更新日:2024年2月9日
公開日:2021年8月3日
万が一の自動車事故に対する備えは、保険会社が提供する自動車保険の他に、相互扶助(助け合い)の保障(補償)制度である自動車共済(JA共済やこくみん共済など)があります。
これから自動車を新たに購入する方や、自動車保険の乗り換えなどを検討している方の中には、自動車保険と自動車共済のどちらを選んだらよいか悩むこともあるかもしれません。どちらも自賠責保険ではまかなえない部分をカバーするものですが、自動車共済と自動車保険にはどのような違いがあるのでしょうか。
共済の定義から共済の種類、自動車共済の補償内容、自動車共済についてご説明します。自動車保険とJA共済やこくみん共済(全労済)の違いについてもご説明します。
「共済」とは、生活を脅かすさまざまなリスクに対し、共済事業を行っている団体の組合員が拠出する「共済掛金」によって、不測の事故が生じた場合に「共済金」を支払うことによって、組合員やその家族の生活の安定をはかる相互扶助(助け合い)の保障のしくみです。
組合員同士の相互扶助の精神のもと運営され、組合員に万が一の事故があった場合に、金銭面での補償をします。
通常の生命保険や自動車保険などと同様に、組合員は保険料に相当する共済掛金を共済組合に支払い、組合員やその家族が自動車事故にあった場合は、共済組合から保険金として共済金が支払われます。
共済組合としては、全国共済農業協同組合連合会が運営する「JA共済」や、全国労働者共済生活協同組合連合会が運営する「こくみん共済(全労済)」が知られています。
他にも大小さまざまな共済組合(協同組合)があります。
共済には一般の保険商品と同様に、代表的な共済商品として次の3つがあります。
組合員や家族の病気、けが、入院、さらには死亡したときの補償をする共済です。
火災や自然災害などで、組合員の家や家財に被害があったときの補償をする共済です。
組合員が自動車事故を起こした場合の補償をする共済です。
自動車共済を扱っているのは以下のような共済組合(協同組合)になります。
など
自動車共済の補償対象は、保険会社が提供する自動車保険と同等のものです。
たとえば、こくみん共済(全労済)の「マイカー共済(自動車総合補償共済)」の補償内容は、
となっています。
また、事故発生時の電話受付、自走不能な場合のレッカー搬送などの電話受付は24時間365日行っているなど、基本的な補償内容、事故発生から事故後のフォローは、保険会社の自動車保険と大きな違いはありません。
※2023年11月執筆現在
自動車保険とJA共済、こくみん共済(全労済)では、次のような違いがあります。
自動車保険 | JA共済 | こくみん共済(全労済) | |
---|---|---|---|
運営者 | 保険会社 | 全国共済農業協同組合連合会(JA共済連) | 全国労働者共済生活協同組合連合会 |
運営目的 | 営利 | 相互扶助 | 相互扶助 |
名称の違い | 保険料 | 掛金 | 掛金 |
保険証券 | 自動車共済証書 | 共済契約証書 | |
等級 | 1〜20等級 | 1〜20等級 | 1〜22等級 |
それぞれの違いを詳しくご紹介しましょう。
保険会社と共済の最も大きな違いは、保険会社が営利を目的に事業を行っているのに対して、共済は組合員の相互扶助(助け合い)を目的としているため、営利を目的としていないということです。
保険会社の場合は保険料として支払いますが、共済では掛金として徴収されます。
相互扶助を目的とする共済は、組合員があらかじめ一定の金額(掛金)を出し合って、共同の財産(共済掛金)を準備して事故などが起きた場合に損害を補償(共済金の支払い)がされるしくみです。
自動車共済の等級は、JA共済、教職員共済は保険会社と同じく、1〜20等級までの20段階の等級制度です。ただし「こくみん共済のマイカー共済」は22等級までとなっています。
スタートとなる等級は、共済も保険会社と同じく6等級からです。事故の有無で等級が上下し、等級が上がれば掛金が安くなります。
共済から保険会社に乗り換える場合、一部で等級の引継ぎができないケースがありますので、事前に保険会社に確認しておきましょう。
自動車保険から共済(共済から自動車保険)への乗り換えをする場合、共済の種類によっては等級の引き継ぎができない場合もあるので、乗り換える際にはそうしたことまで含めて検討するようにしましょう。
保険会社の自動車保険は、不特定多数を対象としており、18歳以上であれば加入することができます。しかし、共済の場合は、原則、運営する共済組合の組合員などでなければ加入することはできません。
たとえば教職員共済の「自動車共済」に加入できる人は、全国の学校や幼稚園、公立学校共済組合や文部科学省共済組合、日本私立学校振興・共済事業団などの団体で働き、教職員共済生活協同組合の組合員に限定されます。
一方、「JA共済」は農業組合員以外の人でも加入できます。「こくみん共済(全労済)」は出資金を支払えば、誰でも組合員の資格を得られ、事業の利用が可能となります。
自動車保険の場合、保険契約の内容を証明する「保険証券」が発行されます。ただし、ダイレクト型の自動車保険では、保険証券を発行しないケースもあり、その場合はe証券割引が適用されます。
一方、JA共済の場合は保険証券ではなく「自動車共済証書」、こくみん共済(全労済)の場合は「共済契約証書」が発行されます。
では自動車共済と保険会社の自動車保険、どちらを選ぶのがよいのでしょうか。
自動車保険の比較サイト(一括見積りサイト)などのウェブサイトなどで、自動車共済と、保険会社の自動車保険の補償内容、サービス内容を確認し、見積りを比較しながら自分に適したものを選びましょう。
自動車保険を乗り換える際に現在契約している自動車保険(自動車共済)を解約する必要があります。
保険会社によっては2年以上の複数年契約を販売している保険会社もあります。1年契約であるか、複数年契約であるかは保険証券に記載されている「保険期間(もしくは共済期間)」を必ずご確認ください。
また、自動車保険の乗り換え時に等級を引き継ぐためには、現契約の満期日(解約日)と次の契約の保険開始日までの期間が、7日間以内である必要があります。
現契約の満期日(解約日)から保険期間開始日まで8日以上になると、原則として引き継ぐことができずに、あらためて6等級にリセットされてしまうため注意しましょう。
自動車共済とは、こくみん共済(全労済)やJA共済などの共済組合が扱う自動車事故への備えです。
自動車共済に加入すると、保険料にあたる掛金を支払うことで、自動車保険と同じように、万が一の事故の場合に共済金(保険金)が支払われます。
自動車共済と自動車保険のどちらかを選ぶ際は、ダイレクト型保険会社の自動車保険などと比較して自分に適したものを選びましょう。
共済は営利を目的としていない、ということで掛金が割安な印象を受けますが、自動車保険も共済もそれぞれのよさがあります。掛金(保険料)だけでなく、補償内容や等級制度などを比較して自分に合ったほうを見定めましょう。
※記載の情報は、2023年11月2日時点の内容です。
1965年生まれ。芝浦工業大学工学部機械工学科卒。トヨタ直営販社の営業マン、輸入車専門誌の編集者を経て自動車ジャーナリストとして独立。さまざまな自動車雑誌の他、エンジニア向けのウェブメディアなどに寄稿している。
近著に『電気自動車用パワーユニットの必須知識』(日刊工業新聞社)、『エコカー技術の最前線』(SBクリエイティブ)、『図解カーメカニズム基礎講座パワートレーン編』(日経BP社)がある。
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員
自動車共済は、共済組合によって運営される、自動車事故に備えた補償です。相手方に対する補償、ご自身や搭乗中の方に対する補償、契約中の車に関する補償の3つの補償があります。
自動車共済と強制保険である自賠責保険は違います。自動車共済は任意で加入するものであり、自賠責保険でカバーできない賠償責任に備えるものです。
※本記事の内容は特段の記載がない限り、チューリッヒの保険商品ではなく、一般的な保険商品の説明です。
※チューリッヒの自動車保険に関する内容について
本記事内で紹介しているチューリッヒの自動車保険に関する内容につきましては、ご契約の保険始期および契約条件によって、ご契約のお客さまに適用されない場合がございます。
必ずお客さまの保険証券、約款、重要事項説明書の記載などをご確認ください。
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