更新日:2024年8月9日
公開日:2022年6月1日
「対人賠償保険」とは、事故で他人を死傷させてしまった場合に備える保険です。
契約している車を運転中に「他人にケガをさせてしまった」「他人を死亡させてしまった」という法律上の損害賠償責任を負った場合に、自賠責保険で支払われる限度額を超える損害賠償額に対して保険金が支払われます。対人賠償保険では、相手方の治療費や慰謝料などを補償します。
対人賠償保険の保険金額は、万が一の高額な賠償額請求に備えて、「無制限」でのご契約をおすすめします。事故により、相手方に後遺障害を負わせてしまったり死亡させてしまったりした場合は、賠償額が数千万円から数億円と高額になることもあるためです。
対人賠償保険の補償範囲について、わかりやすくご説明します。対人賠償保険で補償されるケース・補償されないケース、同乗者は補償されるのかなども記載しているため、参考にしてください。
「対人賠償保険」とは、契約している車での事故によって、他人にケガをさせたり死亡させたりして、法律上の損害賠償責任を負った場合に、自賠責保険などで支払われるべき額を超える損害賠償額に対して保険金が支払われる保険です。
対人賠償保険は、自動車保険(任意保険)の基本補償に含まれるのが一般的です。そのため、自動車保険に加入していれば、オプションとして追加する必要はありません。
チューリッヒの自動車保険も、対人賠償保険は基本補償です。
「人身傷害保険」とは、契約している車に搭乗中の自動車事故により、ケガをしたり死亡したりした場合に備える保険です。対人賠償保険と同様、人に対する損害に備えるためのもので、治療費や休業損害、看護料、葬祭費用まで補償されます。
対人賠償保険と人身傷害保険の違いは、補償の対象となる方などが異なることです。対人賠償保険が他人に対する補償であるのに対し、人身傷害保険はご契約中の車に搭乗している記名被保険者や、その家族などを補償します。
人身傷害保険では事故の過失割合に関係なく、実際の総損害額が示談交渉の結果を待たずに支払われます。
対人賠償保険の補償範囲についてご説明します。
対人賠償保険で補償の対象となるのは、家族(父母、配偶者、子ども)以外の他人です。記名保険者や、その家族(父母、配偶者、子ども)のケガは補償対象外です。
以下の方は対人賠償保険では補償されません。
なお、兄弟・姉妹は上記に当てはまらないため、補償対象に含まれます。
同乗者が家族(父母、配偶者、子ども)ではなく、友人や知人などの他人であれば、対人賠償保険で補償されます。対人賠償保険は、交通事故で「他人」を死傷させ、法律上の賠償責任を負った場合に補償される保険だからです。
なお、同乗する家族のケガは、対人賠償保険ではなく人身傷害保険で補償されます。
以下のケースは、対人賠償保険で補償されます。
運転中に歩行者に衝突してケガをさせてしまった場合は、自賠責保険などにより支払われるべき金額を超える分に対して、保険金が支払われます。また、20日以上の入院が必要となった際には、見舞品代(入院臨時費用)として2万円が支払われます。
※後遺障害別表第一の1級に該当した場合を想定
運転中に自転車と接触し、自転車に乗っていた方を死亡させてしまった場合は、自賠責保険などにより支払われるべき金額を超える分に対して、保険金が支払われます。また、慰謝料なども補償されます。
※相手方の年齢:20代後半、年収:1,500万円、職業:医者を想定
運転中に前方車両に衝突し、全治3ヵ月のケガをさせてしまった場合は、自賠責保険などにより支払われるべき金額を超える部分に対して、保険金が支払われます。
一方で、以下のケースは対人賠償保険で補償されません。
なお、対人賠償保険で補償されない主な範囲は以下のとおりです。
自宅での車庫入れや運転中などで、家族(父母、配偶者、子ども)にケガをさせてしまった場合は、補償されません。このケースでは、人身傷害保険の「車内・車外補償」タイプで補償されます。
台風のみならず、地震や噴火、津波、洪水、高潮によって生じた損害は、補償の対象外です。
保険契約者や記名被保険者が、故意に事故を起こして生じた損害も補償の対象外です。
チューリッヒの対人賠償保険の場合、契約の保険金額を限度とし「対人賠償保険金」の他に「臨時費用保険金」が支払われます。
それぞれの保険金の内容は、以下のとおりです。
対人賠償保険金 | 被害者1名につき、契約の保険金額を限度に支払われる |
---|---|
臨時費用保険金 | 相手方が死亡、もしくは20日以上入院した場合に、被害者1名につき死亡の場合10万円、入院20日以上の場合2万円が見舞品代、香典などの臨時費用として支払われる |
対人賠償保険は「無制限にすべき」「無制限がおすすめ」などといわれています。ここからは、対人賠償保険の無制限の意味と、無制限がおすすめの理由をご説明します。
なお、チューリッヒの対人賠償保険の保険金額は無制限で設定できます。
「無制限」とは、対人賠償保険の保険金額に上限がない契約のことです。
保険会社によっても異なりますが、保険金額を「2,000万円まで」「2,000万円超から5,000万円まで」「5,000万円超から1億円まで」「1億円超」「無制限」などから設定できます。しかし、「2,000万円まで」に設定していたうえで、賠償額が2億円、3億円などと高額になった場合は、自己資金だけでカバーすることは困難です。
対人賠償保険の保険金額を無制限で契約しておけば、高額な賠償金の請求にも備えられるでしょう。
実際に、自家用乗用車(普通)で対人賠償保険をご契約される約99%の方が、保険金額を「無制限」にしています。
自賠責保険とは、法律によりすべての自動車に加入が義務付けられている強制保険です。
自賠責保険は、交通事故にあった被害者を救済するためのものです。そのため、自賠責保険で支払われる保険金額には限度があり、傷害の場合は被害者1名につき120万円までとなっています。賠償金が限度額を超えた分は、加害者が負担します。
たとえば、運転中に相手にケガをさせてしまい、賠償請求額が1,500万円になった場合、自賠責保険から120万円が支払われます。しかし、残りの1,380万円は自己負担となってしまいます。
一方、対人賠償保険の保険金額を「無制限」で契約しておけば、自賠責保険の支払限度額を超えた分の賠償金も対人賠償保険から支払われます。
事故により、相手に後遺障害が残るケガをさせたり死亡させたりしてしまった場合、裁判で高額な損害額が認定されることがあります。過去には、以下のように5億を超える高額賠償が求められるケースもありました。
認定総損害額 | 裁判所 | 判決年 | 被害者の年齢・性別 | 被害者の職業 | 態様 |
---|---|---|---|---|---|
5億2,853万円 | 横浜地裁 | 2011年 | 41歳・男性 | 開業医 | 死亡 |
4億5,381万円 | 札幌地裁 | 2016年 | 30歳・男性 | 公務員 | 後遺障害 |
4億5,375万円 | 横浜地裁 | 2017年 | 50歳・男性 | コンサルタント | 後遺障害 |
参考:損害保険料算出機構「自動車保険の概況 2023年度版」
※2024年5月執筆現在
自動車事故のケガや死亡に対する賠償額には、治療費や慰謝料、逸失利益などが含まれるため、高額になる場合があります。逸失利益とは、「生存していれば将来得られたであろう収入額」または「後遺障害により将来発生するであろう収入減の額」のことです。
事故が発生した際に自動車保険を使うと、等級が下がる場合があります。等級が関連する事故は「3等級ダウン事故」「1等級ダウン事故」「ノーカウント事故」の3パターンです。
対人賠償保険を使う事故は「3等級ダウン事故」に該当し、翌年度の等級が3つ下がります。
対人賠償保険を含む自動車保険には示談交渉サービスがついています。
示談交渉サービスとは、対人・対物事故の際に専任の損害サービススタッフが示談書の作成や相手方との交渉を行い、事故解決までしっかりサポートしてくれるサービスのことです。示談交渉が難航し、訴訟・調停に至った場合には、選任の弁護士が対応することも可能です。
事故を起こしてしまった際は、損害賠償額や支払方法など、相手方とさまざまなやりとりをしなければなりません。事故の相手との交渉は、心労が重なるうえに手間もかかります。専任の損害サービススタッフが代理で示談交渉を行い、事故の解決に努めますのでご安心ください。
最後に、チューリッヒの対人賠償保険について詳しくお知りになりたい方はこちらを参考にしてください。
チューリッヒの対人賠償保険はこちら
対人賠償事故で法律上の損害賠償責任を負った場合、自賠責保険からも支払われますが、自賠責保険だけでは不足する可能性があります。対人賠償は想像以上に高額になることもあるため、無制限で加入するのが基本です。
資格:CFP
東証一部上場企業で10年間サラリーマンとして勤めるなか、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。
同乗者が友人や知人だった場合は、対人賠償保険で補償されます。
万が一に備え、対人賠償保険の保険金額は「無制限」でのご契約がおすすめです。
交通事故の加害者になると、数億円の賠償責任が求められるケースがあります。その場合、個人の資金で対応することは困難です。
※本記事の内容は特段の記載がない限り、チューリッヒの保険商品ではなく、一般的な保険商品の説明です。
※チューリッヒの自動車保険に関する内容について
本記事内で紹介しているチューリッヒの自動車保険に関する内容につきましては、ご契約の保険始期および契約条件によって、ご契約のお客さまに適用されない場合がございます。
必ずお客さまの保険証券、約款、重要事項説明書の記載などをご確認ください。
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