公開日:2022年11月7日
強制的に加入が義務付けられている自賠責保険に対し、自動車保険は任意で加入する制度です。自賠責保険は人身事故しか補償されず、また賠償金額にも制限があることから、多くの方が任意保険にも追加で加入しています。
万が一、任意保険に加入しないで事故を起こした場合、自賠責保険ではカバーしきれないほどの賠償責任を負うリスクがあります。加えて、事故に巻き込まれたときに相手が無保険だった場合の備えも重要です。
当記事では、任意保険の加入率の実態や、無保険の場合にどのようなリスクがあるのかを説明します。任意保険に入るべきか検討している方は、ぜひ参考にしてください。
任意保険には大きく2種類あります。ひとつは保険会社が取り扱う自動車保険、もうひとつは農協や生協など生活協同組合が掛け金を集める自動車共済です。
自動車保険と自動車共済を合計した任意保険の対人賠償の加入率は、2021年時点で、全国で88.4%です。車両数およそ8,208万台のうち、7,260万台がいずれかに加入しています。
自動車保険に加入する際に、ほぼすべての人が対人賠償を付けると推測できるので、「対人賠償の普及率は任意保険の加入率に限りなく近い」といえるでしょう。
任意保険の加入率は、毎年増加を続けています。
統計によると、2011年には80%弱だった対人賠償の普及率が、90%弱まで伸びてきました。
年 | 加入率(自動車保険+自動車共済) [※対人賠償の普及率] |
---|---|
2011年 | 78.2% |
2017年 | 87.9% |
2018年 | 88.0% |
2019年 | 88.2% |
2020年 | 88.3% |
2021年 | 88.4% |
(出典:自動車保険の概況|損害保険料率算出機構、2021年)
自動車保有車輌数もほぼ一貫して増え続けているなかで「任意保険の加入はリスクヘッジとして重要だ」と捉える方が増えているといえます。
全国では90%近い加入率ですが、地域差もあります。
まずは加入率の高い都道府県を見てみましょう。なおデータはすべて「自動車保険の概況」(損害保険料率算出機構、2021年)より抜粋したものです。
順位 | 都道府県名 | 加入率 |
---|---|---|
1位 | 富山県 | 92.6% |
2位 | 島根県 | 91.91% |
3位 | 香川県 | 91.89% |
4位 | 石川県 | 91.6% |
5位 | 愛知県 | 91.44% |
一方、加入率の低い都道府県は以下のとおりです。
順位 | 都道府県名 | 加入率 |
---|---|---|
1位 | 沖縄県 | 79.0% |
2位 | 鹿児島県 | 82.8% |
3位 | 山梨県 | 84.60% |
4位 | 茨城県 | 84.61% |
5位 | 宮崎県 | 84.7% |
さらに北から南まで、47都道府県の加入率を一覧にまとめます。
都道府県名 | 加入率 |
---|---|
北海道 | 86.1% |
青森県 | 89.9% |
岩手県 | 88.8% |
宮城県 | 90.1% |
秋田県 | 89.4% |
山形県 | 90.6% |
福島県 | 88.2% |
茨城県 | 84.6% |
栃木県 | 88.3% |
群馬県 | 89.1% |
埼玉県 | 88.1% |
千葉県 | 85.7% |
東京都 | 85.2% |
神奈川県 | 86.9% |
新潟県 | 91.3% |
富山県 | 92.6% |
石川県 | 91.6% |
福井県 | 91.4% |
山梨県 | 84.6% |
長野県 | 89.0% |
岐阜県 | 90.9% |
静岡県 | 88.8% |
愛知県 | 91.4% |
三重県 | 89.4% |
滋賀県 | 89.9% |
京都府 | 89.3% |
大阪府 | 88.0% |
兵庫県 | 89.0% |
奈良県 | 89.3% |
和歌山県 | 89.5% |
鳥取県 | 89.6% |
島根県 | 91.9% |
岡山県 | 89.8% |
広島県 | 90.5% |
山口県 | 90.6% |
徳島県 | 90.9% |
香川県 | 91.9% |
愛媛県 | 91.0% |
高知県 | 87.6% |
福岡県 | 87.3% |
佐賀県 | 90.2% |
長崎県 | 87.7% |
熊本県 | 88.5% |
大分県 | 86.1% |
宮崎県 | 84.7% |
鹿児島県 | 82.8% |
沖縄県 | 79.0% |
全国平均 | 88.4% |
70%台後半から90%台前半まで、地域によって加入率に開きがあります。
任意保険という名前のとおり、加入するかどうかは利用者の判断に委ねられています。
一方、自動車を保有した時点で「自動車損害賠償責任保険(通称:自賠責保険)」に加入することが義務付けられています。任意保険に対して、強制保険とも呼ばれます。
任意保険と比べると、自賠責保険は補償範囲が狭く、対人賠償に限られます。事故で被害者が亡くなるか、もしくはケガを負った場合にしか補償されません。さらに補償金額にも上限が定められており、たとえば死亡時の補償は3,000万円までです。そのため、自賠責保険だけでは補償をまかないきれないケースが考えられます。
対人 | 物損 |
---|---|
傷害 120万円 (治療費/休業損害/慰謝料) |
補償されない |
死亡時 3,000万円 (逸失利益/慰謝料/葬儀費) |
|
後遺障害時 4,000万円 (逸失利益/慰謝料) |
実際に、被害者が死亡した事故や後遺障害を負った場合には、数億円単位の高額な賠償判決が出された事例もあります。これは、ケガの治療費や慰謝料の他、事故がなければ本来得られたはずの収入や給与なども「逸失利益」として補償に含めて計算されるためです。
認定 総損害額 |
裁判所 | 判決年 | 被害者 性別年齢 |
被害者職業 | 被害態様 |
---|---|---|---|---|---|
5億2,853万円 | 横浜地裁 | 平成22年 | 男41歳 | 開業医 | 死亡 |
4億5,381万円 | 札幌地裁 | 平成27年 | 男30歳 | 公務員 | 後遺障害 |
4億5,251万円 | 横浜地裁 | 平成27年 | 男50歳 | コンサルタント | 後遺障害 |
4億3,961万円 | 鹿児島地裁 | 平成27年 | 女58歳 | 専門学校教諭 | 後遺障害 |
任意保険に加入することによって、自賠責保険ではカバーしきれない損害賠償に対してリスクヘッジができるでしょう。
自賠責保険 | 自動車保険(任意保険) | |
---|---|---|
相手方への補償 |
△ 限度額 死亡:3,000万円まで 傷害:120万円まで 後遺障害:3,000万円まで(※) |
○ 対人賠償 |
× |
○ 対人賠償 |
|
自分、搭乗者への補償 | × |
○ 人身傷害 人身傷害定額払 搭乗者傷害 |
車の補償 | × |
○ 車両保険 |
〇:補償します ×:補償しません △:補償が不十分(限度額まで)
※重度後遺障害の場合は4,000万円まで
また、運転手や搭乗者のケガの治療や、自身や相手の車両の修理、衝突により損傷した電柱やブロック塀などの修復は、自賠責保険の対象外です。
任意保険は対人事故に加えて、対物・自損事故のリスクにも備えられます。いざというときに必要な補償が得られるように、補償範囲や保険金額などを設定しましょう。
自動車保険と自動車共済を合算した、任意保険の加入率は90%弱です。見方を変えると、車を10台見かけたら、そのうち1台は任意保険に加入せずに走行している計算になります。
強制保険である自賠責保険のみ加入している状態を「無保険」と呼びます。無保険車が引き起こした事故に巻き込まれた場合、加害者に支払能力がなければ、被害者は自身の任意保険に頼らざるを得ないでしょう。
すなわち、事故の被害者となった場合の備えとしても、任意保険は有効です。
各保険会社やプランの補償内容・保険料を比較すると、ご自身に最適な任意保険を選びやすくなるでしょう。
任意保険には主に次の2タイプがあります。
保険料をできるだけ抑えたいなら、チューリッヒのような通販型の自動車保険がおすすめです。
代理店型では、保険会社が委託している代理店の営業担当者から対面で説明を受けて、契約手続きを行います。担当者と補償内容を相談したり、不明な点を質問したりできるので、保険に関する不安を解消しやすいのがメリットです。
通販型保険の契約手続きはインターネットや電話を介して行い、代理店を通さずに保険会社と直接契約を交わします。そのため代理店に支払われる手数料や店舗の経費が削減されるので、一般的には保険料が低く抑えられる傾向にあります。
補償や事故対応の内容に大きな違いはなく、事故が起こった際のロードサービスなど、通販型も充分な対応が受けられます。
保険料は抑えつつ、補償内容もしっかり充実させたい方には通販型保険をおすすめします。
チューリッヒでは、新規のご契約でインターネットからお申込みいただくと最大20,000円の割引が可能です。
ご継続の方にも、インターネット割引や早期契約割引が適用できます。
自動車保険は、ご契約者さまや同乗する方々の安全を長く支えるものです。低価格で充分な補償を受けられれば、年数を重ねるほどに費用的なメリットは大きくなるでしょう。
任意保険の全国平均加入率は約90%で、自賠責保険ではまかないきれない部分の補償を、ほとんどの方が任意保険でカバーしています。
対物事故や物損事故への対応には任意保険への加入が欠かせません。さらに実際に起きたことのある数億円を超える対人賠償や、事故を起こした相手が無保険で支払能力がないケースへの備えとして任意保険は重要です。
保険の内容、条件について充分吟味し、ご自身に最適な任意保険に加入しておきましょう。
対人賠償や対物賠償は、保険会社によっては保険金額が設定可能です。本記事では対人賠償の高額賠償判決事例が説明されていますが、対物賠償も高額になる可能性があります。対人・対物賠償の保険金額はいずれも「無制限」がおすすめです。
資格:CFP
東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。
原則として上がります。理由によって1等級または3等級下がり、その分保険料にも影響します。
加入手続きは納車前に済ませておき、納車当日から保険の補償が始まるのが理想的です。
※本記事の内容は特段の記載がない限り、チューリッヒの保険商品ではなく、一般的な保険商品の説明です。
※チューリッヒの自動車保険に関する内容について
本記事内で紹介しているチューリッヒの自動車保険に関する内容につきましては、ご契約の保険始期および契約条件によって、ご契約のお客さまに適用されない場合がございます。
必ずお客さまの保険証券、約款、重要事項説明書の記載などをご確認ください。
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