更新日:2023年1月10日
公開日:2020年10月21日
交通事故に巻き込まれてしまったら、加害者側の保険会社に賠償金を請求するために「事故発生状況報告書」を作成する必要があります。
「事故発生状況報告書」は保険会社が事故の状況を判断し、過失割合を決めるための非常に重要な書類です。
「事故発生状況報告書(事故報告書)」の書き方(記入例)について主にご説明します。
事故発生状況報告書は、保険会社に保険金を請求する際に必要な交通事故の発生状況を説明するための書類です。
事故が起きた年月日、時刻、天候、交通状況(混雑していたか閑散としていたか)、現場の道路図、被害者と加害者の車の位置や進行方向、それぞれの車の速度、信号があればその位置や事故当時の色、方角などを、図と文章で表します。
事故発生状況報告書は、過失割合を算定する場合の基礎となる重要な書類なので、虚偽なく正確に事実を記載することが大切です。
事故発生状況報告書を書く必要がある人は、交通事故にあい「保険金を請求する人」です。
保険金を支払う保険会社は、交通事故が起こった状況を正確に知る必要があります。そのため保険会社に保険金を請求するときには、詳しい事故の状況を保険会社に正しく伝える必要があるのです。
保険金請求の手続きに必要となるのが、事故発生状況報告書です。
事故発生状況報告書のテンプレートは保険会社に問い合わせればもらうことができます。保険会社に確認し「事故発生状況報告書」を入手しましょう。
また、自治体のウェブサイトから事故発生状況報告書のテンプレートがダウンロードできる場合もあります。
事故発生状況報告書テンプレート(千葉県多古町)
事故発生状況報告書としばしば混同される書類に「交通事故証明書」があります。
こちらは警察に交通事故の届け出を行った後に、各都道府県の自動車安全運転センターに申請をして発行してもらう書類です。
交通事故証明書は、交通事故があったという事実を確認したことを証明する書類です。「いつ」「どこで」「誰が」事故を起こしたか(または事故に巻き込まれたか)などが記載されています。
交通事故があったという事実を証明するための書類なので、交通事故が起きたときの車の位置や道路状況など過失割合を判断するための具体的な情報は記載されていません。
保険会社から事故発生状況報告書のテンプレートを入手できたとしても、何をどう書けばいいのかよくわからない人の方が多いでしょう。
ここからは具体的な記入内容を説明していきます。ただし、テンプレートに多少の違いがあるのでご注意ください。
交通事故の被害者(自分)と加害者の氏名を書きます。
甲と乙の欄がありますが、甲の欄に「加害者」、乙の欄に「被害者(自分)」の名前を記入してください。交通事故証明書の甲・乙とは異なる場合もありますので注意が必要です。
被害者と加害者の連絡先を書く必要もあるので、事前に確認しておきましょう。
事故が起きたときに自分がどのような状態だったかを明記します。選択肢がある場合は該当するものを選んでください。典型的な選択肢は以下のようなものです。
事故のときの天候や時間帯による明暗を記載します。
事故当時の交通状況を書きます。混雑していたのか、普通だったか、交通量が少なかったのかを記載してください。どちらでもない場合は「普通」で問題ありません。
選択肢がある場合は、事故当時の状況に近いものを選んでください。
その道路の見通しが良かったのか悪かったのか、舗装の有無、平坦な道か坂道であったかなどを記載します。事故当時の状況を思い出して書いてください。
天候や時間帯によって道路の見通しが変わることも考えて、正確に思い出しましょう。
選択肢がある場合は、事故当時の道路状況に近いものを選んでください。
事故現場付近に信号があるのか、あったのならその色は事故当時どうだったかを記載します。
また、一時停止や一方通行などの交通標識があったかどうかも記載します。
具体的な信号や標識の位置は、後で説明する事故発生状況略図に示してください。
事故時の加害者の車の速度と被害者(自分)の車の速度を記入する欄です。甲車が加害者の車、乙車は被害者の車になります。
用紙の大部分を占める欄です。方眼紙になっている場合もあります。以下の要素を記入してください。
交通事故が起きた場所の住所を記載します。交差点などに名前がついている場合は、その名称も書いておきましょう。
当事者が走行していた、それぞれの道路の幅を記入します。
事故現場周辺の地図を簡単に書きます。
道路の交差点の形や曲がり角またはカーブなどの図を書いて、目印となる建物、道路のセンターラインや中央分離帯の有無、信号の位置や色、そして標識の位置などを書き加えてください。
広い道路と狭い道路が混在している場合は、広い方を広く、狭い方を狭く書きましょう。過失割合に影響があります。
事故が起こったときの被害者と加害者双方の車の位置を書き、矢印で進行方向を示してください。
加害者側の車を黒く塗りつぶすように指定している保険会社もあるので、指定があればそれに従いましょう。
絵ではなく図ということを意識して、シンプルにわかりやすく書いてください。
方角がわかれば、図の余白に記載します。一般的な地図にあるような方位マークを書けば十分です。
⑧の事故発生状況略図の内容を説明する文章を書きます。加害者側が信号や標識を守らなかった、ブレーキをかけなかったなどの事実があれば、忘れずに記入しましょう。
以下に例文を記載します。
「2022年10月1日午後11時30分ごろ、十字路の交差点において、乙車側の信号が青だったので直進しようとしたところ、赤信号を無視した甲車が乙車の右側から同じ交差点内に直進してきたので、乙車の右前方と甲車の左前方が衝突した」
「乙車が一時停止標識に従って停止していたところ、後方からノーブレーキで直進してきた甲車に追突された」
事故の当時はパニックになっていることも多いので、正確な状況を覚えていない人も多いはずです。
そのような場合は以下の方法を試し、できるだけ正確な情報を集めて事故発生状況報告書の作成に役立ててください。
自分の車にドライブレコーダーがついていれば、その映像を確認してください。事故の発生状況が詳しくわかります。
事故に備える意味でもドライブレコーダーを取りつけておくことをおすすめします。
ドライブレコーダーは、客観的に事故の状況を判断するために非常に役立つものです。自分の運転に潜む危険性にも気付けることもあるので、時々映像で確認してみると安心ですね。
事故のときに同じ車に乗っていた人、または事故を目撃した人から話を聞いてみましょう。
自分では気づかなかったことがわかるかもしれません。
事故現場周辺に設置されている防犯カメラの映像を見せてもらい、事故の発生状況を確認することも可能です。
事故現場付近にコンビニなどの店舗があれば、事故の発生状況が防犯カメラに写り込んでいる可能性があるので交渉してみましょう。
交渉して断られた場合でも、保険会社や弁護士を介してお願いすると結果が変わることがあります。
防犯カメラの映像は一定期間後に消去されるため、実行する場合は早い方がよいでしょう。
事故発生状況報告書は保険金を請求するための重要な書類です。
なかなか書くことがないので、戸惑ってしまうかもしれませんが、事故の状況を正確に書けば問題ありませんし、保険会社の担当者に書き方を聞けば親切に教えてくれます。
作成に関して過度に心配する必要はありません。正確さとわかりやすさを第一に考えて書いてください。
自分が被害者で保険金を請求する場合、自分が契約している自動車保険の示談交渉サービスは使えません。ただし、サポートはしてくれるので、自信がなければ相談してみることをお勧めします。
事故発生状況報告書は、事故の過失割合を判断する際に使用される書類です。
事故発生時の状況をよく覚えていない場合は、ドライブレコーダーの映像を確認したり、同乗者や目撃者に話を聞いたりして、できるだけ正確な情報を記入するようにしましょう。
事故発生状況報告書の書き方に迷う場合は、保険会社に相談することも可能です。
わかりやすく、正確な情報を記入するようにしましょう。
※記載の情報は、2022年11月30日時点の内容です。
1965年生まれ。芝浦工業大学工学部機械工学科卒。トヨタ直営販社の営業マン、輸入車専門誌の編集者を経て自動車ジャーナリストとして独立。さまざまな自動車雑誌の他、エンジニア向けのウェブメディアなどに寄稿している。
近著に『電気自動車用パワーユニットの必須知識』(日刊工業新聞社)、『エコカー技術の最前線』(SBクリエイティブ)、『図解カーメカニズム基礎講座パワートレーン編』(日経BP社)がある。
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員
※本記事の内容は特段の記載がない限り、チューリッヒの保険商品ではなく、一般的な保険商品の説明です。
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