が点灯した。近くの駐車場へ車を停めて様子を見たが回復せず、仕方なくロードサービスを依頼。点検してもらったところ、エンジンオイル漏れ。修理が必要だったため、そのままレッカー車で最寄りの修理工場へ車を運んでもらった。
時間が既に遅く、電車で自宅へ帰るには無理があった。自分と妻の分の宿泊費用がロードサービスから出るということだったので近くのビジネスホテルへ。預けてある犬のことが心配だったが、保険会社のウェブサイトを確認したところ、ペットホテルの延長費用も補償に入っていた。ペットホテルへ電話で延長を依頼し、自分たちは翌日電車にて帰宅。無事に愛犬の迎えにも行けた。帰宅費用のサポートもあったので助かった。修理が終わった車は自宅まで無料で搬送してくれた。
ロードサービスには、修理工場までの片道交通費を全額負担してもらえるものもあります。自分で取りに行くことを検討する場合には大きな後押しとなるでしょう。ペットに関する費用はすべての保険会社で対応可能というわけではありませんが、車のトラブルで自分が思うように動けない場合、愛するペットのケアができるのは非常にありがたいものです。
注意したいのは、費用負担が発生するサービスでは、上限額が決められている場合があることです。レッカー移動でも同様に距離制限が各保険会社で異なります。『3. ロードサービスの主な項目と比較すべきポイント』でご紹介したように、自分のライフスタイルに合う条件を選ぶことがポイントです。
今回は自動車保険に付帯するロードサービスについてご紹介しました。日常起こりやすい車のトラブルに対応してもらえる心強いサービスです。
ロードサービスを利用しても翌年の等級や保険料に影響がありません。事故やトラブルは、予期せずに発生するもの。自動車保険に自動付帯しているロードサービスを有効活用できるよう、何をしてもらえるのか日頃からサービスの範囲をよく確認しておいてください。
このようにロードサービスの充実がカーライフの充実といっても過言ではありません。もし自動車保険を検討中ということであれば、保険料や事故の際の補償内容だけでなく、カーライフの強い味方であるロードサービスの充実度に目を向けてみることをおすすめします。保険料だけではなく、ロードサービスの充実もチェックして賢く自動車保険を選んでください。
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