更新日:2025年1月21日
公開日:2020年7月10日
自賠責保険の期間は車検の有効期限よりも、長めに設定されているのが一般的です。
有効期限が同日でも、自賠責保険と車検の有効期限日の満了時刻は異なります。「自賠責保険がない」という未加入状態を避けるため、長めに設定されているのです。
車検と自賠責保険の関係や、名義が違う場合の対処法、更新時の注意点、車検と自賠責保険の関係などをご説明します。
自動車損害賠償保障法第5条に基づき、自動車(軽自動車・オートバイ・原付含む)の所有者(使用者)が必ず入らなければならない保険、それが「自賠責保険」です。
自賠責保険に未加入のまま公道で運転をすると、自動車損害賠償保障法第5条の違反となり、同法第86条の3の1号の処罰の対象となり、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。
それと同時に道路交通法違反により、反則点数6点が付され免許停止処分となります。
また、自賠責保険の証明書を所持していなかっただけでも30万円以下の罰金(自動車損害賠償保障法第88条)が科せられます。
加入するのはもちろん、証明書を車のグローブボックスに入れておくなどし、運転中は常に携帯するようにしましょう。
自賠責保険は自動車事故による被害者を救済するため、基本的な対人賠償を確保することを目的としています。未加入での運行は法令違反となり、罰則があります。そのため、必ず自賠責保険に加入する必要があります。
ただし自賠責保険は、補償範囲が限られている点に注意してください。
補償の範囲は被害者の身体の損害のみであり、被害者の物損の補償には対応しておらず、また加害者の身体・物損に対する補償は一切ありません。
また、支払保険金には限度額があります。その補いきれない補償は別途自己負担するか、自動車保険(任意保険)などでカバーする必要があります。
自動車を所有すると、新車登録から3年後に最初の車検を受け、以後2年ごとに車検を受ける必要があります。
ディーラーや車検専門店(指定整備工場)などで車検をするときに必要な書類
※指定整備工場(民間車検)による指定整備の場合は、保安基準適合証などが必要です。
※参照元:自動車検査登録ポータルサイトの「継続検査(車検)」
※1 軽自動車、バイクについては市町村税です。詳しくは、該当市町村に問い合わせください。
※参照元:千葉県「車検時の自動車税納税証明書の提示が省略可能になりました」
※2 以下の条件で不要となります。
・車を個人で所有している
・継続検査申請書に自筆で署名している
車検の際には、自賠責保険の保険期間が車検の有効期間をカバーしていなければ、車検証を交付してもらえません。
つまり、次回の車検までの期間をすべて満たす自賠責保険に加入していなければ、車自体の検査はクリアしていても、車検証は発行されません。
このように自賠責保険は、車検証の発行にも関わるため大切です。中古車を購入したり個人売買や譲渡により車の所有者が変わったりした場合にも、速やかに名義変更を行いましょう。
自動車販売店での購入であれば、通常は販売店側で手続きを代行してくれますので、特に心配する必要はありません。
しかし、個人間の譲渡やネットオークション・フリマアプリなどを介した個人間取引では、ご自身で名義変更を申請しなければならないため、注意が必要です。
自賠責保険証明書の名義変更をする場合は、その自賠責保険を取り扱っている保険会社で申請を行います。
その際に必要となる書類は、以下の通りです。
車を購入したとき、同時に手続きをしたはずなのに、車検の有効期限と自賠責保険の保険期間の日時がずれていて疑問に思うことがあるかもしれません。
一般的に自賠責保険の保険期間は、車検の有効期限よりも長めに設定されています。
これはなんらかの事情により車検が遅れたり、車検切れとなってしまった場合にも、自賠責保険だけは切れないようカバーする(未加入状態を避ける)ための配慮です。
こうした車検と自賠責保険の期間のずれについては、のちほど『自賠責保険の保険期間が37ヵ月、25ヵ月などになっているのはなぜ?』の章で、さらにくわしくご説明します。
車検を更新する際には、次の車検までの有効期間をカバーする自賠責保険の加入が必要だということをご説明しました。では先に車検切れとなってしまった場合はどうすればよいでしょう。
車検切れの車を公道で運転することは、無車検車運行にあたり、道路運送車両法第58条の違反となり、同法第108条の処罰の対象になります。
違反点数:6点
罰則と罰金:6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金
行政処分:免許停止
出典:交通違反の点数一覧表
道路運送車両法第58条、第108条
そのため車検切れの車を動かして、車検を受けに行く場合には、仮ナンバー(自動車臨時運行許可申請)の発行手続きが必要となります。
この仮ナンバーの申請には、仮ナンバー期間中に有効な自賠責保険が必要です。
車検切れのクルマを動かして車検を受けにいく場合などには、仮ナンバーが必要になりますが、仮ナンバーの申請にも仮ナンバー期間中有効な自賠責保険が必要です。
車検と自賠責保険、どちらも有効期間内でなければ、自動車を公道で運行させることはできません。
車検切れの車は公道を安全に走行する性能があるかという検査を受けていない、安全性の担保がない危険な車です。
そして自賠責保険に加入していない無保険車は、事故の際には被害者への補償を全額自己負担で行うことになります。
万が一、車検も自賠責保険も期限が切れてしまっている場合は、以下の手順で対応します。
では、「1.」「2.」のポイントや注意点ついて、さらにくわしく見てみましょう。
自賠責保険は車検の有効期間と重なるため、車検や自賠責保険の有効期間を日頃から確認しておき、早めの加入・更新を心がけましょう。
自賠責保険の更新は、損保会社の営業店や自動車やバイクの販売店などの保険代理店で手続きを行うことができます。
また、250cc以下のバイクや原動機付自転車であれば、一部の郵便局やコンビニやインターネットなどでも手続きが可能です。
自賠責保険の更新に必要となる書類は、以下の通りです。
なお、自賠責保険の期限切れにともなう再加入の際にも、車検証および自賠責保険証明書が必要です。
このとき提示する自賠責保険証明書は、期限が切れていてもかまいません。
車検のある車種 | 普通自動車、小型自動車、軽自動車 小型二輪自動車(250cc超) |
自動車検査証(車検証) 契約している自賠責保険・共済の証明書 |
---|---|---|
車検のない車種 | 軽二輪自動車(126〜250cc) | 軽自動車届出済証 契約している自賠責保険・共済の証明書 |
原動機付自転車(125cc以下) | 標識交付証明書 契約している自賠責保険・共済の証明書 |
これまでご説明してきた通り、車検切れの車は継続検査が必要です。そして運輸支局などへの移動には、仮ナンバーの登録が必要となります。
仮ナンバーを受ける際に、忘れてはならない注意点があります。
それは「仮ナンバーでは、申請したルート以外を走行することはできない」という点です。
仮ナンバーは、あくまで車検切れなどのときに、継続検査を受ける運輸支局などまでへの運行を特例的に許可されます。
申請した目的地までの最短経路上の出発地・経由地・目的地、いずれかが含まれる市町村以外の場所を走行しないよう十分に注意してください。
仮ナンバーは、車検が切れている中古車の登録など、継続検査を受ける際に特例的に運行を許可するものなので、走行ルートの申請が必要になります。
自賠責保険証が手元にない、見当たらないという場合は、該当する車を自賠責保険証不携帯のまま運転してはいけません。
自賠責保険証の携帯は、義務付けられています。
冒頭でもご説明した通り、不携帯のまま運転すると罰金が科せられてしまいます。
紛失・盗難・破損などにより「自賠責保険証がない」場合は、同じく未加入状態での運転は絶対に行わず、すぐに再発行手続きをしてください。
この場合、契約している自賠責保険の損保会社に連絡し、再発行を申し出ましょう。
自分が契約している保険会社名は、その車を購入した販売店などに問い合わせればわかります。
個人間取引などで自賠責保険の名義変更をしていなかった場合など、取扱保険会社が不明の場合は少々手間がかかります。
面倒でも思い当たる保険会社をひとつずつあたって、車両登録番号などを伝え、契約の有無を問い合わせてみるしかありません。
なお、自賠責保険を取り扱っている保険会社の一覧とその連絡先は、国土交通省の自賠責保険・共済ポータルサイトで確認することができます。
自賠責保険の更新時期は、一般的には『車検の有効期間=自賠責保険(共済)の保険期間』です。新車(初回)の場合は登録から3年、初回車検後は2年ごとに自賠責保険を更新することになります。
しかし、実際のところは、この『車検の有効期間』と『自賠責保険(共済)の保険期間』がずれていることが多いようです。なぜでしょうか?
『車検の有効期間=自賠責保険(共済)の保険期間』であっても、順調に車検が通れば何の問題もありません。
しかし、車検の手続きの遅れや、点検・整備に時間がかかるなどのトラブルが起きると、車検前に自賠責保険の保険期間が切れてしまう事態が起こる可能性もあります。
というのも、車検と自賠責保険(共済)の期限日が同じでも、満了時刻は違うからです。それぞれの満了時刻は、以下の例のように定められています。
車検の有効期限日の満了時刻:24時
自賠責保険の有効期限日の満了時刻:12時
【例】
たとえば、それぞれの有効期限日が8月8日だった場合、
車検の有効期限日の満了時刻は、8月8日の24時まで
自賠責保険の有効期限日の満了時刻は、8月8日の12時(正午)まで
このように、車検と自賠責保険の満了時刻に12時間の差が生じてしまいます。
この12時間の差によって、車検の点検項目はすべて合格する基準でも、自賠責保険(共済)に未加入の時間(自賠責保険が切れている)が生じているために車検を通せないという問題が発生することがあるのです。
車検は、有効期限日の24時が満了時刻です。自賠責保険は有効期限日の12時(正午)が満了時刻となるため、同日でも期限切れがないように注意が必要です。
車検証の交付を受けるには、車検有効期間をカバーする自賠責保険の加入が絶対であり、車検が切れたままでは公道で走ることもできません。
そのような事態を回避するためにも、保険期間を1日でも余分に設定できればよいのですが、車の自賠責保険の加入は月単位です。そのため車検の期間よりも1ヵ月長くに契約することが多いようです。
自賠責保険の失効を防ぐために、たとえば以下のように自賠責保険の期間を設定することになります。
新車(初回)の場合は、車検期間36ヵ月+1ヵ月=37ヵ月
初回車検後の場合は、車検期間24ヵ月+1ヵ月=25ヵ月
このように余裕をもって自賠責保険の保険期間を設定していることにより、『車検の有効期間』と『自賠責保険の保険期間』がずれてしまう現象が起きるというわけです。
自賠責保険は、車の所有者(使用者)に加入が義務付けられています。
保険の加入が切れている状態では車に乗ることはもちろん、車検を受けることもできません。
自賠責保険の更新手続きおよび紛失した場合は、損保会社や自動車販売店で行うことが可能です。
速やかに手続きを行いましょう。
※記載の情報は、2025年1月時点の内容です。
「クルマは楽しくなくっちゃネ!」をモットーに、日本車・輸入車問わずカーライフを女性の視点で発信している。
現在はTV出演、ラジオ番組のパーソナリティなどを務める他、MCやレポーター、コメンテーター、イベントでのトークショーなど、多方面で活躍中。
プロダクション人力舎所属
アンガーマネージメントファシリテーター
日本自動車ジャーナリスト協会(AJA)副会長
日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
国際交通安全学会(IATSS)会員
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