更新日:2023年3月27日
公開日:2017年11月5日
自動車保険は、過去の事故の発生状況に応じて等級が設定されています。
事故を起こして自動車保険を利用した場合、翌年度の等級が下がります。事故は3等級ダウン事故・1等級ダウン事故・ノーカウント事故の3種類に分けられ、等級が下がると保険料が高くなるしくみです。
当記事では、3種類の事故の違いを説明します。翌年度以降の保険料に影響する「事故あり係数」の考え方も説明していますので、あわせて確認してみてください。
自動車保険には、事故の発生状況に応じて等級ごとに保険料の割引率を定めるノンフリート等級制度があります。初めて自動車保険に加入したときは6等級から始まり、1年間無事故であれば1等級上がります。等級は1から20まであり、等級が上がるにつれて保険料が下がるしくみです。
事故で自動車保険を利用した場合、翌年度の等級が下がります。事故の種類は3等級ダウン事故・1等級ダウン事故・ノーカウント事故に分けられ、それぞれ下がる等級が異なります。
3等級ダウン事故は、事故1件に対して3等級下がる事故です。
人や物に車をぶつけて対人賠償保険や対物賠償保険、車両保険を利用する事故があてはまります。現在12等級の方が3等級ダウン事故を起こすと、翌年度は9等級になります。3等級ダウン事故の例は以下の通りです。
1件の事故で複数の補償項目から支払うことになったとしても、等級ダウンは3等級までです。たとえば、他人の車とぶつかって相手の車を傷つけただけでなく、相手にケガをさせてしまったとします。この場合は相手の車に対して対物賠償保険金が、相手のケガに対して対人賠償保険金が支払われます。1件の事故で2種類の保険を使っていますが、下がるのは3等級です。
1等級ダウン事故は、事故1件に対して1等級下がる事故です。
「車両保険」「車内身の回り品補償特約」のいずれか一方、または両方にあてはまる事故が1等級ダウン事故です。現在12等級の方が1等級ダウン事故を起こすと、翌年度は11等級になります。1等級ダウン事故の例は、以下の通りです。
1等級ダウン事故には盗難や台風、いたずら、飛来物との衝突など、運転者が気を付けていても防ぐのが難しい事故が多く含まれています。
保険を使っても事故にカウントされない事故を「ノーカウント事故」といいます。ノーカウント事故は保険金を受け取ったとしても、等級が下がりません。他の事故を起こしていなければ翌年度に1等級上がります。
現在12等級でノーカウント事故を起こした場合、等級は下がらず、翌年度は1等級上がるので13等級になります。ノーカウント事故にあてはまるのは、以下のようなケースです。
同乗していた家族がケガをして保険金を受け取ったとしても、ノーカウント事故となり、等級は下がりません。
保険料が決まる要素のひとつに「事故あり係数」があります。「事故あり係数」とは、前契約で事故があり、これから締結する契約が7等級以上の場合に適用する係数です。
新規に自動車保険を契約したときは事故あり係数が0年で、事故を起こすと下がった等級数分の年数が事故あり係数に適用されます。
たとえば現在20等級で、3等級ダウンの事故を起こすと、翌年度は17等級になると同時に事故あり係数が3年加算されます。翌年度以降は無事故であれば毎年1等級ずつ上がり、事故あり係数の年数は1年ずつ減っていくしくみです。
事故から2年後には「18等級・事故あり係数2年」、3年後には「19等級・事故あり係数1年」となります。「事故あり係数3年」の場合は事故ありの期間が3年続き、「20等級・無事故」に戻るのは4年後です。
車のいたずらなどの1等級ダウンの事故にあった場合は、現在20等級なら「19等級・事故あり係数1年」になります。その後は無事故であれば、事故あり期間は1年続き、翌年に戻ります。
事故を起こしたとしても、等級はすぐには下がりません。等級のアップ・ダウンは契約時に反映されます。
自動車保険の契約期間は、一般的に1年間です。保険の満期日が来ると契約更新の手続きを行います。契約更新のタイミングで等級のアップ・ダウンが反映され、保険料が変わります。
等級や事故あり係数は、保険を解約して他の保険会社に乗り換えたとしても引き継がれます。
事故を起こした際に下がる等級は、事故の内容によって異なります。ここでは、2つの事故を例に説明します。
1年間に3等級ダウン事故と1等級ダウン事故の計2回の事故を起こして保険を使った場合、計4等級下がります。
たとえば現在17等級で、1等級ダウン・3等級ダウンの事故を1件ずつ起こして保険を使ったとしましょう。この場合、4等級下がって翌年度は13等級になります。
台風で水害を受けた場合は、1等級ダウンに該当します。現在17等級であれば台風で水害を受けて自動車保険を使うと、翌年度は16等級になります。
自動車保険を使って翌年以降の等級が下がるのであれば、「自動車保険を使わないほうがよいのではないか」と思う方もいるかもしれません。事故の内容によっては、損害額を自分で負担したほうが全体の費用を抑えられる場合があります。
自動車保険を使うべきか判断する基準として、保険金額と保険料支払額のどちらが大きいかで決めるとよいでしょう。たとえば事故にあって修理費が3万円かかり、自動車保険を使うと保険料が戻るまでに5万円かかる場合、修理費を自分で負担したほうが総合的な費用を抑えやすくなります。
保険を使わず自分で支払う場合は手元の現金がなくなるため、対策として保険を使うという考え方もあります。保険料が高くなることを避けたい方は、事故を起こしたときに保険会社に修理費用や保険料の増額を確認しましょう。確認した金額より自分が負担する修理費のほうが安い場合は、自分で修理費を負担する選択肢も検討してみてください。
自動車事故は、事故の種類によって下がる等級が異なります。等級が下がると事故あり係数が適用され、翌年度の保険料が割高になります。
事故の保険金額より保険料支払額が高くなる場合は、自動車保険を使わず自分で負担することもひとつの案です。万が一事故にあった場合は保険会社に確認し、内容に合わせて自動車保険の活用を検討してください。安全運転を心がけながら、万が一の事故にも備えておきましょう。
自動車保険を使わず、次回更新時に等級が上昇、保険料は下がったケースと、自動車保険を使って等級が下がり、保険料は上昇したケース、それぞれ支払う保険料総額を3年・5年単位など長期で比較すると意外に大きな差になります。
資格:CFP
東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。
保険会社によっては下がらない場合があります。「車両無過失事故に関する特約」を提供している保険会社では下がらないので、確認してみてください。
事故を起こした場合、保険会社を乗り換えたとしても保険料が上がります。事故あり係数は他社に契約しても引き継がれ、低い等級も引き継ぎ対象となるためです。自動車保険の満期日以降13ヵ月保険を契約していない状態であれば、等級がリセットされます。
※本記事の内容は特段の記載がない限り、チューリッヒの保険商品ではなく、一般的な保険商品の説明です。
※チューリッヒの自動車保険に関する内容について
本記事内で紹介しているチューリッヒの自動車保険に関する内容につきましては、ご契約の保険始期および契約条件によって、ご契約のお客さまに適用されない場合がございます。
必ずお客さまの保険証券、約款、重要事項説明書の記載などをご確認ください。
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