2017年6月、東名高速道路で起きた死傷事故をきっかけに「あおり運転」は一気に社会問題化し、罰則が創設されました。「あおり運転」にあたる違反行為10類型と罰則、あおり運転にあったときの対処法をご説明します。
あおり運転とは「他の車両等の通行を妨害する目的」で、無理な幅寄せや車間を詰めるなどの「一定の違反行為」を行い、他の車両等に「道路における交通の危険を生じさせるおそれのある運転」をすることです。
具体的には
などの行為です。
あおり運転にあたる違反行為(10類型)を項目別に列挙します。
違反行為 | 運転態様 |
---|---|
通行区分違反 (道路交通法第17条第4項) |
対向車線から接近や逆走をする |
急ブレーキの禁止違反 (同24条) |
危険回避などのやむを得ない場合以外で、不要な急ブレーキをかける |
車間距離不保持 (同26条) |
車間距離を極端に詰め、先行車に激しく接近する |
進路変更禁止違反 (同26条の2第2項) |
急な進路変更や複数の車線をまたいだ「ジグザグ運転」や「蛇行運転」 |
追越し方法違反 (同28条) |
先行車を左側から追い越したり、後方や対向を走行中の車両に危険を及ぼすような方法で追い越す |
減光等義務違反 (同52条第2項) |
夜間、不必要なハイビームを継続する |
警音器使用制限違反 (同54条第2項) |
「警笛鳴らせ」の標識のない場所で、具体的危険がないのにクラクションを鳴らす |
安全運転義務違反 (同70条) |
急な加減速や幅寄せを行うなど他の車両に危険を及ぼすような運転 |
最低速度違反(高速自動車国道) (同第75条の4) |
高速道路の本線車道で故意に最低速度の50km/h未満で走行し、嫌がらせをする |
高速自動車国道等における駐停車違反 (第75条の8第1項) |
周囲の車両への嫌がらせなどを目的として高速道路上で駐停車する |
2023年6月執筆現在
道路交通法の一部を改正する法律により、妨害運転(「あおり運転」)に対する罰則が創設され(2020年6月30日施行)、さらに免許取消処分の対象に追加されました。
妨害運転(「あおり運転」)をした場合 (交通の危険のおそれ) 道路交通法第117条の2の2 |
罰則 | 違反点数 | 行政処分 |
---|---|---|---|
他の車両等の通行を妨害する目的で、車間距離を詰める等の一定の違反行為をして、他の車両等に道路における交通の危険を生じさせるおそれのある運転をした場合 |
3年以下の懲役 又は50万円以下の罰金 |
25点 |
免許取消し (欠格期間2年※) |
妨害運転(「あおり運転」)により 著しい交通の危険を生じさせた場合 道路交通法第117条の2 |
罰則 | 違反点数 | 行政処分 |
---|---|---|---|
上記の罪を犯し、よって高速自動車国道等において他の自動車を停止させ、その他道路における著しい交通の危険を生じさせた場合 |
5年以下の懲役 又は100万円以下の罰金 |
35点 |
免許取消し (欠格期間3年※) |
2023年6月執筆現在
では、実際に自分があおり運転にあったらどう対処すべきでしょうか?
まず、自分がいまどういう運転をしているのかを確かめましょう。高速道路で追い越し車線を走っていたら、周囲の安全を確認して走行車線に戻りましょう。
スピードを落とすことで、追い越して、通り過ぎてくれればいいのですが、しつこく追い回されるなど悪質な場合は、SA(サービスエリア)やPA(パーキングエリア)に入るなど、近くの安全な場所に避難しましょう。
相手と直接コミュニケーションを取ろうとしてはいけません。そして車のドアを開けずに警察に通報しましょう。相手が車外から車を降りるように迫ってきても、決して外に出ないようにしてください。
あおり運転の被害にあわないことが1番ですが、対策としてドライブレコーダーを取り付けるとよいでしょう。ドライブレコーダーは後方からのあおり運転だけでなく、万が一の事故の際、証拠として採用される可能性があるからです。
私たちにできることは周囲をよく見て、まわりの車に思いやりをもった運転をするという安全運転の基本に立ち返ることでしょう。
※記載の情報は、2023年6月時点の内容です。
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