更新日:2025年4月8日
公開日:2020年9月30日
車が走行不能な故障を起こしたり、廃車にして車体を処分したりする場合、レッカー車などで車を移動させなくてはなりません。レッカー車とはどのような車なのか、レッカーサービスの内容やレッカー代、手配について、その他注意点などをご説明します。
事故や故障などにより、自力で動けなくなった車や違法駐車の車の車輪を吊り上げて牽引するための装置をもち、移動させるために使用する特殊用途自動車のことです。
国土交通省から出されている依命通達では、以下のような構造条件を満たしているものと記載されています。
レッカー車は事故車などを引き起こしたり、持ち上げたりするため「アンダーリフト」「ウインチブーム」「クレーン」などを装備しています。しかしレッカー車は、レッカー作業に使用する必要最小限の装置などを除いて、物品を積むための装備はありません。
ディーラーや修理業者、廃車引取り業者などはレッカー車ではなくセーフティローダーという荷台が後傾して車両を積載できるトラックを使います。こちらは車両の四輪が動くのが前提となりますが、ロードサービスでも使われています。
車が突然の故障や事故に遭遇した場合、レッカー車により車を修理工場などに移動させるために利用するのがレッカーサービスです。
レッカーサービスを依頼する主な場面は、次の3つです。
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①車のタイヤがパンクしたり、故障したりしたとき |
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②車が事故に遭遇し、走行できなくなったとき |
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③駐車違反への対処として、警察が違反車をレッカー移動させるとき |
このうち、①と②は自力で走行するのが難しい状態で、原則として運転者自身がレッカー移動を依頼するものです。一方③の場合、そのまま車両を放置しておくと交通・保安上の問題があることから、警察がレッカー移動の手配をすることになります。
レッカーサービスは一般的に、車のトラブルを解決してくれる「ロードサービス」の一環として提供されています。
通常は「自動車保険に付帯するロードサービス」か「JAF(日本自動車連盟)のロードサービス」のどちらかを選んで手配することになりますので、それぞれの特徴を見ておきましょう。
自動車保険のロードサービスは、任意の自動車保険が提供しているもので、自動付帯されているのが一般的です。
ロードサービスの内容
内容 | 例 |
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車の故障やトラブルへの現場対応 ![]() |
バッテリー上がり、パンク、キー閉じ込み、ガス欠など |
レッカー移動 ![]() |
事故や故障のトラブルにより車が自力で走行不能になった場合、修理工場まで移動する |
レッカー移動により移動困難になった場合の宿泊費などのサポート ![]() |
レッカー移動で帰宅が困難になった場合のホテル代などの宿泊費用、一時的な代車費用(レンタカー)など |
ロードサービスの利用条件、無料での移動距離などの内容は保険会社によって異なります。保険加入の段階でしっかり確認しておきましょう。
チューリッヒのスーパー自動車保険のロードサービスは、自動車保険のご契約者さまであればすべてのロードサービスを無料で利用できます。(ただし、利用回数に制限があるサービスがあります)
全国のサービス拠点から、24時間365日迅速に現場に急行するため、ロードサービスを受けられます。また、ロードサービスを利用しても、翌年度の等級や保険料に影響はありません。
JAFのロードサービスは年会費を支払っている会員個人に対してロードサービスを提供しています。(非会員であっても有償でロードサービスを受けることは可能)
任意の自動車保険の場合は、契約車両のみロードサービスの対象ですが、JAFのロードサービスの対象は会員です。複数の車を運転する方はJAFのロードサービスが便利な場合もあります。
たとえば、仕事上会社の車に乗っているときにトラブルが発生した場合もJAFの会員であればロードサービスをうけることが可能です。
前述のとおり、自動車保険のロードサービスは自動付帯していることが一般的です。ただし、利用条件や回数などサービスの範囲は保険会社によって異なります。
たとえば、レッカー移動する距離や、修理後の搬送費用、宿泊費用などに上限が設けられていることがありますので、注意が必要です。
レッカー対象となるのは、自力で走行不能※となった契約車両です。チューリッヒでは、100kmまで無料のレッカーサービスを手配します。
事故や故障のトラブルにより車が自力で走行不能になった場合、お客さまご指定の修理工場への移動はレッカー距離100kmまで無料です。
なお、事故の際のみご利用いただけるチューリッヒの「指定修理工場」には、距離の制限なく搬送します。
走行不能とは
・事故・故障により走行できない状態
・道路交通法上、運転してはならない車両の状態
なお、スタッドレスタイヤやタイヤチェーンなどを装着することにより走行可能な場合は、走行不能にあたりません。
チューリッヒのスーパー自動車保険に付帯するロードサービスでのレッカー移動は、友人の車や代車など、契約車両以外の車を運転していた場合、対象外となります。
帰宅費用サポート ![]() |
契約車両の事故・故障・トラブル現場から自宅または予定していた目的地への交通費(原則、電車・バス)の実費を、当日搭乗していた方全員分(乗車定員上限)を、限度額なしで支払うサポートサービスです。 |
ホテル代(宿泊費用)サポート ![]() |
契約車両の事故・故障・トラブルにより、現場から当日の帰宅が困難と判断された場合、当日1泊の宿泊費用を当日契約車両に搭乗していた人数分(乗車定員上限)を限度に支払うサポートサービスです。(原則として最寄りのビジネスホテルクラスとなり、宿泊先の指定はできません。また、事故・故障・トラブル発生前にすでに予約していた宿泊先の費用は、サポート対象外となり、乗車定員を上限とします。) |
ドライブ旅行中などでハプニングにより自車での移動ができなくなった場合、帰宅の交通費や宿泊費など家族の分までサポートしてくれるのはありがたいですよね。いざというときには役立つ、安心できる要素です。
JAFは年会費を払って会員になると無料でロードサービスを受けられます。非会員でもトラブル時にロードサービスを呼ぶことは可能です。JAFのレッカー代は会員の場合けん引は20kmまで無料、基本料・作業料も無料です。
非会員の場合は基本料、作業料がかかり、また昼間と夜間での料金も異なります。
詳しくはJAFの公式ウェブサイトで確認できます。
※出典元:JAF「ロードサービスの料金を調べる」
※2025年4月時点
レッカー車と、レッカーサービスについてご説明しました。車をレッカー移動させる必要がある場合、JAFもしくは自動車保険に付帯するロードサービスを利用するのが一般的です。
予期せぬ事故やトラブルに備えるためにも、自動車保険を検討する際は、ロードサービスの「レッカー移動サービス」の内容、さらに自車をレッカー移動したことで帰宅が困難になった場合の宿泊費や交通費のサポートについても確認しておくとよいでしょう。
※記載の情報は2025年4月時点の内容です。
1965年生まれ。芝浦工業大学工学部機械工学科卒。トヨタ直営販社の営業マン、輸入車専門誌の編集者を経て自動車ジャーナリストとして独立。さまざまな自動車雑誌の他、エンジニア向けのウェブメディアなどに寄稿している。
近著に『電気自動車用パワーユニットの必須知識』(日刊工業新聞社)、『エコカー技術の最前線』(SBクリエイティブ)、『図解カーメカニズム基礎講座パワートレーン編』(日経BP社)がある。
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員
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