更新日:2023年1月6日
公開日:2020年10月24日
『令和4年版交通安全白書』によると、2021年中の交通死亡事故発生件数は、正面衝突や横断中に次いで、出会い頭(であいがしら)の衝突による死亡事故が多く発生しています。
出会い頭の事故の発生状況、出会い頭で衝突した場合の過失割合例などについて、ご説明します。
出会い頭の事故とは、異なった方向から進入してきた車両同士が交差する際に衝突する事故をいいます。
近づいてくる交差車両などの見落とし、相手が停まってくれるだろうという判断ミスなどが衝突事故につながってしまいます。
2021年中の交通事故発生件数は305,196件、事故類型別では追突の93,098件が最も多く、次いで出会い頭衝突の78,988件となっています。
出会い頭の事故件数は、交通事故全体の実に25.9%を占めています。
さらに交通死亡事故発生件数を見てみると、正面衝突等791件が最も多く、次いで歩行者横断中612件、出会い頭衝突332件の順で、出会い頭の事故による死亡件数は3番目に多くなっています。
出会い頭の事故が多く発生しているのは、見通しの悪い信号機が設置されていない交差点です。
市街地には建物などにより見通しのよくない場所が多く、特に信号機が設置されていないと、交差点内の状況を認識できずに交通事故が起きやすいと考えられます。
また、道路環境に問題がなく、見通しのよい交差点であっても、運転手の見落としや判断ミスによって出会い頭の事故が起きることもあるでしょう。
同乗者との雑談に気を取られていたり、「相手方が停止するだろう」と思いこんだりして、事故につながることもありえます。
自分の運転に過失が少ないことを証明できるのは、やはりドライブレコーダーの映像が有効です。まだ自分の車にドライブレコーダーを装着されていない方は、装着することを強くお勧めします。
出会い頭の衝突事故は、必ず相手方が存在します。
そのため、自分と相手のどちらにより大きな責任があるのかを示す「過失割合」を決めることになります。
過失割合は法律専門誌に記載されている、過去の類似した交通事故態様ごとの基準を目安に決められます。しかし、類似した事故といっても同じ事故はありません。
そのため個別の事情を考慮しながらその都度決定されることになります。
例)
同幅員で信号機がない道路での直進者同士の出会い頭事故の場合
道路交通法36条1項1号 に規定により、「左方車(この場合A)」が優先されます。実際の事故では、個々の事故の状況を鑑みて過失割合を決めます。
出会い頭の事故の過失割合は、車両同士の位置関係に加え、個々の状況を総合的に判断して決まります。
たとえば以下のような要素が、過失割合に影響します。
交差点の一方の道路の幅が明らかに広い場合、広い道路のほうが優先され、左方優先の原則は問われません。
なお、どの程度広ければ「明らかに広い」といえるのかは法律による明確な基準はありません。
交差点の一方の道路に停止線があれば、当然ながら一時停止を無視した車のほうが過失割合は高くなります。
交差点の一方の道路が優先道路というケースはどうでしょうか。
交差点内まで中央線が引かれている道路や、標識で優先道路であることが表示されている場合は、その優先道路を走行している車両が優先されます。
優先でないほうの道路から優先道路に進入しようとする車両の過失割合が高くなります。
事故の際のスピードも過失割合に影響します。
交差点の場合、相手の車が徐行してくれるだろうと安易に予測してはならず、自らも事故の危険を避けるために徐行をする必要があります。
ここで徐行せずに通行して事故を起こしたような場合、過失割合は高くなります。
出会い頭の事故を防ぐには、まずは交通ルールをしっかりと守る意識が必要です。
道路標識やカーブミラーを必ず確認し、一時停止や徐行を守ることで出会い頭の事故の多くは防ぐことができます。
特に交差点付近では周囲の状況に目を配る必要があります。
たとえ自分が優先道路を走っていたとしても、油断してはいけません。
突然車両や自転車などが飛び出してくることも考えられるため、状況を見極め、進入しそうな車両などを確認した場合は、減速して備えておくことが大切です。
過失割合を争う場合、自動車保険に弁護士費用等特約が付帯されていれば、弁護士に交渉してもらえるので安心です。
出会い頭の事故は、異なる方向から進入してきた車両同士が交差するときに衝突する事故です。
出会い頭の事故の過失割合は、法律専門誌に記載されている、過去の類似した交通事故態様ごとの基準に基づいて、個別の事情も考慮しながら決定されます。
過失割合には道路の幅や一時停止の規制、優先道路の有無、速度などが影響します。
出会い頭の事故を防ぐためには、事故が起きやすい信号機のない交差点では特に周囲の状況を確認しながら、安全運転を心がけることが大切です。
※記載の情報は、2022年11月30日時点の内容です。
1965年生まれ。芝浦工業大学工学部機械工学科卒。トヨタ直営販社の営業マン、輸入車専門誌の編集者を経て自動車ジャーナリストとして独立。さまざまな自動車雑誌の他エンジニア向けのウェブメディアなどに寄稿している。
近著に『電気自動車用パワーユニットの必須知識』(日刊工業新聞社)、『エコカー技術の最前線』(SBクリエイティブ)、『図解カーメカニズム基礎講座パワートレーン編』(日経BP社)がある。
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員
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