更新日:2024年10月2日
公開日:2020年10月20日
どれほど注意して安全運転を心がけていても、追突されたり、駐車中にぶつけられてしまったり、自分に全く過失がないいわゆる「もらい事故」にあう場合があります。
車をぶつけられた事故やもらい事故の場合、責任は相手側にあるため、相手の自動車保険によって修理費などが支払われます。
万が一、車にぶつけられたもらい事故にあったときに備えて、対処方法を押さえておきましょう。
車にぶつけられた「もらい事故」とは被害者に全く責任がない、過失割合が0対100となる事故のことをいいます。
路肩に停車していたとき、信号待ちしていたときに後ろから追突されたような場合です。
赤信号を無視した場合、赤信号を無視した車両(この場合B)に過失が認められます。
通常、自動車事故は過失の割合こそ違いますが、双方に何らかの責任があるとみなされ、その状況に応じて、30対70などの過失割合が決定します。
しかし「もらい事故」の場合は、自動車同士の事故であっても、一方がすべての責任を負うことになります。
※過失割合が0対100となるもらい事故は停車中の追突事故や赤信号無視などですが、事故状況に応じて個別具体的に判断されます。
私も信号待ちで追突された経験があります。こればかりは防ぎようがないので、シートベルトはたるみを取ってキチンと装着するようにしておきたいですね。
車にぶつけられたもらい事故にあった場合の初期対応は一般的な交通事故と同じ手順です。
警察を呼ぶと時間がかかる、軽い物損だけだからといってその場で示談に応じてはいけません。
警察への通報は道路交通法第72条第1項により義務付けられており、通報を怠った場合は3ヵ月以下の懲役または5万円以下の罰金が科せられることになっています(道路交通法第119条第1項)。
人身事故の場合は事故直後、警察により実況見分が行われ「実況見分調書」が作成されます。
実況見分調書は、人身事故の際に当事者の立ち会いの下、警察が事故状況をまとめるものです。
そのため、後日事故の過失割合について加害者と争いになった場合、有力な資料となります。
警察への通報を怠ると、もらい事故であったにもかかわらず、後日加害者側から、「そちらにも非がある」といった事実と異なる主張をされ、適切な賠償を受けられなくなる可能性もあります。
事故状況の資料として、実況見分調書は非常に重要なのです。
物損事故の場合は代わりに「物件事故報告書」というものが作成されます。
実況見分調書に比べて省略可能な要素もあり、概略的なものになりますが、現場の状況を記したものとして有用な資料になるでしょう。
双方に過失のある事故の場合、保険会社が示談交渉を代行し、過失割合が決まるのが一般的です。
ところが、車にぶつけられたもらい事故の場合は過失割合が0対100となるため、被害者自身が加入している保険会社は示談交渉を行うことができません。
これは、弁護士法第72条の規定により、弁護士や弁護士法人以外の者が報酬を得る目的で法律事務をすることが禁じられているためです。
そのため、もらい事故の場合は、被害者が自ら示談交渉を行い、こちらの過失がないことを加害者側に証明する必要があります。
チューリッヒでは「もらい事故」にあい、「何を交渉したらいいのか」「不利な交渉をしていないか」などの不安に対して、専任スタッフがアドバイスを行う「被害事故相談サポート」をご用意しています。直接交渉で不安なときは遠慮なくご相談ください。
しかし、直接交渉で相手方の主張と食い違いが生じた場合、弁護士に示談交渉の代行を依頼し、訴訟を起こして慰謝料を請求する必要が出てくるかもしれません。
車にぶつけられたもらい事故で、身体には被害がなく、車をぶつけられて壊れてしまったという場合は100%加害者に責任がある「物損事故」扱いとなります。
物損事故において加害者側に請求できる主な損害賠償金は、次の通りです。
加害者側の自動車保険の対物賠償で、原則事故発生時の時価額を上限として請求することが可能です。
原則として事故発生時の時価額が上限となりますが、加害者側が「対物超過特約」を付帯している場合には、時価額を超える修理費用を請求できる場合があります。
なお、対物超過特約は販売している保険会社によって支払条件が異なります。
繰り返しますが、車にぶつけられたもらい事故の場合、自身が契約している保険会社が示談交渉をすることはできません。
自ら示談交渉を行うのは負担も大きく、スムーズな示談交渉には専門知識も必要です。
そのようなときの備えとして検討したいのが、任意の自動車保険に付帯できる「弁護士費用特約」です。
チューリッヒの「弁護士費用等補償特約」は、自動車事故により、補償の対象となる方が死傷したり、物を壊されたりした場合、相手方へ損害賠償を請求するために必要となる弁護士費用や訴訟費用などに対して保険金をお支払いするものです。
賠償義務者に対して法律上の損害賠償請求を行う場合の弁護士報酬、司法書士報酬、行政書士報酬等の費用(1回の事故につき被保険者1名300万円を限度)
法律相談を行う場合の法律相談費用(1回の事故につき被保険者1名10万円を限度)
※一部対象とならない費用もあります
人身傷害保険は契約中の車に搭乗中の自動車事故によりケガをしたり、死亡したりした場合に保険金が支払われる保険です。
チューリッヒの場合、車をぶつけられたもらい事故でも被保険者からの請求があれば、被害にあった本人に先に保険金をお支払いし、そのあとチューリッヒが相手方(加害者)に請求します。
車両保険は、契約中の車の修理費や損害時の補償を受けられる保険です。
チューリッヒの場合、駐車中の車両の損害で相手が不明なもらい事故でも補償の対象となるのはワイドカバー型(一般条件)というタイプの車両保険です。
相手車両が確認できるもらい事故であれば、限定カバー型(車両危険限定補償特約)でも損害が補償されます。
人身事故の被害者救済を目的としている自賠責保険は、車の修理費など物損に対しては加害者側の自賠責保険から支払われることはありません。
したがって、加害者が任意保険に加入しておらず、物損に対しての補償を急ぐような場合は自分の車両保険の活用を検討してみてもよいでしょう。
ただし、車両保険を使うと等級が下がり、翌年度以降の保険料が上がってしまう場合もありますので、保険会社に相談することをおすすめします。
車をぶつけられたもらい事故とは被害者自身に全く責任がない、過失割合が0対100となる事故のことです。
自分に過失がないもらい事故の損害賠償額は、加害者側の保険会社との示談交渉で決められます。
加害者側の主張によっては、弁護士による示談交渉や訴訟が必要となる場合があります。
信号待ちで追突事故にあうようなケースは別として、過失割合の判断が難しい場合もあるため、交通事故に詳しい弁護士などの専門家に相談することが有効です。
まずは、自分が加入している自動車保険の内容を確認し、弁護士費用特約が付帯しているかを確認してみましょう。
※記載の情報は、2024年10月時点の内容です。
1965年生まれ。芝浦工業大学工学部機械工学科卒。トヨタ直営販社の営業マン、輸入車専門誌の編集者を経て自動車ジャーナリストとして独立。さまざまな自動車雑誌の他、エンジニア向けのウェブメディアなどに寄稿している。
近著に『電気自動車用パワーユニットの必須知識』(日刊工業新聞社)、『エコカー技術の最前線』(SBクリエイティブ)、『図解カーメカニズム基礎講座パワートレーン編』(日経BP社)がある。
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員
※本記事の内容は特段の記載がない限り、チューリッヒの保険商品ではなく、一般的な保険商品の説明です。
※チューリッヒの自動車保険に関する内容について
本記事内で紹介しているチューリッヒの自動車保険に関する内容につきましては、ご契約の保険始期および契約条件によって、ご契約のお客さまに適用されない場合がございます。
必ずお客さまの保険証券、約款、重要事項説明書の記載などをご確認ください。
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