更新日:2024年8月26日
公開日:2021年3月4日
車を譲り受けたときや中古車を購入したときなどには、車の名義変更手続きが必要です。
車の名義変更とは、車検証に記載されている所有者の名義を変更する手続きを指します。車の所有者が変わったタイミングで名義変更を行わないと、旧所有者との間でトラブルになってしまう可能性があります。
車の名義変更は、車の販売店や代行業者に依頼できますが、自分で手続きすることも可能です。
自分でスムーズに車の名義変更手続きができるよう、手続きの場所や方法、必要書類、費用などのポイントを押さえておきましょう。
車の名義変更とは、車検証に記載されている所有者の名義を変更する手続きのことで、正式には「移転登録」といいます。以下のような場合、車の名義変更をする必要があります。
なお、所有者の住所が変わったときや、結婚などで姓が変わったときは、「変更登録」が必要です。
親から子、夫から妻などの家族間の譲渡であっても、名義変更は必要です。
同居していて車を共用していれば、名義変更を行う必要がないと考えらえるケースもありますが、将来的に別居となる可能性もあります。また特定の家族の方が使用されている場合は車を共用しているといえない場合もあるため、夫婦間でも名義変更手続きをしておくことをおすすめします。名義変更手続きをしなければ、税金納付や車検のタイミングでトラブルになる可能性があるためです。
自分で手続きする際の名義変更の方法は、以下の通りです。
中古車販売店などで中古車を購入した場合は、販売店が手続きしてくれる場合がほとんどです。
しかし、家族や友人・知人から車を譲り受けた場合や、ネットオークションなどの個人間取引で購入した場合などは、自分で必要書類を準備し、手続きする必要があります。
代行業者に依頼することも可能ですが、手数料などの追加費用がかかります。自分で手続きをする手間は省けますが、出費は増えてしまいます。名義変更の手続き方法や必要書類、費用などを確認し、自分で手続きすることも検討してみましょう。
売買や譲渡による名義変更(移転登録)を自分で行う場合の必要書類、必要なものをご説明します。
車の名義変更に必要なものは、普通自動車と軽自動車で異なります。
さらに、旧所有者に手配してもらうべき書類もあるため、スムーズに依頼できるよう、必要書類を確認しておきましょう。
普通自動車の名義変更に必要な書類
軽自動車の名義変更に必要な書類
相続により車の名義変更を行う場合は、必要書類が異なります。普通自動車もしくは軽自動車の名義変更に必要な書類とあわせて、確認しておきましょう。
なお、法人や事業に関する名義変更の場合は、必要書類が異なります。
普通自動車の名義変更で、旧所有者と新所有者が準備すべきおもな書類は、以下の通りです。ただし、申請内容によって必要書類が異なるため、申請内容にあわせて書類を用意する必要があります。
相続による名義変更でない場合に必要な書類をご説明します。
旧所有者が準備するもの
書類名 | 入手できる場所 |
---|---|
自動車検査証(車検証) ※有効期間中のもの |
車内 |
譲渡証明書 ※実印を押したもの |
運輸支局の窓口 または自動車検査登録総合ポータルサイト |
印鑑(登録)証明書 ※発行後3ヵ月以内のもの |
市区町村役場の窓口 |
委任状 ※本人が申請する場合は不要 |
自動車検査登録総合ポータルサイト |
出典:自動車検査登録総合ポータルサイト「売買等により譲渡、譲受する手続き」必要書類
※2024年5月執筆現在
車検証は、運行中は車内に備え付けておかなければなりません。
新所有者が準備するもの
書類名 | 入手方法 |
---|---|
移転登録申請書 (自動車検査証変更記録申請書) |
運輸支局の窓口 または自動車検査登録総合ポータルサイト |
手数料納付書 ※所定の手数料印紙を貼付したもの |
運輸支局の窓口 |
印鑑(登録)証明書 ※発行後3ヵ月以内のもの |
市区町村役場の窓口 |
自動車保管場所証明書 ※証明の日から概ね1ヵ月以内のもの |
警察署の窓口 |
委任状 ※本人が申請する場合は不要 |
自動車検査登録総合ポータルサイト |
出典:自動車検査登録総合ポータルサイト「売買等により譲渡、譲受する手続き」必要書類
※2024年5月執筆現在
申請内容が以下のケースでは、追加書類も準備する必要があります。
管轄の運輸支局または自動車検査登録総合ポータルサイトで確認しましょう。
軽自動車の名義変更で、旧所有者と新所有者が準備すべきおもな書類は、以下のとおりです。ただし、申請内容によって必要書類が異なるため、主な必要書類とともに、申請内容にあわせて書類を準備する必要があります。
旧所有者が準備するもの
書類名 | 入手できる場所 |
---|---|
自動車検査証(車検証) ※車検切れのものでも可 |
車内 |
出典:
軽自動車検査協会「名義変更(売買・譲渡・その他)」必要書類
※2024年5月執筆現在
新所有者が準備するもの
書類名 | 入手できる場所 |
---|---|
自動車検査証変更記録申請書(軽第1号様式) |
軽自動車検査協会事務所・支所の窓口 または軽自動車検査協会ウェブサイト |
住民票の写しまたは印鑑(登録)証明書 ※発行後3ヵ月以内のもの |
市区町村役場の窓口 |
出典:軽自動車検査協会「名義変更(売買・譲渡・その他)」必要書類
※2024年5月執筆現在
申請内容が以下のケースでは、追加書類も準備する必要があります。
追加書類が必要なケース | 追加書類 |
---|---|
引越しなどをして管轄の事務所が変わる場合 |
ナンバープレート ※該当車で軽自動車検査協会へ向かう必要がある |
希望ナンバーを希望する場合 | 希望番号予約センターより発行された予約済証 |
字光式ナンバーを希望する場合 | 字光式車両番号指示願 |
新使用者以外が手続きする場合 | 申請依頼書 |
出典:軽自動車検査協会「 名義変更(売買・譲渡・その他)」必要書類
※2024年5月執筆現在
その他のケースは、管轄の軽自動車検査協会事務所または軽自動車検査協会のウェブサイトで確認しましょう。
車の所有者死亡による相続手続きの場合は、他の名義変更よりも複雑で、必要書類も増えるため注意が必要です。
相続手続きに必要な書類も、普通自動車と軽自動車によって異なります。
相続者が複数人の場合、遺産分割協議書や遺言書などは必要ありませんが、相続人全員の印鑑登録証明書が必要です。軽自動車の相続による名義変更の場合は、軽自動車の名義変更に必要な書類とあわせて、戸籍謄本もしくは法定相続情報一覧図を準備すれば問題ありません。
詳しくは、自動車検査登録総合ポータルサイトの「自動車登録業務等実施要領」(P.15以降)をご確認ください。
車の名義変更にかかる費用も、普通自動車と軽自動車で異なります。
普通自動車の名義変更にかかる費用は、以下の通りです。
かかる費用 | 金額 |
---|---|
移転登録手数料 | 500円(※1) |
自動車保管場所証明書(車庫証明書)の取得費用 |
2,600円 (保管場所証明申請手数料:2,100円、標章交付手数料:500円)(※2) |
ナンバープレート代 (変更がある場合) |
2枚組1,450円(希望ナンバーは4,140円)(※3) |
印鑑証明書の交付手数料 | 1通300円程度(※4) |
※1:出典:自動車検査登録総合ポータルサイト「売買等により譲渡、譲受する手続き」必要書類
※2:出典:警視庁「保管場所手続に係る手数料」手数料は都道府県により異なる
※3:出典:国土交通省「ナンバープレートの交付手数料等一覧(令和5年9月25日現在)」中型番号票(乗用車など)ペイント式、東京都の場合
※4:東京都北区の場合。市区町村や交付方法(窓口、郵送、コンビニ交付)により異なる
※2024年5月執筆現在
軽自動車の名義変更にかかる費用は、以下の通りです。なお軽自動車の場合、名義変更の申請手数料は無料です。
かかる費用 | 金額 |
---|---|
自動車保管場所証明書(車庫証明書)の取得費用 |
2,600円 (保管場所証明申請手数料:2,100円、 標章交付手数料:500円 )(※1) |
ナンバープレート代 (変更がある場合) |
2枚組1,470円(希望ナンバーは4,180円)(※2) |
印鑑証明書の交付手数料 | 1通300円程度(※3) |
※1:出典:警視庁「保管場所手続に係る手数料」による。手数料は都道府県により異なる
※2:出典:国土交通省「ナンバープレートの交付手数料等一覧(令和5年9月25日現在)」による。中型番号票(乗用車など)ペイント式、東京都の場合
※3:東京都北区の場合。市区町村や交付方法(窓口、郵送、コンビニ交付)により異なる
※2024年5月執筆現在
車の名義変更手続き自体は不備がなければ1日で完了し、その日のうちに新しい車検証が発行されます。運輸支局の所在地や混雑状況にもよりますが、1時間程度で発行される場合もあります。
ただし、名義変更の申請に必要な書類は複数あり、書類によっては取得までに日数を要するため注意が必要です。特に警察署で発行してもらう「自動車保管場所証明書(車庫証明書)」は、申請から交付までに3日間から7日間かかります。
書類の準備から考えると、名義変更手続き完了まで1週間前後はかかると認識しておきましょう。
名義変更を行う場所は、普通自動車と軽自動車で異なります。
それぞれ、新たな車両所有者の住所(使用地の本拠地)を管轄する以下の事務所で手続きしましょう。
普通自動車 |
運輸支局(陸運局) または自動車検査登録事務所 |
---|---|
軽自動車 | 軽自動車検査協会 |
たとえば、新たな所有者が東京都中野区に住んでいる場合、普通自動車なら練馬自動車検査登録事務所で、軽自動車なら東京主管事務所練馬支所で、と異なる場所で手続きする必要があります。
管轄の運輸支局などは「自動車検査登録総合ポータルサイト」、軽自動車検査協会は「軽自動車検査協会」のウェブサイトで検索できます。
車の名義変更は所有者が変更された日から15日以内に行う必要があります。
道路運送車両法第13条第1項により、車の新所有者は所有者の変更があったときから15日以内に名義変更(移転登録)を行わなければならないと定められています。
名義変更の手続き自体は1日でできますが、必要書類の準備に時間がかかります。多くの市区町村役場や警察署、運輸支局の各窓口は、土・日・祝日は開かれていないため、早めに着手することが重要です。
平日が忙しくて自分で手続きできない場合は、委任状や申請依頼書を活用して代理人に頼んだり、国土交通省が提供している「自動車保有関係手続のワンストップサービス(OSS) 」を活用したりしましょう。
自動車保有関係手続のワンストップサービスでは、インターネット上でさまざまな手続きや税・手数料の納付ができます。
車の名義変更をしない場合、以下のトラブルが発生する可能性があります。
名義変更を定められた期間内に行わなかった場合や、虚偽の申請をした場合、道路運送車両法第109条2号により50万円以下の罰金に処せられることがあります。
自動車税(種別割)や軽自動車税(種別割)は、4月1日時点での所有者に納税義務があります。そのため、名義変更を行わなければ、旧所有者に納税通知書が届いてしまいます。
納付期限までに納税しなかった場合、延滞金が加算されるだけでなく、次の車検を受けることもできないため、注意が必要です。
盗難や事故のときに所有者や使用者の確認ができず、手続きが遅れる可能性があります。
速度違反の通知書も届かなくなってしまうため、反則金の支払いが遅れるかもしれません。各都道府県では、通学路や生活路を中心に、「可搬式オービス(速度違反自動取締装置)」によるスピード違反の取締まりが開始されています。
速度違反の通知書は、撮影された違反車両の自動車検査証に記載されている所有者へ郵送されます。名義変更をしなければ通知書が旧所有者に届き、内容の確認や反則金の支払いが遅れてしまうでしょう。
車に不具合が見つかりリコールとなるケースがありますが、名義変更を行わなければこの通知が旧所有者に届き、受け取れない可能性があります。
リコールとは、設計・製造過程の問題により製品に欠陥があることが判明した場合に販売者・メーカー側の判断で無償修理や返金・交換・回収などの措置を行うことです。リコールがあった際は、自動車メーカーから車の所有者宛にリコール通知書が届くのが一般的です。
重要な通知をきちんと受け取るためにも名義変更を行いましょう。
車の名義変更をできないケースがあります。以下の注意点を押さえておきましょう。
道路運送車両法第13条第2項により、車検切れの普通自動車は名義変更できないと定められています。車検が切れている場合は、車検を受けて車検証を有効にする必要があります。ただし、軽自動車の場合は、車検が切れていても名義変更が可能です。
ローンが残っている車の場合、車の所有者がディーラーやリース会社になっていることがあります。
ローンが残っている車の名義変更をするには、まずローンを完済しなければなりません。その後に「所有権留保の解除(所有権獲得のための手続き)」をして、自分名義にしてください。
所有権を解除しないと、住所やナンバーを変更するときや、車を売却するときに、スムーズに手続きできない可能性があります。所有権留保の解除は「移転登録」と同じ方法で手続きが可能です。ディーラーなどで購入した場合は、必要書類を送ればディーラーが手続きしてくれますが、自分で手続きすることも可能です。
車の名義変更が必要な際は、自賠責保険と自動車保険(任意保険)の手続きもあわせて行いましょう。
車の所有者が変更になった場合、車の名義変更だけでなく自賠責保険の名義変更手続きも必要です。
自賠責保険の名義変更を行わないと、自賠責保険の更新案内が旧所有者宛に届くため、気づかないうちに保険が切れてしまう可能性があります。自賠責保険に未加入の状態で公道を走行すると、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。
車の所有者が変更になった場合、自賠責保険の名義変更だけでなく任意保険の変更手続きも必要です。
なお、車両所有者の変更により、現在の契約で対応できなくなる場合は、新たに任意保険に加入する必要があるため、注意が必要です。
車の名義変更の手続き自体は1日で終わりますが、必要書類の準備に時間がかかることがあります。特に車庫証明書は取得までに1週間程度を要する場合があるため、余裕を持ったスケジュールで行っておくと安心です。
名義変更は、所有者が変更になってから15日以内に行う必要があり、名義変更を行わないままでは必要な通知を受け取れなくなってしまいます。道路運送車両法違反で罰金が科せられる場合もあるので、早めに手続きしましょう。
また、車の名義変更だけでなく、自賠責保険や任意保険の手続きも忘れずに行いましょう。
車の名義変更手続きは、普通自動車と軽自動車で若干、必要書類や手数料などに違いがある点には注意が必要です。なお名義変更は行政書士に依頼することも可能です。不安な方は専門家に依頼することも検討しましょう。
資格:CFP
東証一部上場企業で10年間サラリーマンとして勤めるなか、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。
車の名義変更は自身で行えます。車の販売店や代行業者に依頼することも可能です。
親子間で車を譲渡した場合も名義変更の手続きが必要です。
名義変更手続きをしなければ、税金納付や車検のタイミングでトラブルに発展する可能性があります。
名義変更をせずに15日が過ぎた場合、以下のようなトラブルが発生する可能性があります。
・罰金が科される
・自動車税の納付書やリコール通知書が旧所有者に届く
・自賠責保険の更新の通知が旧所有者に届く
※本記事の内容は特段の記載がない限り、チューリッヒの保険商品ではなく、一般的な保険商品の説明です。
※チューリッヒの自動車保険に関する内容について
本記事内で紹介しているチューリッヒの自動車保険に関する内容につきましては、ご契約の保険始期および契約条件によって、ご契約のお客さまに適用されない場合がございます。
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