更新日:2026年5月13日
公開日:2015年10月21日
交通事故が起きたあと、「過失割合がどのように決まるのか」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。過失割合は、「8対2」「9対1」など、加害者側・被害者側それぞれが負担する損害賠償責任の割合のことです。
過失割合の内容は事故の形や状況によってさまざまで、一律に決まるものではありません。
さまざまな事故のパターンに分けて過失割合の例をご説明します。
※紹介する例は、過去の裁判例に基づいた交通事故の基本的な過失割合や修正要素を解説している「判例タイムズ別紙38~」を参照しています。実際の過失割合やお支払いを約束するものではありません。
過失割合とは相手がいる事故において、加害者側・被害者側のそれぞれが負担すべき損害賠償責任の割合を示すものです。「80:20」といったように、自身と相手方の過失の程度を割合で示します。
たとえば「相手:自分」の過失割合が「10:0」の場合は、事故が相手の責任で、自分に全く責任がないことを意味します。過失割合は、道路交通法に定められた優先関係や遵守事項、事故の状況や過去の判例などを考慮し、公平性の観点から算出されます。
過失割合と損害額がわかれば、加害者と被害者それぞれの支払額が決まります。たとえば、被害者の損害が1,000万円で過失割合が9:1だったとします。この場合、加害者と被害者の支払額は以下のようになります。
加害者:900万円の支払い(1,000万円×90%)
被害者:100万円の支払い(1,000万円×10%)
被害者にも過失がある場合は、加害者が負担する損害賠償額(900万円)は、被害者の損害額(1,000万円)から被害者過失分(100万円)を差し引いて計算します。
これを「過失相殺」といいます。過失相殺については、『被害者に過失があると「過失相殺」が行われる』を参考にしてください。
自動車事故の過失割合は、事故状況やドライブレコーダーの確認などを行ったあとに、話し合いのうえ、お互いに納得し同意が成立したら決定します。そのため、事故当日に決定するものではありません。
過失割合が決まるまでの流れは一般的には以下のとおりです。
お互いに責任が発生する車両同士の事故の場合、一般的に過失割合を決めるのは、事故の当事者である加害者と被害者、それぞれが加入する自動車保険の担当者同士が示談交渉を行います。
保険会社の担当者が、事故の当事者(加害者もしくは被害者)と話し合い、その内容を相手の担当者に伝えます。警察は実況見分のみを行い、過失割合の決定には関与しません。
事故現場では、当事者同士で示談交渉を行うのは控えましょう。
たとえ口頭のみでの示談交渉であっても、一度成立した示談は原則として内容を変更できないためです。「急いでいる」などの理由があっても、その場で示談交渉を行うのは避けてください。
事故が発生したときは、まず警察に連絡をして事故を報告しましょう。加入する自動車保険の担当者に連絡をして、当事者同士で氏名や連絡先を交換します。
その後警察や保険会社からの報告・連絡を待つようにしてください。
事故当日はケガや痛みがなかったものの、後日症状が出るということも考えられます。事故当日に示談交渉をして「ケガはなく、治療費も不要」と示談が成立している場合、治療のための通院費などを請求することが難しくなります。
反対に、高額な治療費や修理費用の請求など、実際の事故やケガの程度とかけ離れた賠償金を求められる可能性もあるため、まずは警察への報告と保険会社への連絡を行いましょう。
交通事故の過失割合の例を、以下3つの要素に分けてご説明します。
※紹介する例は、過去の裁判例に基づいた交通事故の基本的な過失割合や修正要素を解説している「判例タイムズ別紙38~」を参照しています。実際の過失割合やお支払いを約束するものではありません。
ここでは、自動車と歩行者による事故の過失割合の例をご説明します。
※紹介する例は、過去の裁判例に基づいた交通事故の基本的な過失割合や修正要素を解説している「判例タイムズ別紙38~」を参照しています。実際の過失割合やお支払いを約束するものではありません。
ここでは、信号機のある場所での事故についてご説明します。
歩行者側の信号が「赤」、自動車側の信号が「青」の状態で歩行者と自動車がぶつかったとき、過失割合は自動車(A):歩行者(B)=30:70となります。歩行者には信号を無視したという過失があるものの、自動車側も前方の歩行者に注意する必要があるためです。
歩行者側の信号が「赤」、自動車側の信号が「黄」の状態で歩行者と自動車がぶつかったとき、自動車(A):歩行者(B)=50:50となります。
歩行者側の信号が「青」、自動車側の信号が「赤」の状態で歩行者と自動車がぶつかったとき、自動車(A):歩行者(B)=100:0となります。信号機が赤の場合、自動車は停止位置を超えて進行してはならず、無視した自動車に全面的な過失があると考えられるためです。
信号機のない横断歩道で自動車が歩行者にぶつかった場合、自動車(A):歩行者(B)=100:0となります。
横断歩道を渡っている歩行者がいる場合、自動車は一時停止をしなければなりません。それを怠ったと捉えられるため、原則として自動車にだけ過失があると判断されます。
ここでは、横断歩道以外を横断中の事故についてご説明します。
横断歩道や歩道橋が近くにある道路で事故が起きた場合の過失割合は、自動車(A):歩行者(B)=70:30となります。本来であれば歩行者は横断歩道や歩道橋を使うべきところ、それを怠ったと判断されるためです。
横断歩道や歩道橋が近くにない道路で起きた事故の過失割合は、自動車(A):歩行者(B)=80:20となります。ただし、渡っていた道路が横断禁止の場合は、歩行者の過失割合が大きくなることがあります。
駐車場内の駐車スペースで歩行者と自動車が衝突した場合、歩行者:自動車=10:90となります。
駐車スペースは車を駐車する場所ですが、人も乗り降りする場所であり、人が往来する可能性があります。自動車の割合が90となるのは、歩行者がいれば車を一時停止する必要があり、自動車が安全確認を怠ったと考えられるためです。
ここでは、自動車同士の事故の過失割合の例をご説明します。
※紹介する例は、過去の裁判例に基づいた交通事故の基本的な過失割合や修正要素を解説している「判例タイムズ別紙38~」を参照しています。実際の過失割合やお支払いを約束するものではありません。
ここでは、信号機のある交差点(十字路)での事故についてご説明します。
赤信号にもかかわらず交差点に自動車が進入し、青信号で走行していた自動車とぶつかった場合は、赤信号側の車(A)の過失割合が100となります。
右折しようとした対向車が直進車にぶつかった場合、どちらの信号が青であっても過失割合は直進車(A):右折車(B)=20:80となります。交差点で右折する車は他の自動車の進行を妨げてはならず、事故が起きた場合はその対応を怠ったと見なされるためです。
信号機が設置されていない交差点で、直進車と対向する右折車が衝突した事故が起こった場合、直進車(A):右折車(B)=20:80となります。右折車は直進車の進行を妨害してはならず、事故が起きた場合はその対応を怠ったと見なされるためです。
ここでは、丁字路交差点での事故についてご説明します。
幅が同じ道路で起きた事故の場合、過失割合は直進車(A):右左折車(B)=30:70となります。道幅が同じ丁字路では、原則として直進車が優先されるためです。
一方の幅員が広い道路の場合、広い道を走る直進する自動車(A):狭い道を右左折しようとする自動車(B)=20:80となります。優先道路の標識がない場合は、幅員が広い道路を走る自動車が優先となるためです。
一方に一時停止の標識が設置されている道路の場合、直進車規制なし(A):右左折車規制あり(B)=15:85となります。直進車に規制がない場合、右左折をする車に一時停止の規制があるためです。
一方が優先道路になっている場合、優先直進車(A):劣後右左折車(B)=10:90となります。どちらが優先道路であるかは、幅員や優先道路の標識によって変わります。優先道路を把握するためにも、標識を確認することが重要です。
駐車場など道路外の場所から左折して道路へ進入しようとした車と、道路を直進していた車がぶつかったケースです。この場合、直進車(A):左折車(進入しようとした車)(B)=20:80となります。
進路を変更した車が直進中の車にぶつかった場合、直進していた後続車(A):進路を変更した車(B)=30:70となります。
前提として、道路交通法では進路変更をむやみに行ってはならないとされています。また、自分の車が進路変更することで後続車に急な減速・方向変更をさせそうな場合も、進路変更をしてはいけません。これらのことから、進路変更時の事故では進路を変更した車の過失が大きくなります。
ただし、他の車を追い抜こうとしている車が進路を変更することは予測可能であり、直進車も前方を見ていないという過失があるため、割合が30%となっています。なお、左右どちらからの車線変更であっても、過失割合の基準は変わりません。
停車中の車に後続車が追突した場合、追突した車(A)の過失割合が100になります。停車している車には、原則として過失がないと見なされるためです。
ただし、駐停車禁止の場所に停車していたり、ハザードランプを付けていなかったりした場合、駐停車中の車にも過失割合が加算されることがあります。
駐車スペースから出ようとしている車と、通路を走行する車が接触した場合は、通路を走行する車(A):駐車スペースから出る車(B)=30:70となります。
道路交通法第25条の2では、「歩行者や他の車両の交通を妨げる可能性がある場合は、道路外の施設・場所に出入りしてはならない」と定められています。この「出入り」は、左折・右折や、横断やUターン、後退などのことです。
駐車スペースから出ようとしている車には大きな注意義務があると見なされ、70%の過失割合が設定されます。ただし、通路を走行する車にも前方注意義務があるため、30%の過失割合が設定されています。
ここでは、高速道路で発生した事故についてご説明します。
加速車線(本線に合流する車線)から本線へ合流しようとしたときに接触した場合、本線を走行していた車(A):本線に合流しようとしていた車(B)=30:70となります。
道路交通法第75条の6で、「合流する車は本線を走行する車の進行を妨げてはならない」と定められているためです。
走行車線を走る車が追越車線へ進路変更する際に、追越車線を直進していた車と接触した場合、上述した合流時の例とは異なり、追越車線を走っていた車(A):進路を変更した車(B)=20:80となります。高速道路での進路変更は一般道路以上に注意が求められており、過失割合も高めに設定されるためです。
ここでは、自動車とバイクの事故の過失割合の例をご説明します。
※紹介する例は、過去の裁判例に基づいた交通事故の基本的な過失割合や修正要素を解説している「判例タイムズ別紙38~」を参照しています。実際の過失割合やお支払いを約束するものではありません。
また自動車とバイクの過失割合は、バイク側に人身損害が生じた場合の例となります。
信号機がある交差点で車が左折・バイクが直進して自動車がバイクを巻き込んだ場合、バイク(A):自動車(B)=20:80となります。
原則としてバイクは道路の左側を走り、車はバイクに注意するべきとされているため、事故をした際の過失割合も大きくなります。なお、巻き込み事故はバイクだけではなく、車も同様に注意する必要があります。
信号機が設置されている交差点で、右折する車が直進するバイクと衝突した右直事故の場合、バイク(A):自動車(B)=15:85となります。
同様の状況でも、車同士の事故に比べてバイク側の過失割合が低めに設定されます。これは、バイクが車に比べて交通事故にあいやすい交通弱者であるためです。
渋滞している道路において自動車と自動車の間にスペースが空き、車が右折してそのスペースを通ろうとしたときに、直進してきたバイクと右折車両が衝突した例です。この場合の過失割合は、右折した自動車:直進したバイク=70:30となります。
車列の合間をぬって右折をした自動車は、渋滞している自動車間からバイクなどが直進してくることを想定して運転をしなければなりません。ただし、バイクのほうも交差点内にスペースがある場合、「別の車が右折して進入するかもしれない」と想定して運転する必要があります。
直進車が優先されるため、割合としてはバイクのほうが小さくなります。
事故の状況によっては、被害者に過失がない10対0になることがあります。たとえば、以下の例が該当します。
被害者に責任のない事故の場合、保険会社に示談交渉を依頼できません。自動車保険に加入していても、被害者に責任がなく損害賠償金の支払いが必要ではない場合は、保険会社は支払いの当事者にならないためです。この場合は、示談代行を行うことが弁護士法で禁じられています。
そのため、被害者に責任がない場合は、被害者自身が相手の保険会社の担当者と示談交渉を行います。ただし、自分が加入している保険会社の担当者から交渉に関するアドバイスをもらうことは可能です。必要に応じて保険会社に相談するとよいでしょう。
被害者に過失があった場合、過失相殺が行われます。事故の被害者側にも過失があったときに、加害者が負担する損害賠償額は、被害者の損害額のうち加害者の責任割合分となります。過失相殺は、双方に過失がある場合に、公平に損害を分担するために行われます。
被害者が払うべきとされた金額を加害者が支払う損害額からあらかじめ差し引き、その差額を支払うことを「相殺払い」といいます。
たとえば加害者:被害者の過失割合が80:20で、被害者の損害が200万円、加害者の損害が100万円だったとします。被害者は損害額200万円の8割である160万円を、加害者は100万円の2割である20万円を請求するとします。この場合、160万円-20万円=140万円を被害者が受け取ることになります。
事故の過失割合が提示されたものの、内容に納得できないこともあるかもしれません。示談交渉を継続していても解決する見込みがない場合は、以下の3つの手段があります。
裁判外紛争解決手続とは、当事者と利害関係のない公正中立な第三者が当事者間に入り、話し合いを通じて解決を図る手続きです。交通事故の場合は、「公益財団法人 交通事故紛争処理センター」、「公益財団法人 日弁連交通事故相談センター」などに事故解決の斡旋を依頼できます。
あくまでも中立的な立場での助言・相談・解決の斡旋であるため、相談をすれば必ず解決に導いてくれるわけではありません。また、事故状況によっては自分に有利ではない助言になる可能性もあります。
調停とは、公正中立な第三者である調停委員が当事者の間に入り、妥協案を提案して解決していく方法です。調停は、裁判所に申し立てます。
話し合いで解決する点は示談交渉と似ていますが、保険会社の担当者ではなく調停委員による解決である点が異なります。
示談交渉が不成立に終わったとき、民事訴訟を起こして過失割合を決めるという方法もあります。裁判官に証拠を提出したり、事故状況を話したりして、判決で過失割合が決定します。
裁判を申し立てる場合は、通常は弁護士に依頼をします。もし弁護士に依頼をする場合は、費用がかかります。また、判決が出るまでに日数がかかります。ただし、訴訟途中に、当事者同士の話し合いで和解をすることも可能です。
事故の相手方から提示をうけた過失割合が適当ではないことを主張するためには、証拠があると有利です。証拠になるものとして、次のようなものが挙げられます。
過失割合を主張する際は、証拠として有効なものを準備しましょう。
交通事故発生時は、加入する自動車保険の担当者が契約者に代わって示談交渉を行います。示談する時間がない場合や交渉するための知識がなく不安な場合、事故直後で心身の負担が大きい場合でも、担当者が示談交渉を行うため安心です。
ただし、0対10で自分に責任がない場合は、自身で示談交渉を行う必要があります。
このような場合に心強いのが、弁護士費用特約です。弁護士費用特約を付帯していれば、もらい事故であっても弁護士に相談・依頼でき、示談交渉や損害賠償請求を専門家に任せることが可能です。
もし交通事故を起こしたときは、その場で示談交渉をしないようにしましょう。まずは警察へ連絡してから自動車保険の窓口へ相談するなど、適切な手順を踏むようにしてください。
過失割合は損害賠償額に直結する重要な要素です。事故現場での示談は避け、必ず警察と保険会社に連絡しましょう。納得できない場合は証拠を準備して変更を主張できます。日頃からドライブレコーダーを装備しておくことをおすすめします。
資格:CFP
東証一部上場企業で10年間サラリーマンとして勤めるなか、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。
交通事故の過失割合の例は、以下の通りです。
詳細は、「事故の過失割合の例」を参考にしてください。
事故の過失割合は、事故の当事者が決定します。ただし、当事者同士だけではなく、それぞれが加入する自動車保険の担当者同士が話し合いを行います。なお、警察は実況見分のみを行うため、警察が過失割合を決定することはありません。
事故の状況によって異なるため、具体的にいつ決まるかは一概にいえません。事故状況やドライブレコーダーの確認、話し合いなどを経て決定するため、時間を要する場合があります。事故当日に決定することは原則としてありません。
人身事故を起こすと、被害者のケガの程度と加害者の過失の程度に応じた違反点数が加算されます。さらに信号無視などの違反があると、違反した内容に応じた違反点数も加算されます。
※本記事の内容は特段の記載がない限り、チューリッヒの保険商品ではなく、一般的な保険商品の説明です。
※チューリッヒの自動車保険に関する内容について
本記事内で紹介しているチューリッヒの自動車保険に関する内容につきましては、ご契約の保険始期および契約条件によって、ご契約のお客さまに適用されない場合がございます。
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