更新日:2024年3月12日
公開日:2020年7月14日
車が事故や災害にあって、損害を受けたときに頼りになる車両保険ですが、保険を使うと翌年度以降保険料が高くなってしまうと聞いたことがある方も多いでしょう。それは事故歴に応じて保険料の割引・割増率を定めている等級制度(ノンフリート等級)によるものです。
車両保険の対象となる事故や、車両保険を使うと等級がどれくらい下がるのか、ご説明いたします。
等級とは保険料を算出する際に用いられる基準のひとつで、保険契約中の事故の有無によって保険料の割引・割増率を定めるための区分です。
自動車保険の等級は、1等級から20等級まであります。
はじめて自動車保険に加入する場合は6等級からスタートし、事故がなければ翌年度の等級が上がり、保険料は安くなります。
対して事故などで自動車保険(車両保険を含む)を使用すれば、翌年度の等級が下がり、保険料は高くなります。
車両保険を使った場合、翌年度の契約では等級が下がり、加えて、「事故あり係数」が適用されます。事故あり係数とは、前契約に事故があった場合で、次の契約の等級が7等級以上の場合に適用される係数です。
同じ等級であっても、事故あり係数が適用される場合、無事故の契約者に比べると割引率は低くなるため、保険料は高くなります。
事故あり係数適用期間とは、事故あり係数が適用される期間のことです。事故あり係数適用期間は、事故の種類によって決まります。
今年度の等級、事故あり係数適用期間 | 事故の種類 | 翌年度以降の等級、 事故あり係数適用期間 |
---|---|---|
14等級 事故あり係数適用期間0年 |
3等級ダウン事故 | 11等級 事故あり係数適用期間 3年 |
1等級ダウン事故 | 13等級 事故あり係数適用期間 1年 |
事故あり係数適用期間は、事故がなければ1年を経過するごとに「1年」減算されます。
しかし、事故あり係数適用期間中に再度、等級が下がる事故があった場合には、「1年」減算した後に、下がった等級分の年数が新たに加算されます。ただし、事故あり係数適用期間は最大で6年までとなります。
事故の内容によって、3等級ダウン事故、1等級ダウン事故、ノーカウント事故の3種類に分類されます。
チューリッヒの場合でみてみましょう。
車両保険を使った1件の事故で、翌年度から3等級ダウンする事故のことです。
車両保険を使った1件の事故で、翌年度から1等級ダウンする事故のことです。
契約車が盗難、台風や洪水など自然災害による損害、落書きなどのいたずらで、車両保険を使用する場合は1等級ダウンに該当します。等級ダウンはしないと思われがちな盗難や飛び石、いたずらでも1等級ダウンするので注意が必要です。
自動車保険を使っても、等級に影響がない事故です。自動車保険を利用しなかった場合と同じく、翌年度も等級が上がります。
以下に示したものが、ノーカウント事故に該当します。
事故のケースごとに等級がどれだけダウンするか異なるため、保険会社からの案内を確認しておきましょう。また、もし他人の車を傷つけて相手にケガをさせた場合、支払いが多岐にわたり高額になりがちですが、等級ダウンは最大で3等級のダウンとなります。
おもな事故例 | ワイドカバー型(一般条件) | 限定カバー型 |
---|---|---|
台風・竜巻・洪水・高潮 | ◯ | ◯ |
火災・爆発 | ◯ | ◯ |
飛来物・落下物の接触※1 | ◯ | ◯ |
盗難 | ◯ | ◯ |
いたずら※2・落書き・窓ガラスの破損 | ◯ | ◯ |
他の車※3との接触で相手がわかる場合 | ◯ | ◯ |
他の車※3との接触で相手がわからない場合(当て逃げ) | ◯ | × |
車以外の物・動物・人との接触 | ◯ | × |
自転車との接触 | ◯ | × |
墜落・転覆 | ◯ | × |
地震、噴火、それらによる津波 | ×※4 | × |
(注)車両保険の補償内容は保険会社によって違うので必ず確認してください。
車両保険を使うと等級が下がり翌年度からの保険料が高くなるので、軽微な事故の場合は車両保険を使わないという選択肢も考えられます。では車両保険を使うかどうかの判断基準はどこにあるのでしょうか。
等級がダウンする事故には、1等級ダウン事故と3等級ダウン事故があります。車両保険を使ったことによって何等級ダウンするか、現在の等級や保険料がどのくらいなのかによっても、アップする保険料の額は異なります。
保険料がこれだけ上がるということは一概には言えません。
車のいたずらなど1等級ダウンの事故の場合、現在15等級であれば翌年は14等級・事故あり係数1年となります。また、1年間にもし2回事故を起こした場合には、翌年から合計した等級ダウンとなります。
車同士の衝突で車が大きく損傷したり盗難被害にあったりした場合などは、保険金額も大きくなるので車両保険を使ったほうが助かるでしょう。
しかし自損事故で車に傷が付いた場合など、軽微な事故で修理代がそれほど高くない場合は要注意です。この場合、車両保険を使うと、翌年度の保険料の増額分のほうが修理代よりも高くなることがあるからです。
自動車保険の等級制度は、事故歴に応じて保険料が決まる制度です。
車両保険を使った場合、等級が下がると同時に事故あり係数も適用され、翌年度以降の保険料が大幅に高くなります。
軽微な事故で車両保険を使ってしまうと翌年度以降の保険料が高くなり、修理代よりも保険料の増額分のほうが高くなってしまうケースもあります。
車両保険を使うか使わないかは、見積りを取った修理代と保険料増額分を比較して判断することをおすすめします。
※記載の情報は、2024年3月12日時点の内容です。
ファイナンシャル・プランナーで一児の母。大手損害保険会社を経て2010年に独立開業。
個別相談や執筆、セミナー講師として活躍中。企業研修や女性向けに賢いお金との付き合い方を伝えている。
K'sプランニング代表/一般社団法人あんしんLifeコミュニティ 代表理事
CFP®、一級ファイナンシャル・プランニング技能士
※本記事の内容は特段の記載がない限り、チューリッヒの保険商品ではなく、一般的な保険商品の説明です。
※チューリッヒの自動車保険に関する内容について
本記事内で紹介しているチューリッヒの自動車保険に関する内容につきましては、ご契約の保険始期および契約条件によって、ご契約のお客さまに適用されない場合がございます。
必ずお客さまの保険証券、約款、重要事項説明書の記載などをご確認ください。
インターネットから申し込むと、
初年度最大21,000円割引