更新日:2025年1月30日
公開日:2018年5月27日
運転中にタイヤが脱輪(落輪)、縁石乗り上げすると、走行が続けられなくなるうえ、車が故障する原因になる場合があります。
走行中に脱輪(落輪)してしまったときの脱出方法、縁石乗り上げ時の対応についてご説明します。
脱輪とは、「自動車のタイヤが道路から外れ、走行不能に陥ること」で以下のような状態があります。
言い換えると、「タイヤが道路以外の場所に落ちるか、乗り上げて動けなくなった状態」です。
脱輪(落輪)や縁石乗り上げは自力で脱出できる場合もありますが、作業に慣れていないと、かえって車体をキズつけてしまうこともあります。
脱輪(落輪)、縁石乗り上げしてしまったら、次の手順で対処してみましょう。
まずは落ち着いて、車載の三角表示板や発炎筒などで、後続車に停車中であることを知らせて、追突など二次事故が発生しないように努めてください。
脱輪・落輪の際に車が傷つき、損傷してしまうことも少なくありません。縁石に乗り上げた場合、タイヤやクルマの下回りにダメージを与えてしまうケースが多いのです。
万が一、大きなダメージを受けていたら、そのまま運転を続けるのは危険です。脱輪や乗り上げ時に大きな衝撃や異音が起こったり、自分ではダメージの程度を判断できなかったりするのであれば、ロードサービスを呼んで救援してもらいましょう。
周囲の安全を確保し、目視で車の異常を感じなければ、自力で脱出可能かどうか判断します。
脱輪(落輪)、縁石乗り上げが軽度の場合は以下のように自分で脱出できる場合もあります。
側溝に前輪を落とした場合、車が前輪駆動車の場合は自力で脱出できる可能性があります。
ハンドルをいっぱい切ってタイヤが側溝の壁に食い込むように当たれば、その壁を利用してタイヤを上げていき、脱出することができます。
車載ジャッキを取り出し、車体をジャッキアップします。持ちあがったら、脱輪したタイヤの下に長板などをかませてタイヤを支え、ゆっくりアクセルを踏み込んで脱出します。
ただし、脱輪した状態によっては、通常ジャッキをかませるポイントにジャッキをセットできないことも少なくありません。急発進して、かませた板が飛んでいくこともあり、危険です。
車の運転やジャッキ操作に慣れていない場合は絶対にやめて、ロードサービスを呼ぶようにしてください。
SUVなどでオフロードモードなど走行モードが選べる場合は、オフロードモードにすると脱輪したタイヤの空転を抑えて、脱出することもできます。また、ブレーキを軽く踏みながらアクセルも踏んで発進させることでタイヤの回転を抑えて脱出できる場合もあります。
事前に車に用意しておく必要がありますが、「スタックラダー」や「脱出ボード」などの脱出アイテムがあれば簡単に脱出できます。
まずは脱出したい方向に近いタイヤの前後にある雪や泥などを可能な限り取り除いて、駆動輪(四輪駆動の場合は脱出したい方向のタイヤ)スタックラダーを敷きます。その後、ゆっくり発進して脱出します。
また、ゆっくりと小刻みに車の前進・後退を繰り返し、タイヤ周辺の雪を踏み固めることで脱出できる可能性があります。
ただし、アクセルを勢いよく踏み込みすぎると、タイヤが空転してしまうので注意が必要です。
周囲の方(車)の協力が得られれば、牽引ロープで引っ張るなどして脱出することも可能です。
雪の多い地方などの場合、スリップによる脱輪はよくあるトラブルなので牽引ロープを積んでいる車、快く協力してくれる方も少なくないでしょう。
ただ、やはり慣れていない場合は事故に繋がることもあるので注意が必要です。
特に「縁石乗り上げ」の場合、車にダメージを受けている可能性が高いです。バンパーやタイヤなど目に見える部分以外にも、足回りなどにも影響が出ていることがあります。
脱出した後も自己判断せず、ディーラーや整備工場などでチェックしてもらいましょう。
脱輪や縁石乗り上げ時に衝撃や異音が起こったら、車体には何らかのダメージがあります。自力脱出できても、直進状態でハンドルのセンターが狂ってしまったり、駆動系やブレーキ周辺に損傷があったりすると危険なので、整備工場で点検してもらいましょう。
脱輪(落輪)、縁石乗り上げ時は車の破損・故障を伴う場合が多いです。脱輪時、道路上で安全を確保しながら自力で脱出作業するのは危険が伴います。
被害が明らかに軽度であるとき以外は、プロに脱出作業を任せるようにしましょう。
JAFや自動車保険の付帯サービスなどのロードサービスに頼めば、安全・適切に処理してくれます。
ジャッキやクレーンで車を引き上げてくれるため、原則としてどのようなパターンの脱輪・落輪からも脱出可能です。また、故障している場合はレッカー移動もしてくれます。
自動車保険のサービスを利用する場合は、自分が契約している保険のロードサービス内容に脱輪・落輪への対処が含まれているか確認しましょう。
チューリッヒのロードサービスでは落輪しているタイヤの本数にかかわらず、落差1m以内の落輪が無料となり、落差1mを超えた場合やクレーン作業が必要となった場合は無料サービス対象外となります。
※ロードサービスが無料で付帯されるのは、スーパー自動車保険をご契約のお客さまに限ります。
脱輪(落輪)、縁石乗り上げをしてしまうと、焦ってしまいがちですが、まずは落ち着いて二次事故が発生しないように対処します。
車体に大きな損傷がなければ、自力で脱出できる場合もありますが、道路上の脱輪(落輪)などのトラブルは無理をせずロードサービスを呼ぶほうが安全です。
また、脱輪(落輪)、縁石乗り上げなど、いざというときに備え、ジャッキ・スペアタイヤ・牽引ロープ・三角表示板・発炎筒などは必ず車に用意しておきましょう。
※記載の情報は、2025年1月時点の内容です。
1965年生まれ。芝浦工業大学工学部機械工学科卒。トヨタ直営販社の営業マン、輸入車専門誌の編集者を経て自動車ジャーナリストとして独立。さまざまな自動車雑誌の他、エンジニア向けのウェブメディアなどに寄稿している。
近著に『電気自動車用パワーユニットの必須知識』(日刊工業新聞社)、『エコカー技術の最前線』(SBクリエイティブ)、『図解カーメカニズム基礎講座パワートレーン編』(日経BP社)がある。
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員
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