更新日:2024年7月11日
公開日:2024年4月16日
対物超過特約とは、対物賠償保険で補償する事故で、相手の車に時価額を超える修理費用が発生したときのための特約です。
基本補償に含まれる対物賠償保険は、時価額での補償となります。その時価額を超える修理費用が発生した場合、時価額を超える修理費用は補償対象となりません。
対物超過特約を付けていれば修理費用が時価額を超えた場合も補償され、示談交渉をスムーズに進めやすくなります。
対物超過特約(対物超過修理費用特約)の補償内容や、対物超過特約の付帯が必要かいらないかなどをご説明します。
自身が年式の古い車を乗っていて事故の被害者になり、相手方が対物超過特約を付帯していない場合、修理費用を全額補償してもらえず、泣き寝入りせざるを得ないこともあります。そのため対物超過特約について理解しておきましょう。
※チューリッヒの対物超過特約の正式名称は、「対物差額修理費用補償特約」となります。
対物超過特約(対物超過修理費用特約)とは、事故の際、相手方の車に時価額(対物賠償責任額)を超える修理費用が発生したときに補償する特約です。
「時価額」とは、現在の車の価値のことです。同じ車名や型式で、使用程度が同じである車の市場販売価格の相当額を指します。
他人の所有物を壊してしまったときの補償として、対物賠償保険があります。対物賠償保険は、自動車事故で相手方の車やガードレール、信号機など他人の物を壊して法律上の賠償責任を負った場合に、保険金が支払われる保険です。
対物賠償保険では、法律上の賠償責任のある時価額までしか補償できませんので、相手方の車の「時価額を超える修理費用」は保険金で支払われません。
しかし、相手方の車が古く、時価額が低い場合、相手方としては車を修理して乗り続けたいと考えても、時価額までの補償となってしまうと、その時価額を超える修理費用をめぐってトラブルが発生することがあります。
そのようなときに対物超過特約があれば、時価額を超えて相手方の車の修理費用を補償することができます。
チューリッヒの対物超過特約(正式名称:対物差額修理費用補償特約)の場合、支払限度額は50万円、または無制限のいずれかから選択が可能です。
事故日の翌日から起算して、6ヵ月以内に相手方の車が実際に修理されたときに補償されます。
チューリッヒの場合、対物賠償保険は基本補償です。保険金額を「500万円」「1,000万円」「2,000万円」「3,000万円」「5,000万円」「無制限」から選択できます。しかし、無制限に設定している場合でも、対物賠償保険のみでは、時価額を超える修理費用に対して保険金を支払うことはできません。
修理費用が時価額を超えた場合、保険金が支払われるのは対物超過特約のみとなる点を理解しておきましょう。
チューリッヒの対物超過特約(対物差額修理費用補償特約)で支払われる保険金をご説明します。
対物賠償保険が適用される事故で、修理費用が相手方の車の時価額を超え、被保険者が超過修理費用を負担する場合に、超過分の修理費用に被保険者の過失割合を乗じた額を保険金額として支払います。
ただし、事故日の翌日から起算して6ヵ月以内に相手方の車が実際に修理された場合に限ります。
なお、修理費用が時価額と相手方の新車価格を超えている場合は、その新車価格までの補償となります。また、この特約の支払限度額を超えてしまった場合は、その限度額までの補償となります。
支払限度額は「50万円」「無制限」から選べます。無制限を選ぶと、高額な超過修理費用の支払いにも備えることが可能です。
保険金額は「無制限」がおすすめです。「無制限」なら高額な対物超過修理費用にも備えることができます。
事故相手のお車が古くても付加価値の高いスポーツカーなどだった場合、50万円を超える修理費を求められる恐れもあります。
ここではチューリッヒを例に、支払限度額50万円と無制限の2パターンの修理費用を確認してみましょう。なお賠償金額を決める要素に「過失割合」があります。
被害者と加害者それぞれに、事故に対する過失がどれだけあるかを示すもので、双方の示談交渉を経て決まります。
対物超過特約でお支払する金額も過失割合を乗じた金額となります。
支払限度額を50万円に設定していた場合の例を説明します。
このケースでは、修理費用が100万円に対して自分の過失が70%であるため、70万円を支払う必要があります。そのうち補償される金額は以下のとおりです。
相手方の車の修理費用100万円 | |
---|---|
時価額60万円 | 時価額を超える修理費用40万円 |
対物賠償で42万円補償(※1) | 対物超過特約で28万円補償(※2) |
※1 時価額60万円にご自身の過失割合70%を乗じた額
※2 超過額40万円にご自身の過失割合70%を乗じた額
対物超過特約に加入していない場合、対物賠償保険で42万円を補償することは可能です。しかし、時価額を超える修理費用28万円については対物賠償保険では支払われません。
特約の支払限度額を50万円に設定した場合、修理費用が時価額を超えても、50万円までであれば特約を使い修理費用を支払うことができます。
上記のケースでは、基本補償である対物賠償保険で42万円を支払い、時価額を超える修理費用の28万円を対物超過特約で支払うことが可能です。
チューリッヒの場合、支払限度額は無制限を選択できます。時価額を上回る修理費用が50万円を超えた場合でも、対物超過特約から修理費用を支払うことができます。
自分の過失が100%のときは、修理費用をすべて自分が負担しなければなりません。このケースでは、修理費用330万円に対して時価額を超える修理費用は240万円です。
相手方の車の修理費用330万円 | |
---|---|
時価額90万円 | 時価額を超える修理費用240万円 |
対物賠償で90万円補償(※1) | 対物超過特約で240万円補償(※2) |
※1 時価額90万円にご自身の過失割合100%を乗じた額
※2 超過額240万円にご自身の過失割合100%を乗じた額
支払限度額で50万円を選択していた場合、修理費用240万円は補償されませんが、無制限であれば時価額を超える修理費用も補償されます。
無制限で設定しても、保険金が「相手方の車の新車価格を上回る」という場合は、新車価格が上限となります。無制限を選択したからといって、全く制限がないわけではない点に注意しましょう。
対物超過特約(対物超過修理費用特約)の付帯は必要なのか、デメリットはないのかお悩みの方もいるかもしれません。
対物超過特約の付帯の必要性やメリットは、自分が事故の加害者になったときに感じやすい傾向があります。以下に付帯のメリットをご説明します。
交通事故で相手方とトラブルになりやすいのが、「相手方の車の時価額を超える修理費用をどうするか」という点です。対物賠償保険では、相手方の車の時価額までの修理費用を補償しますが、超えた分は原則として支払う義務はありません。
しかし、時価額を超える修理費用の扱いはトラブルを招きやすく、示談交渉が難航してしまうことがあります。
時価額の修理費用のトラブルを解決に導くのが対物超過特約です。対物超過特約を付けていれば、時価額を超える金額も補償され、示談交渉をスムーズに進めることが可能になります。
たとえば自分が時価額100万円の車に乗っていて、事故で130万円の修理費用がかかるとします。時価額が100万円であるため、100万円分の修理費用は対物賠償保険で支払われます。しかし、残りの30万円は支払われません。
対物超過特約を付帯していない場合、「残りの30万円の修理費用をどうするか」という点を争い、相手と円満な示談交渉をスムーズに進められない可能性があります。
相手方の車の年式が古い場合、時価額を大幅に超える修理費用がかかることも想定されます。事故相手が修理するかどうかはわかりませんが、修理をする場合は「時価額を超えた修理費用をどうするか」を争う可能性もあるでしょう。
対物超過特約に加入していれば、時価額を超える修理費用に対して保険金が支払われます。チューリッヒのように支払限度額の無制限を選択できれば、修理費用が大きくなっても対応しやすいでしょう。
ちなみにご自身が被害者になった場合も注意が必要です。ご自身が年式が古く時価額の低い車に乗っていて、万が一事故の被害者になった際に、対物賠償保険だけでは充分な修理費用を受け取れない可能性があります。
相手方が対物超過特約を付帯していない場合、修理費用を全額補償してもらえず、泣き寝入りせざるを得ないこともあります。
対物超過特約(対物超過修理費用特約)は、万が一の事故でもスムーズに対応できることが特長ですが、一方で注意が必要です。
以下に、チューリッヒの対物超過特約における注意事項をご説明します。
対物超過特約が使えるのは、事故日の翌日から起算して6ヵ月以内に車を実際に修理したときのみです。6ヵ月を超えてから車の修理をする場合は、対物超過特約が使えません。
修理をするタイミングによっては、対物超過特約の補償を受け取れないことを理解しましょう。
対物超過特約は、相手方の車を修理するときの費用を補償します。そのため、相手方が車を修理せず、新たな車に買い替えるときの費用は支払われません。
自分が事故の被害者になってしまったときも、車の買い替え費用を請求できないことを理解しておきましょう。
チューリッヒの対物超過特約は、以下の事故やトラブルの場合、修理費用が発生しても対物超過特約では補償されません。
記名被保険者自身や記名被保険者の家族が運転する車やバイク、または所有するものにおいては、対物賠償保険や対物超過特約では補償されない点に注意しましょう。
事故で自分が加害者になってしまったとき、相手方の車の時価額を超える修理費用をめぐってトラブルになることがあるかもしれません。
対物賠償保険では他人の所有物を壊したときの補償を受けられますが、時価額を超える車両修理費用はカバーされません。
対物超過特約(対物超過修理費用特約)を付けていれば、修理費用のうち時価額を超える修理費用も補償されます。万が一の事故や相手方とのトラブルに備えて、対物超過特約の加入を検討しておくのがおすすめです。
チューリッヒの自動車保険の対物超過特約をご確認いただき、付帯についてご検討ください。
事故で相手方の車に損害を与えても、法律上は時価額を超える支払いをする必要はありません。しかしどのような相手とトラブルになるかは想定ができないこと、また示談交渉をスムーズに進めるという意味でも、対物超過特約の付帯をおすすめします。
資格:CFP
東証一部上場企業で10年間サラリーマンとして勤めるなか、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。
対物超過特約とは、対物賠償保険に関連する特約です。事故を起こして相手方の車に時価額を超える修理費用が発生したとき、対物超過特約があれば支払うことができます。
対物超過特約には、支払限度額が50万円のものと無制限のものがあります。チューリッヒでは支払限度額を無制限に設定することが可能です。
「対物超過特約は必要ない」と思う方もいるかもしれませんが、たとえば時価額の低い車と事故を起こしたときに必要性を感じやすくなります。
基本補償である対物賠償保険では、修理費のうち時価額を超えた分は補償されません。しかし、相手方の車の年式が古く時価額が低い場合、修理費用が時価額を上回ることも考えられます。「時価額を超える修理費用を補償するかどうか」という点で相手方とトラブルになることも可能性もあるでしょう。
このようなトラブルを解消するのが、対物超過特約です。事故が発生しなければ対物超過特約が必要かどうかを判断するのは難しいですが、事故の相手によっては「付帯しておいてよかった」と感じることかもしれません。
対物超過特約を付帯していると時価額を超えた修理費用が補償されます。そのため、示談交渉をスムーズに進めやすく、時価額が低い車との事故でも対応しやすいというメリットがあります。
※本記事の内容は特段の記載がない限り、チューリッヒの保険商品ではなく、一般的な保険商品の説明です。
※チューリッヒの自動車保険に関する内容について
本記事内で紹介しているチューリッヒの自動車保険に関する内容につきましては、ご契約の保険始期および契約条件によって、ご契約のお客さまに適用されない場合がございます。
必ずお客さまの保険証券、約款、重要事項説明書の記載などをご確認ください。
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