更新日:2023年3月2日
公開日:2020年11月26日
交通事故で車の修理が必要となった場合、修理期間中に代車を借りる場合があります。代車を運転中に事故を起こしてしまった場合、代車の修理費用はどうなるのでしょうか。
代車費用を相手方に請求できる条件や代車の事故で自分の自動車保険が利用できるのかなどについてご説明します。
交通事故で車の修理などが必要になり、代車を使用する場合、相手方の過失割合が大きければ代車の費用を相手方に請求できるケースがあります。
しかし、必ずしも代車費用を請求できるわけではなく、代車費用を請求するためには一定の条件をクリアする必要があります。
代車費用の請求について過去の判例は、大きく分けて以下の3つのポイントにより判断しています。
以下、くわしくみてみましょう。
他の交通手段がないかどうかが、問われます。通勤や業務上での使用や病院への通院など、日常生活で自動車を利用する必要性があるか否かです。
具体的に認定される場合は、費用の請求が認められる傾向にあります。
一方で、通勤や業務が公共交通機関(たとえばバスや電車)やタクシーの利用でまかなえる場合は、制限的に判断することが多いようです。
また、10分程度で到達するような距離では、代車の必要性が否定される場合もあります。
レンタカーを使用する場合、事故で使えなくなった自動車のグレードと同等か、それ以下の車種について代車が認められます。
たとえば、事故車が国産自家用小型乗用車の場合は、高級車の代車は認められません。
代車の使用が認められる相当期間は、以下の通りです。
ただし、負担期間の起算日は、保険会社によって異なります。
車の状態 | 負担期間 | |
---|---|---|
全損の場合 | 原則として、最長でも30日間 | 買い替えまでの必要な期間 |
修理可能な場合 | 修理のために必要な期間 |
代車の手配に時間がかかれば、実質的には30日未満になるため、注意が必要です。
また代車を利用する期間が30日を超えると自己負担になるため、こちらも注意しましょう。
修理・買い替え費用の見積りや、保険請求するための交渉などの必要な期間についても、「相当期間」に含まれるという判例があります。
請求の根拠になる相手側との交渉の記録を、しっかりしておくことが必要です。
自動車保険の特約では代車費用を補償するのではなく、代車を提供するという補償があります。
これは、保険会社が代車を手配するもので、特約により条件に違いがあります。また、保険会社の手配に代えて、指定修理工場が貸し出す自動車になる場合もあります。
たとえば事故にあって車を修理する際、修理工場から代車が提供される場合があります。そのようなとき代車提供特約を付帯していると、保険会社が独自にレンタカーを手配し、代車を提供します。
ただし、車両保険の保険金が支払われる場合に限られます。用意される代車も「排気量1,500ccクラス以下の国産の自家用小型自動車、または軽自動車」などとグレードの制限がついていることがあります。
チューリッヒの場合をみてみましょう。
車両事故により被保険自動車の修理または買い替えが必要となり、かつ、被保険者が代車を使用することが必要になった場合で、チューリッヒが承認したときは、この特約に従い、代車を被保険者に提供します(30日を限度)。
この特約で提供する代車は、次のいずれかに相当する自動車です。
ただし原則として、国産自動車(注1)かつ原動機の総排気量が1,500ccクラス以下の自家用小型乗用車または自家用軽四輪乗用車に限り、電気自動車などの特殊な原動機を使用する自動車を除きます。
①レンタカー(注2)
②指定修理工場(注3)から貸し出される自動車
(注1)日本国内で生産された自動車または日本を本拠とする自動車メーカーが販売する自動車をいいます。
(注2)道路運送法(昭和26年法律第183号)第80条(有償貸渡し)第1項に基づき業として有償で貸渡しすることの許可を受けた自家用自動車をいいます。
(注3)当会社が指定する修理工場をいいます。
また代車の使用に必要な燃料は、被保険者が負担します。
車検や修理などで借りる代車の場合は、車検や修理を行うカーディーラーなどが用意してくれる場合がほとんどです。しかし、事故を起こした場合の代車は、さまざまなケースが考えられます。どうしても車が必要なライフスタイルを送っている場合は、代車提供特約などを最初から付帯して保険に入りましょう。
車の修理中のほか、車検時に車を使用したい場合も代車を利用するケースが考えられます。もし代車を運転中に事故を起こしてしまった場合、修理費用はどうなるのでしょうか。
ご自身が任意保険には契約していない場合は、代車を貸してくれた業者が代車に保険をかけているかどうかによって対応が変わります。
以下の通りです。
業者の任意保険契約の有無 | 修理費用 |
---|---|
代車を貸してくれた業者が、任意保険に加入している | 保険が適用される ※ただし免責額については、運転者の自己負担になることが多い ※運転者の年齢条件に該当しない場合は、保険適用外となる |
業者が任意保険に加入していない | 全額自己負担 |
運転者が自動車保険を契約しており、他車運転特約を付帯していれば代車を運転していたときの事故でも、自分の自動車保険を使用することができます。
契約している保険の種類 | 対人賠償 | 対物賠償 | 車の修理費用 |
---|---|---|---|
他車運転特約でのカバー | 補償の対象になります | 補償の対象になります | 補償の対象になりません |
車両保険を契約している | 補償の対象になりません | 補償の対象になりません | 補償の対象になります |
チューリッヒの場合は、他車運転危険補償特約(人傷型)が自動付帯されるため、代車を運転中の事故でも補償の対象となります。
ただし、運転者が限定されていないか否かを、チェックする必要があります。
限定されていない場合は、記名被保険者(主に運転される方)はもちろん、配偶者や同居の家族、別居している未婚の子どもも対象となります。
限定されている場合は、補償の対象者のみ適用です。
また、チューリッヒの場合、他車運転危険補償特約(人傷型)の対象になる用途車種区分は、以下になります。レンタカーを利用している場合も、以下の用途車種区分であれば該当します。
チューリッヒ保険会社の他車運転危険補償特約(人傷型)の対象となる用途車種区分 |
|
---|
※保険始期日が2022年1月1日以降のご契約に限ります。
事故を起こしたときの代車費用は、後々どこまで請求が認められるかなど、細かく問われることもあります。言った言わないで揉めないためにも、詳細な経緯の記録を書き留めておいたり、領収書などをしっかりと保管したりして、備えておくのが無難です。
事故で代車を使用した場合、代車費用が損害として認められるかについては、代車を使用する必要性と使用期間が相当であるかが争点になることをご説明しました。
通勤や通院に車が不可欠という場合には、自動車保険の代車提供特約を検討してみるのも一つの方法です。
また、任意保険に未加入の運転者が代車で事故を起こしてしまった場合は、代車が保険に入っていなければ修理代金は全額、運転者の自己負担となってしまいます。
他車運転特約を付帯していれば、代車運転中の事故にも備えられるため安心です。
※記載の情報は、2023年1月10日時点の内容です。
「クルマは楽しくなくっちゃネ!」をモットーに、日本車・輸入車問わずカーライフを女性の視点で発信している。
現在はTV出演、ラジオ番組のパーソナリティなどを務める他、MCやレポーター、コメンテーター、イベントでのトークショーなど、多方面で活躍中。
プロダクション人力舎所属
アンガーマネージメントファシリテーター
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)副会長
日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
国際交通安全学会(IATSS)会員
※本記事の内容は特段の記載がない限り、チューリッヒの保険商品ではなく、一般的な保険商品の説明です。
※チューリッヒの自動車保険に関する内容について
本記事内で紹介しているチューリッヒの自動車保険に関する内容につきましては、ご契約の保険始期および契約条件によって、ご契約のお客さまに適用されない場合がございます。
必ずお客さまの保険証券、約款、重要事項説明書の記載などをご確認ください。
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