車を運転するときは、前の車が急に停まっても追突しないよう、安全な距離を保たなければなりません。適切な車間距離を保持せずに前の車に近づいていると「あおり運転(妨害運転)」と見なされてしまうこともあります。
「あおり運転」は、他の車両の通行を妨害し、重大な交通事故にもつながる極めて悪質で危険な行為です。
2020年6月30日には、通行を妨害する目的で、車間距離不保持違反や急ブレーキ禁止違反を行うなどの「あおり運転」を取り締まる「妨害運転罪」も創設されました。
安全な車間距離の目安についてご説明します。また充分な車間距離をとっていないことによる違反「車間距離不保持違反」についてもご説明します。
追突事故を起こさないためにも重要な、車間距離についてご説明します。
車間距離とは、走行中の車が前を走る車との間に保つ距離のことです。
道路交通法第26条の「車間距離の保持」では、直前の車が急停止してもこれに追突しない距離を保持することが定められています。
とるべき車間距離は、路面やタイヤの状態、車の速度、運転者の反応するタイミングなどによっても変わりますが、啓蒙されている目安があります。
目安については後ほどご説明します。
車を走行する際に前の車と適切な車間距離を取らず、近づいて走ることは車間距離保持義務に違反します。
一般道での車間距離不保持は「車間距離不保持違反」、高速道路での車間距離不保持は、「高速自動車国道等車間距離不保持違反」という違反になります。
道路交通法第26条により、車間距離不保持違反の罰則は、一般道路は5万円以下の罰金、高速道路は3ヵ月以下の懲役または5万円以下の罰金になります。
それぞれの違反点数と反則金も確認しておきましょう。
車間距離不保持違反 | 反則金 | 違反点数 |
---|---|---|
大型車 | 7,000円 | 1点 |
普通車 | 6,000円 | |
二輪車 | 6,000円 | |
原付 | 5,000円 |
高速自動車国道等車間距離不保持違反 | 反則金 | 違反点数 |
---|---|---|
大型車 | 12,000円 | 2点 |
普通車 | 9,000円 | |
二輪車 | 7,000円 |
特に高速道路における車間距離不保持は危険性が高いこと、またあおり運転が大きな社会問題となっていることもあり、警察による車間距離不保持の取締りも強化されています。
そして、あおり運転など悪質・危険な妨害運転を未然に防止するため、警察庁は車間距離不保持、急ブレーキ禁止違反などの道路交通法違反について、積極的な交通指導取締りを推進するよう通達しています。
車を運転中は、前の車が急に停まったとしても、追突しないような安全な車間距離をとらなければなりません。
特に大型自動車、中型自動車および準中型自動車は普通自動車に比べ、運転席の位置が高いため、どうしても見下ろす形になります。
すると、車間距離が実際より長く感じられるので注意が必要です。
走行中どのようにして車間距離を測るのでしょうか。おそらくカンで車間距離を取っているのではないでしょうか。
警視庁サイトに交通心理学会調べた実験結果が記載されているため、以下ご参考ください。
運転していて走りやすい車間距離は以下との実験結果です。
・時速50キロメートルでは車間距離は25メートル
・60キロメートルでは28メートル
・80キロメートルでは43メートル
高速道路での車間距離の考え方も一般の道路と同様、速度と同じ車間距離を確保するという目安があります。
路面が乾燥していて、タイヤが新しい場合、時速100kmでは約100m、時速80kmでは約80mの車間距離をとる必要があります。
また、路面が雨に濡れ、タイヤがすり減っている場合は、この約2倍程度の車間距離が必要になることがあります。
特に高速道路において、車間距離不保持は非常に危険性が高い行為です。
高速道路には、適正な車間距離をキープする目安となる車間距離確認表示板(上画像)が設置されています。
このような表示板を活用するようにしましょう。
また、夜間など暗いときはデリニエ−タ−(視線誘導施設)を利用して目印とすることができます。
こちらもあわせて活用するようにしましょう。
これまで広く啓蒙されてきた、速度と同じ数値を基準に車間距離をとるという方法は、
などのデメリットがあります。
「高速道路調査会」がまとめた報告書によると、「100km/h走行時に100mの車間距離を空けると割り込みにより逆に危険度が増し、混雑時は車間距離が短くなり、なお一層危険な状況になる」と指摘しています。
※出典:「高速道路における適正な車両間隔に関する調査研究(平成28年度報告)」
そこで取り入れられているのが車間を時間で捉えるという方法です。
欧米では車間を「距離」ではなく、「時間」で捉える考え方が広がっています。
前を走行する車両が標識など道路上の目印を通過した時点から、自分の車両がその目印を通過するまでの時間を測るのです。
混雑時は約2秒、混雑していない場合は2秒以上、減速に時間がかかる大型車などは3秒以上と時間を目安にする方法を推奨しています。
この方法は各地の警察でも取り入れられていて、埼玉県警ではゆとり車間距離「0102運動」(ゼロイチゼロニ運動)として実施しています。
目標地点となる電柱や照明灯などを前の車が通過したとして、その通過の瞬間を「0」とします。
そして、自分の車が同じ目標地点を通過するまでに「2秒以上」数えることができれば、車間距離が2秒以上あることになります。
埼玉県警では正確な2秒をカウントするために「1、2(イチ、ニ)」と数えるのではなく、「0、1、0、2(ゼロ、イチ、ゼロ、ニ)」とゼロをいれて数えることを推奨しています。
前を走る車や走行スピードによっては、2秒ではなく1秒プラスして3秒とったほうがよいという説もあります。
危険を察知し、ブレーキに踏み替え、ブレーキが利き始める間の空走距離、実際にブレーキが利やき始めて車が停止する制動距離を合わせると約3秒という実験データをもとに、大分県では追突事故を防ぐためには、3秒の車間距離を保ったゆとりある運転が必要だと啓蒙しています。
空走距離、制動距離、車間距離の関係についてはこちらの記事も参考にしてください。
適切な車間距離を保つことの重要性、目安についてご説明してきました。特に高速道路では「時速100kmでは100mの車間距離」というように速度と同じ数字の距離を確保するという目安が知られてきました。
また、最近では車間を時間で捉える方法もあり、警察でも推奨しています。適切な車間距離のひとつの目安として、前走車から2〜3秒という目安も覚えておくとよいでしょう。
車間距離が近いと前走車に「あおり運転」をされていると無用な誤解をされることもあるので注意しましょう。
最後に、車を所有されている方は、チューリッヒの自動車保険をご検討ください。
万が一の車の事故・故障・トラブルに備えておくと安心です。
※記載の情報は、2024年6月時点の内容です。
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