更新日:2025年1月21日
公開日:2018年9月20日
自動車保険料はさまざまな基準をもとに算出されており、その基準のひとつに「型式別料率クラス」があります。
型式別料率クラスは、事故にあうリスクを車の型式別に数字で表したものです。車種ごとの特性やおもなユーザー層によって事故が発生する頻度や被害の程度が変わってくるため、型式にあったリスクを数字で判断して保険料に反映しています。
自動車保険の補償内容や運転条件が同じであっても、型式が異なると保険料が変わる場合があります。これは、自動車の型式に合わせて料率クラスが使われているためです。
当記事では型式別料率クラスとは何か、自動車保険料にどのような関係があるかを説明します。
型式別料率クラスは、過去の事故発生状況などから車の型式ごとにリスクを数字で表現したものです。
自動車保険では、運転目的(乗用、貨物用)や車の種類・事故歴などを鑑みて保険料が決められるよう、料率区分が設定されています。
自動車保険の補償や運転条件・等級が同じでも保険料が違った場合は、型式別料率クラスが原因かもしれません。事故が多く発生している車種は料率クラスで大きい数字が設定され、保険料が高くなる傾向にあります。
型式別料率クラスは、料率算出団体である「損害保険料率算出機構」が算出しています。
損害保険料率算出機構では「合理的」「妥当」「不当に差別的でない」を3つの原則として、料率クラスの見直しを毎年行っています。
型式別料率クラスは、すべての車に適用されるわけではありません。使用される車種・使用されない車種は以下の通りです。
型式別料率クラスが使われる車 | 型式別料率クラスが使われない車 |
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型式別料率クラスは、普通車(自家用普通乗用車・自家用小型乗用車)の場合は1から17までの17段階、軽自動車(自家用軽四輪乗用車)の場合は1から7までの7段階となり、数字が大きいほど保険料が高く設定されます。
普通車はクラス1が最も事故にあう確率が低いと判断され、保険料が安くなります。料率クラスの数字が大きくなるにつれて、事故のリスクが高い車と判断されて保険料が高くなるしくみです。事故の頻度が多い車種や修理代が高い車種は、料率クラスの数字が大きくなる傾向があります。
各クラス間の保険料率の格差は約1.1倍です。1から17までの17クラスで保険料の最も安いクラスと最も高いクラスの保険料率の格差は約4.3倍です。
軽自動車の料率クラスは1〜7の7クラスに区分しています。普通車と同様にクラス1が最も保険料が安く、クラスが上がると保険料が高くなります。
各クラス間の保険料率の格差は約1.1倍です。保険料の最も安いクラスと最も高いクラスの保険料率の格差は約1.7倍です。
参照元:損害保険料算出機構「自動車保険 型式別料率クラスの仕組み(2025年1月1日以降に保険始期間の始期を有する保険契約の場合)」
型式別料率クラスは以下の4つの項目に分類され、それぞれの損害ごとにクラスが定められています。
普通自動車、小型自動車、軽自動車それぞれの例を確認すると、4つの損害ごとのクラスは以下のようになっています。
普通自動車 トヨタのアクア (型式NHP10H)※ |
小型自動車 ホンダの1300 (型式H1300)※ |
軽自動車 スズキのワゴンR (型式CT21S)※ |
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対人賠償責任保険 | 6 | 7 | 4 |
対物賠償責任保険 | 6 | 4 | 1 |
人身傷害保険 | 8 | 9 | 3 |
車両保険 | 5 | 5 | 1 |
※保険始期が2025年1月1日〜12月31日の場合。記載の情報は、2025年1月時点の算出結果です。
※出典:損害保険料算出機構「型式別料率クラス検索」
軽自動車は1〜7までの数字で、普通自動車や小型自動車は1〜17の数字で料率クラスが表現されています。
料率クラスは、損害保険料率算出機構によって毎年1月に見直されます。毎年見直される理由は、型式によるリスクが社会環境や事故の発生状況によって変化するためです。最新の事故発生状況や保険会社のデータを踏まえて、実際のリスクと料率クラスが合っているかを確認します。
設定されているクラスよりリスクが低いと判断された場合は、事故の状況や実態に合わせてクラスが「-1」または「-2」下がります。反対に、リスクが高いと判断された場合は、その度合いによってクラスが「+1」「+2」上がるしくみです。
発売後3年が経過した型式でリスクが低いものは、クラスが「-3」「-4」と大きく下がることもあります。できるだけ早く、実態に合ったクラスにするためです。
自分が事故を起こしていないくても、同一型式の自動車のリスクが高いと、その型式のクラスが上がります。
逆に、自分が事故を起こしていても、同一型式内の自動車のリスクが低いと、その型式のクラスが下がります。
料率クラスが高い車は安全性能の低い自動車ということではありません。
たとえば、安全性能が同じような自動車であっても、それぞれの自動車のユーザー層の相違など、人の要素によってもクラスが異なってくる可能性があります。
新しく販売された型式には、事故や保険のデータがありません。新しい型式には、普通自動車の場合は排気量や新車の価格・販売年月からクラスが設定され、軽自動車は一律クラス2が設定されます。
型式別料率クラスが変化することによって、保険料にも影響があります。ここでは、クラスの変化による保険料への影響を説明します。
なお損害保険料率算出機構で算出した参考純率上の料率クラスであり、各保険会社で使用している料率クラスとは異なる場合があります。
一般的に、型式別料率クラスが上がると自動車保険料が高くなります。事故が増えた型式は、翌年以降の料率クラスの段階が上がって、保険料が高くなる可能性もあります。
型式毎の支払われる保険金が多いと、必ず料率クラスが高くなるわけではありません。
料率クラスは保険金の支払いデータだけに基づいて決定されるものではないためです。
一般的に台数が多い型式であればその分保険金も多いので、料率クラスは型式毎の保険金などの支払いデータだけではなく、保険料などの契約データとのバランスを踏まえて、そのリスク実態により決定されています。
先述の通り、損害保険料率算出機構によると、自家用乗用車のクラスごとの保険料率の差は1.1倍です。クラスが1段階上がると、純保険料(保険料のうち、事故が発生したときの保険金に充てられる金額)が1.1倍になるということです。自家用乗用車の場合、最小クラス1と最大クラス17の保険料率を比較すると、約4.3倍の差があることになります。
※出典:損害保険料算出機構「自動車保険 型式別料率クラスの仕組み」
※2025年1月執筆時点
型式別料率クラスは、損害保険料率算出機構の検索サイトから調べられます。ここでは、自分で型式別料率クラスを調べる方法を説明します。
まずは車の型式を確認しましょう。型式は、自動車の型を分類するために付けられている公的な記号です。車の購入時や車検終了時に受け取る自動車検査証に、型式が記載されています。自動車検査証の「型式」欄を見て、「〇〇-▲▲」の▲部分を確認してください。
損害保険料率算出機構の「型式別料率クラス検索」で、「メーカー・車名で検索する」「型式で検索する」いずれかを選択してください。入力する項目はそれぞれ以下の通りです。
メーカー・車名で検索する | 型式で検索する |
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型式別料率クラスは保険料を決める基準のひとつであり、自動車リスクによって段階が決められています。料率クラスの数字が大きければ大きいほど、自動車保険料が高くなります。自分の車の料率クラスを知りたい方は、料率クラスを調べてみてください。
「車の購入や買い替えを検討しているが、自動車保険料を抑えたい」という方は、型式別料率クラスで小さな数字が設定されている車の種類を選んだり、保険会社を代理店型から通販型にしたりするといった策も考えるとよいでしょう。
※2025年1月執筆現在
外車の保険料が高いのは、外車は車両保険の型式別料率クラスの数字が高い傾向にあるためです。車両保険を付加しなければ一般的な国産車と保険料は変わらない可能性もあります。こうした、型式別料率クラスの特徴も知っておきましょう。
資格:CFP
東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。
運転される方の年齢や運転目的、事故が起きる可能性を加味するためです。契約時は過去の統計データから保険料を決定しており、現在の保険料と実態との間に差異が生じた場合は、料率や算出基準を変更します。
あります。契約された車の型式別料率クラスが高くなった、被保険者の年齢が高くなったといった原因が考えられます。
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