更新日:2024年9月17日
公開日:2017年9月5日
山道を走行しているとき、道路に突然野生の動物が飛び出してきて衝突してしまうことがあります。
また市街地でも、犬や猫など誰かのペットと衝突してしまうことがあるかもしれません。
こうした動物との事故で、自動車保険の補償を受けられるのかご説明します。
交通事故とは、道路交通法第67条2項に規定する「車両等の交通による人の死傷又は物の損壊」をいいます。
「車両等の交通による人の死傷若しくは物の損壊(以下「交通事故」という。)を起こした場合において、〜」(道路交通法第67条2項より一部抜粋)
民法上、動物はその種類にかかわらず「物」として扱われるため(民法第85条)、動物相手の交通事故の場合、人身事故ではなく物損事故になります。
そして交通事故を起こした場合には、事故が発生した日時場所などを警察官(最寄りの警察署)に報告しなければなりません(報告義務)。(道路交通法第72条1項後段)
事故の相手が動物であっても、物損事故となるため、そのまま現場を立ち去ってしまう(=当て逃げをする)と、第72条1項前段の危険防止措置義務違反だけでなく、第72条1項後段の報告義務違反にもなってしまいます。
また自動車保険を使うときに必要となる「交通事故証明書」は、警察に交通事故の届け出がされていなければ発行されません。
飼い主(所有者)のいるペットをひいてしまった場合、飼い犬や飼い猫は、飼い主の所有物となるため、連絡先がわかるのであれば連絡します。
それと同時に交通事故が起きたことを警察署に速やかに連絡をして交通事故証明書を発行してもらいましょう。
先述のとおり、法律上動物は「物」として扱われるため、ペット(愛玩動物)との事故は人身事故ではなく物損事故となります。
人的な被害を起こさない物損事故や自損事故は行政処分上の事故にあたりません。つまり、運転免許の違反点数としての加算はないことになります。
ただし、事故の原因となった事実や事故後の行為に道路交通法違反がある場合(信号無視の結果衝突した場合など)には、それにより点数が引かれることがあります。
動物との事故=物損事故の場合、「人身事故」を補償の対象としている自賠責保険は適用されませんので、自動車保険(任意保険)から補償を受けることになります。
飼い主への賠償は、自動車保険(任意保険)のなかでも他人の財物に損害を与えたときのための補償である、対物賠償保険を使うことになります。
交通事故には民法第709条の不法行為責任の規定が適用されるので、対物賠償保険で補償されない損害については、飼い主より損害賠償を請求される場合があります。
飼い主から損害賠償を請求された場合には、弁護士にご相談されることをおすすめします。
市街地や山道、高速道路などを走行しているときに、急に道路に飛び出てきた野生動物と衝突して、死亡させてしまうというケースがあります。このような、車との衝突で野生動物が事故死してしまうことを「ロードキル」といいます。
NEXCO 3社・本四高速と首都高速および阪神高速のデータを元に国土交通省がまとめたデータによると、タヌキ、キツネ、イヌ、ネコの中型動物との衝突事故が多く報告されています。
高速道路の管理者側も、ロードキルを防ぐためにさまざまな対策を施しています。
たとえば、野生動物が道路に侵入してこないように防止柵を設置する、ドライバーに注意喚起する標識の設置、また獣道を確保して動物が道路に侵入してこないよう防止するなどといった対策です。
野生動物をひいてしまった場合も、事故の発生を警察に連絡します。
このとき、運転者自身や同乗者がケガなどをしていないか、ガードレールなどの破損や二次事故などがないかどうかも伝えます。警察へ届けなければ交通事故証明書は発行されません。
警察への報告した後は道路緊急ダイヤル「#9910」へも連絡をします。
動物の保護については、野生動物の場合は感染症などの問題があるため、直接素手で触わったり、動かしたりせず、道路緊急ダイヤル「#9910」に電話して、指示を仰ぐようにしましょう。
ひかれた野生動物を後続車両として発見した場合も二次事故防止の観点から、道路緊急ダイヤル「#9910」に連絡します。
「#9910」は全国共通、24時間受付・通話料無料ですので、後続車の事故(二次事故)を防ぐためにも番号を覚えておくとよいでしょう。
ただし高速道路において停車した車両に乗車していると、後続車から追突される危険があるので、安全な場所に避難してから警察への連絡などを行うようにしてください。
野生動物やペットと衝突してしまった場合、動物の側だけでなく、自分の車や自身・同乗者にもダメージを受けることがあります。
たとえばシカのような大型動物と衝突すれば、車の修理が必要となるくらいに大きな損傷を受ける場合も考えられます。
また、動物を避けようとして急ハンドルを切った結果、ガードレールや縁石にぶつかって車に損傷を受けるケースもあるでしょう。
ペットや家畜の場合は、飼い主や飼育者の管理に非があったとして損害賠償を求めることができる可能性があります。
しかし野生動物が相手の場合は、所有者がおらず、法律上損害賠償責任を負う相手方がいない事故となり、自損事故扱いになります。
野生動物との衝突事故は、自損事故による補償が含まれる「車両保険」で補償を受けることになります。
車両保険には一般的に、一般型とエコノミー型の2種類があります。
補償範囲の広い一般型であれば野生動物との衝突などでの車両の破損は補償されますが、エコノミー型の場合は、補償の対象外となることが多いので、注意が必要です。
ただし、鳥などが飛来してきて接触して、窓ガラスが壊れたというような場合であればエコノミー型車両保険で補償される場合があります。
動物と衝突して車両が損傷した場合は、保険会社に事故の状況を詳細に説明して、補償が受けられるかどうか確認するようにしましょう。
野生動物との事故は自動車保険における事故の相手方がいません。
野生動物との事故で自身や同乗者がケガをした場合、自動車保険の「人身傷害保険」や「搭乗者傷害保険」「自損事故傷害特約」で補償を受けることができます。
野生動物が出没しやすい道路では「動物注意」と書かれた警戒標識で注意を促している場所があります。
このような動物注意の標識を見たら、急に飛び出してきても対応できるよう、速度を落として運転しましょう。
夜間の走行では、ハイビーム(上向きライト)を使うことで、遠方の動物の目が光り、発見が早くなります。状況に応じてハイビームを活用するとよいでしょう。
ロードキルが多いエリアでは、事故が多い箇所のマップ(例:エゾシカ衝突事故マップ、富士山「動物交通事故死」マップ)などを公開しています。おでかけ前にチェックしておきましょう。
※記載の情報は、2024年9月時点の内容です。
赤羽総合法律事務所 URL:https://akabanesougou.jp/
※本記事の内容は特段の記載がない限り、チューリッヒの保険商品ではなく、一般的な保険商品の説明です。
※チューリッヒの自動車保険に関する内容について
本記事内で紹介しているチューリッヒの自動車保険に関する内容につきましては、ご契約の保険始期および契約条件によって、ご契約のお客さまに適用されない場合がございます。
必ずお客さまの保険証券、約款、重要事項説明書の記載などをご確認ください。
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