「2021年 あおり運転実態調査」最新の結果(2021年8月17日発表)はこちら
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自分が気を付けて運転していても、巻き込まれてしまうこともある「あおり運転(煽り運転)」。ドライバーなら誰にでも起こりうる身近な問題です。今回は、ドライバー2,230人を対象に行った調査から、「あおり運転」の実態を明らかにするとともに、巻き込まれないようにするにはどうすればよいのか、交通心理学に詳しい九州大学 志堂寺 和則教授に回避策を伺いました。
2017年6月に東名高速道路で発生したあおり運転による死亡事故をきっかけに、これまで踏切停止違反や携帯電話使用などと同等だった刑罰を厳罰化する動きが強まりました。2018年1月、警察庁は全国の警察にあおり運転などの悪質・危険な運転に対して、危険運転致死傷罪・暴行罪などを適用し、厳正に捜査するように求めました。それにより、事故に至っていない場合でも、あおり運転による暴行や脅迫などの事実が認められると、免許停止などの処分を行えることになりました。実際に、2018年2月、高速道路の追い越し車線で急ブレーキを繰り返し、後続の自動車5台が絡む事故を起こした19歳の大学生に対し、愛知県警は暴行容疑を適用しました。この「あおり運転に対する厳正な対処」の認知について聞いたところ、実際に知っているドライバーの割合は51.2%にとどまり、周知が進んでいない現状がうかがえます。
今回の調査では、あおり運転をされた経験が「ある」と答えたドライバーが、約7割を占めました。なかでも、「車体を接近させて、もっと速く走るよう挑発された」、「車体を接近させて、幅寄せされた」といった、「車体を接近」させる行為が多いことがわかりました。身近に横行している危険なあおり運転に対しては、警察の取り締まり強化に頼るだけではなく、あおられない運転を心がけたり、あおられた際の正しい対処法を知っておくことも不可欠です。
信号で停車したら、そのあとずっと左右にあおられた(女性/46歳)
目の前に急停車して降りてきた(男性/54歳)
パッシングしながら追跡してきた(男性/53歳)
追い越して前方停止で進路をふさがれた。千円を搾取された(男性/56歳)
オープンルーフから物を投げつけられた。最後は空ビンでフロントガラスにひびが入った(女性/62歳)
それでは実際に、あおり運転に巻き込まれたことのある車にはどのような特徴があるのでしょうか。今回の調査では、あおり運転された時に運転していた車は、「軽自動車」(28.8%)、「コンパクトカー/ハッチバック」(22.8%)が上位を占め、サイズの小さい車があおり運転を受けやすい傾向にありました。車体の色は、「ホワイト」(26.3%)、「シルバー」(25.8%)といった白系の車が半数以上を占めました。一方で、あおった側の車は、「セダン」(33.5%)、「バン/トラック」(18.3%)などの大きめの車で、色は「ブラック」(27.8%)が最も多い結果となりました。
あおり運転をされた経験のあるドライバーに、普段の運転について聞くと、「十分な車間距離を保つ」、「ウィンカーは早めに出す」はともに92.8%、「進路を譲る」は90.8%と割合が高く、マナーを守って安全運転を心がけている様子がわかります。
また、あおり運転に巻き込まれたドライバーの約7割が運転に自信が「ある」(17.0%)、「どちらかといえばある」(53.8%)と回答していることから、運転に不慣れな初心者だけでなく、普段から安全運転を心がけていて運転に自信のあるドライバーでも、あおり運転の被害に遭う可能性があるということを意識しておく必要があります。
あおり運転をされたきっかけとして思い当たる行動を聞いたところ、最も多かったのは、「車線変更をした」(17.7%)でした。次いで「追い越し車線を走り続けた」(15.3%)、「法定速度を守って走っていた」(14.5%)が上位を占めています。走行速度が遅い、割り込みや無理な追い越しをされたなどと相手のドライバーに感じ取られてしまうことが、あおり運転に巻き込まれる要因になっているようです。
今回の調査で、あおられた経験がある人が7割を占めていることからもわかるように、運転時には感情的になってしまうドライバーもいるため、誰しもあおり運転の被害者になってしまう可能性があります。また、あおられやすい車の多くは、軽自動車やコンパクトカーなどの小さな車です。それらの車には、大人しい人が乗っていて、あおり運転をしても反撃しないだろうという、弱い者いじめをする時と同じような読みがあるのだと思います。特にあおり運転の標的になりやすい車に乗っている人は、車線変更や追い越し車線を走る時には十分な注意が必要です。
実際にあおり運転に巻き込まれてしまった場合の対処として、「道を譲った」(57.0%)が最も多く、次いで「何もしなかった」(16.6%)、「路肩に停車した」(10.0%)が続きます。実際に「警察に通報した」人は、2%未満という結果に。現状、あおり運転に巻き込まれた場合、道を譲るなどの対処はするものの、警察に通報する人はごく僅かだということがわかりました。
あおり運転によるトラブルに巻き込まれそうになったら、挑発にのらず、交通法規を遵守して冷静に対処することが重要です。同乗者がいる場合は、110番通報、ナンバーなどの記録、動画撮影をしてもらうといいでしょう。いち早くその状況から抜け出すためにも、後続車があおってきたらすぐに道を譲りましょう。また、追い抜かれたら、あおってきた車と車間距離を十分にとって急停止などの危険行為に備えることが大切です。車を停車させる際は、コンビニやサービスエリアなど、なるべく人目のある安全な場所を選びましょう。停車したら、窓を閉めドアをロックして警察に通報を。警察の指示に従って行動しましょう。
実際にあおり運転被害を受けたドライバーの74.7%は、今後あおり運転されないように、何らかの工夫をしています。工夫していることの上位は「車間距離をしっかりとる」(56.8%)、「ウィンカーは早めに出すようにしている」(43.8%)、「急な割り込みをしない」(36.0%)など、周りのドライバーを刺激しないことです。あおり運転に巻き込まれないためには、まずは、周囲の車にあおり運転をさせる理由を与えないことが大切です。
割り込みされたり、不要なブレーキを前の車にされるとイライラする(女性/37歳)
法定速度以下の走行、横道から確認なしの飛び出し、ハイビームの対向車など自分本位で周囲への迷惑を考えない運転者に対して怒りを感じる(男性/50歳)
夕方の帰省ラッシュ中に、隣車線から割り込み運転をしてきた車がウィンカーも出さず、挨拶もせず、とても危険な行為をされたので、思わずものすごいクラクションを鳴らしてしまった(男性/34歳)
特に時間に余裕がない時の運転は攻撃的で危険だと言われた(男性/38歳)
負けず嫌いなところがあるので、幅寄せやせっつく車があるとむきになり、軽自動車であることをわすれて対抗心を燃やすことがある(男性/67歳)
運転中に、他のドライバーに対してカッとなり挑発的な運転をしそうになることがある人の割合は37.0%と約4割を占めました。2017年の1年間で、急接近や急ブレーキ、急な割り込みなどの事故を誘発するようなあおり運転は7,000件以上摘発されています。普段、安全運転を心がけていて、自分はあおり運転なんか絶対にしないと思っている人でも、運転中に思わずカッとなったりイラッとする瞬間はあります。あおり運転をしない、あおり運転に巻き込まれないためにも、どんな時も平常心を保ち、相手を思いやる運転を心がけることが大切です。
残念ながら、「あおり運転(煽り運転)」は全国で横行しており、警察の取り締まりにも限界があります。あおり運転から身を守るために、後続車が急いでいるようであればすぐに道を譲る、車線変更の際には他の車が死角に入っていないか入念に確認する、というように周囲に気を配った運転を心がけることが大切です。それでも危険なあおり運転に遭遇してしまったら、警察に通報して冷静に対処しましょう。
最後に、車を所有されている方は、チューリッヒの自動車保険をぜひご検討ください。
万が一の車の事故・故障・トラブルに備えておくと安心です。
志堂寺 和則(九州大学大学院システム情報科学研究院教授)
1962年生まれ。九州大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。九州大学助手、長崎大学講師、九州大学助教授、准教授を経て現在に至る。専門は、交通心理学、ヒューマンインタフェース。実車やドライビングシミュレータを用いたドライバーの運転行動の計測や運転適性の研究に従事。著書(分担執筆)には、『交通心理学』(北大路書房)、『交通心理学入門』(企業開発センター)、『交通事故防止の人間科学』(ナカニシヤ出版)、『だまされる脳』(講談社)などがある。
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