年末調整で控除を受けるため、勤務先に生命保険や医療保険などの保険料の控除証明書を提出している方もいらっしゃるでしょう。そこで「自動車保険も保険の一種だから、年末調整の対象になるのでは?」と思っている方も多いかもしれません。
実は、以前は自動車保険も控除の対象になっていたのですが、平成18年に税制変更があり、現在は控除の対象から外されています。ただし、事業用の自動車であれば、確定申告時に保険料を経費として計上することができます。以下、詳しく説明します。
毎年行われる年末調整は、「払い過ぎた税金が戻ってくる」という税制上のしくみです。改めて解説します。
「年末調整」とは、給与から毎月天引きされている税金の額を「本来の金額」に調整し、不足している場合には納付し、払い過ぎている場合には返還するしくみのことです。1年間の給与額が確定した年末に、本来の税額を確定するため、扶養家族の状況や支払った保険料などの控除額を計算します。この計算を行うのは、給与から税金を天引きしている勤め先の企業であり、年末調整は「給与」を受け取っている従業員に対してのみ行われるものです。
アルバイトやパートであっても、条件によっては会社で年末調整を行います(勤務期間や年内に受け取る給与の総額などによります)。
フリーランスや個人事業主など、「報酬」という形で業務に対する支払いを受けている場合には、自分で、あるいは個人で税理士に依頼するなどして確定申告を行う必要があります。
年末調整に関わるのは、「所得税」という税金です。所得税は「年間所得」の額で決まるものであり、所得の金額が大きければ税金も増えます。保険料を支払っていると、その分を所得から減らして計算され(=控除され)ます。これにより年間所得が減り、支払うべき所得税が少なくなるため、税金の返還が発生するのです。
社員は「保険料控除証明書」を勤め先に提出し、会社で年末調整の手続きをすすめてもらうことになります。保険料控除証明書とは、保険会社から発行される書類で、「保険料を年内にどれだけ支払ったか」を証明します。会社勤めではない自営業、フリーランスや個人事業主などの人々も、確定申告を行う際に必要です。
平成18年の税制改正までは「損害保険料」も控除の対象であり、損害保険料のひとつである自動車保険も控除対象に含まれていました。
現在、自動車保険の保険料は控除の対象とならないため、控除証明書は、基本的には発行されません。
事業用に車を使用し、自動車保険料を支払っている場合も、年末調整の控除の対象ではありません。
平成18年の税制改正により、19年分からの損害保険料については、控除対象ではなくなりました。その代わり控除の対象となったのが、「地震保険料」です。現在、年末調整の控除対象となっているものは以下の3つとなっています。
【年末調整の控除対象となるもの】
もし自動車保険に加入している自動車が事業用である場合、前述のように所得控除の対象にはなりませんが、「自賠責保険」、「任意保険」ともに支払った保険料を経費として計上することが可能です。ただし、他の経費と同様に、自分で書類を作成し税務署に申告する必要がありますのでご注意ください。申告の際には保険料控除証明書の添付が必要となります。
では、自動車保険料はどの勘定項目で仕訳すればよいのでしょう? 自賠責保険と任意保険に分けて説明します。
【自賠責保険】
勘定科目は「損害保険料」、あるいは「車両費」として、経費として計上することができます。12ヵ月以上の契約期間の保険料であっても、法律上の加入が義務付けられているという理由から、支払った年に全額を経費として計上することが容認されています。
【任意保険】
契約期間が1年以内の任意保険の場合も「損害保険料」、あるいは「車両費」のどちらかで仕訳します。
1年以上の契約期間である自動車保険料は「長期前払費用」とし、期間ごとに按分してから「損害保険料」あるいは「車両費」として仕訳します。
「事業用の車」と言っても、事業のみに利用する車と、事業で使わない日には自家用車としてプライベートで利用している車があると思います。それぞれ経費としての計上方法は異なりますので、注意してください。
①事業専用車の場合
保険をかけている車が事業用専用車である場合、勘定科目は「損害保険料」、あるいは「車両費」として、経費として計上することができます。ただし、契約期間の単位が1年以上の自動車保険(任意保険)については、「期間按分」といい、確定申告を行う1年分の保険料を算出してから処理する必要があります。
なお、自賠責保険については、12ヵ月以上の契約期間の保険料であっても、法律上加入が義務付けられていることから、支払った年に全額を経費として計上することが認められています。
②自家用車を事業としても利用している場合
事業で使用する車を自家用車としても利用している場合には、その車に掛かる費用全額を経費として計上することはできません。自動車保険料も同じく、事業用とプライベート用の使用割合を算出して按分を計算します。
「按分」とは、「どの程度の割合が事業での利用になるか」の基準の数値を出して割ることです。たとえば、月間の半分程度を事業に利用しているとすれば、自動車保険の按分率は50%となります。1年のうち何日事業に利用したかを正確に記録し経費の計算をするのは難しいため、このような「基準の数値」を出すことで計算しやすくしているのです。
事業での利用と家庭での利用の割合で算出し、事業に関する部分だけを計上することを「家事按分」と言います。家事按分した後は、?でご説明したのと同じく、勘定科目「損害保険料」、または「車両費」として仕訳し、経費として計上します。
以上、自動車保険の保険料に関する、年末調整、確定申告についてご説明しました。会社の従業員の方については、自動車保険は年末調整の控除対象とはなりませんが、確定申告を行う方については経費として計上することが可能です。
事業用として車を利用している場合には、管轄の税務署や税理士などの専門家に相談してみるとよいでしょう。
最後に、車を所有されている方は、チューリッヒの自動車保険をご検討ください。
万が一の車の事故・故障・トラブルに備えておくと安心です。
※本記事の内容は特段の記載がない限り、チューリッヒの保険商品ではなく、一般的な保険商品の説明です。
※チューリッヒの自動車保険に関する内容について
本記事内で紹介しているチューリッヒの自動車保険に関する内容につきましては、ご契約の保険始期および契約条件によって、ご契約のお客様に適用されない場合がございます。
必ずお客様の保険証券、約款、重要事項説明書の記載などをご確認ください。
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