更新日:2025年2月7日
公開日:2017年9月5日
自分の名義で保有していた車を子どもに譲るケースや、結婚によって姓が変わるケースなど、名義変更にはさまざまな事情があります。
車の所有者名義を変更する以外にも自動車保険(任意保険)の名義変更(契約者変更)が必要になります。
自動車保険において、親子間や夫婦間での名義変更時の注意点や必要書類などについてご説明します。
車は名義変更手続きをすることによって所有者の変更が可能です。たとえば子どもが免許を取って、自分が運転しなくなったのを機に譲渡する場合などがあります。
このような場合に、車の名義変更は行ったものの、自動車保険(任意保険)の名義を変更し忘れるといったことがないように注意が必要です。
自動車保険の名義変更を忘れると、いざ事故が起きたときに補償を受けられない可能性があるので、必ず手続きを済ませましょう。
たとえば、年齢条件を設定した自動車保険に加入している状態で車を子どもに譲った場合、子どもがその年齢条件を満たしていなければ補償が受けられなくなってしまいます。
車を子どもに譲渡したら、その子どもが補償される契約内容とする、もしくは運転者限定特約を見直すことで、このようなトラブルは避けられるはずです。
車の名義を子どもに変更する場合は、子どもが補償される年齢条件に変更することを忘れないようにしましょう。
自動車保険(任意保険)の名義には、契約者、記名被保険者、車両所有者の3種類があります。
それぞれの違いについて、自動車保険の名義変更手続きをする前に覚えておきましょう。
契約者とは、自動車保険の申込みや保険料の支払いを行い、その契約を管理する人のことです。事故を起こして保険金を請求する場合、原則契約者の同意が必要となります。
記名被保険者とは、契約の車を主に運転する人のことをいい、補償の中心となる人です。自動車保険に加入する場合にはノンフリート等級が適用され、等級によって保険料の割引率が変わってきます。
記名被保険者の名義変更手続きを行うと、その等級が引き継がれることとなります。
車両所有者とは文字通り、車を所有している人のことです。原則、車検証に記載されている人が所有者となります。
前述の通り、自動車保険(任意保険)の等級が適用されるのは記名被保険者です。等級(制度)とは、事故(保険金請求)歴に応じた保険料の割引・割増を適用するための制度です。
つまり、無事故の実績がある場合、その分の保険料が割引されています。記名被保険者の名義を変更することで、等級がなくなってしまうのであれば、もったいないと感じる方もいるでしょう。
しかし記名被保険者を同居の家族に変更すれば、それまで適用されていた等級を引き継ぐことが可能です。
たとえば、子どもが免許を取得したため、車の名義も記名被保険者の名義も変更したい、といったケースでは、同居の家族であれば等級を引き継ぐことができるのです。
これは原則、どの保険会社でも共通です。
契約に適用されている等級が7等級以上であれば、記名被保険者の名義を変更することで、新規加入よりもお得な保険料となることが多いです。
その他のケースでも等級を引き継げるのかどうか疑問がある方や、具体的な手続きの方法が気になる方は、加入している保険会社に相談してみるとよいでしょう。
なお、前の記名被保険者が5等級以下だった場合は、注意が必要です。
車を譲り受けて自動車保険に新規加入すると、同居の家族間であれば、5等級以下の等級が引継がれるしくみとなっています。
5等級以下の場合、原則基本保険料よりも保険料が高くなります。そのため、思っていたよりも保険料の負担が大きくなってしまうこともあるでしょう。
同居の家族から車を譲り受ける際は、必ず前の記名被保険者の等級を確認するようにしましょう。
チューリッヒでは、自動車保険の改姓を含む名義変更(契約者名・被保険者名・車両所有者名すべて)を行う際には電話での手続きが必要になります。また、手続きには現在の保険証券と車検証が必要です。
手続きの方法は、保険会社によって異なる場合もあるため、詳しくは加入中の保険会社にご確認ください。
自動車保険の名義変更と等級の引継ぎが可能かどうか、ケースごとに確認していきましょう。
免許を取得した子どものために、親が車を購入するケースもあるでしょう。この場合、子どもが車を使用していても、車検証や保険証券、記名被保険者は、すべて親の名義になっていることがあるかと思います。
20等級などの高い等級であれば、引き継ぐことで保険料の大幅な割引も期待できます。
親子の場合、同居しているかどうかによって名義変更ができるか、等級も引き継げるかが変わります。
同居の場合は、記名被保険者の名義を親から子どもに変更できます。その際、等級も引き継ぐことができます。
自動車保険の記名被保険者の名義変更とともに等級の引継ぎができるのは、原則として同居している家族間のみです。
親子間の名義変更では、子どもが就職や結婚などで家を離れることになった場合、等級の引継ぎができなくなる恐れがあるので注意が必要です。
同居している段階で名義変更を保険会社に申し込めば等級の引継ぎができますが、すでに別居している場合には、新規契約で6等級からのスタートとなります。
若い方が新規契約をすると、保険料が高額になることがあります。
子どもに等級を引き継ぎたいのであれば、転居前に車検証や記名被保険者の名義を確認し、親の名義になっていたら速やかに名義変更の手続きを済ませましょう
子どもが進学で下宿しているなど、住民票を移していない場合でも別居の実態があれば等級の引継ぎができません。誤解している人も多いので、注意しましょう!
親子の場合、別居していると名義変更や等級の引継ぎができません。しかし、夫婦間であればたとえ別居していても、記名被保険者の名義を変更することで等級も引き継がれます。
たとえば、夫が転勤で単身赴任することになったときなどです。
単身赴任などで何年か離れて暮らすことになり、記名被保険者の名義を、主に運転することになる妻に変更することもあるでしょう。
そのような場合、夫に適用されていた等級を妻に引き継ぐことができます。
法的手続きをしていない内縁関係でも、引継ぎは可能です。
夫婦や親子以外にも同居している「6親等以内の血族」および「3親等以内の姻族」であれば等級を引き継ぐことが可能です。
家族や親族ではなく、他人に車を譲るケースもあるでしょう。ただ、自動車保険は他人に譲渡することはできません。
複数台の車を持っている方の場合には、車を手放すタイミングに合わせて等級を引き継ぐことも可能です。
等級は、所有している車同士での引継ぎはできませんが、車を手放したときに限り、事実を証明できる書類を提出すれば、可能な場合があります。
その際には、現在所有している車(他契約中の車を含む)との車両入替(等級の付け替え)が必要です。
売却予定日を決めて保険会社に連絡し、乗り続ける車に対して自動車保険の車両入替手続きをすることで、等級の引継ぎができます。
手放す車に適用されていた等級のほうが高い場合は、等級のみを引き継ぐことで保険料がお得になります。
また、上記のような車両入替をせずに、廃車した車の等級を先々まで保管しておくことができる「中断証明書」を取得する方法もあります。
もし他に所有する車がなかったり、他の車の等級がすでに高かったりしたときは、中断証明書を取得しておくことをおすすめします。
中断証明書を取得することで、最長10年間、等級を維持できますし、取得した保険会社以外でも使うことが可能です。ただ以前の等級のまま保険を開始するうえで、有効期限の他にも条件があるため、保険会社に確認しておきましょう。
結婚して姓が変わる際は、名義変更の手続きが必要です。
結婚により配偶者も車を運転する可能性があれば、補償される運転者の範囲や年齢条件も確認しなければなりません。
また、結婚を機に親と別居して車を新たに購入する予定なら、同居しているうちに親の自動車保険で車両入替手続きを行いましょう。その後で名義変更を行えば親から等級を引き継ぐことができます。
別居した後では等級を引き継ぐことはできないため、注意しましょう。
家族間で車両の譲渡などを検討している方は、自動車保険の名義変更も忘れずに行うよう心がけましょう。
夫婦であれば、別居の場合でも記名被保険者の名義を変更し、等級を引き継ぐことができます。
親子間で名義変更を行い、等級を引き継ぎたい場合は同居しているうちに手続きも済ませておくようにしましょう。
※記載の情報は、2025年2月時点の内容です。
ファイナンシャル・プランナーで一児の母。大手損害保険会社を経て2010年に独立開業。
個別相談や執筆、セミナー講師として活躍中。企業研修や女性向けに賢いお金との付き合い方を伝えている。
K'sプランニング代表/一般社団法人あんしんLifeコミュニティ 代表理事
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