更新日:2024年10月30日
公開日:2022年6月6日
対物賠償保険とは、車の事故で他人の所有する車や家屋・所有物を壊してしまい、修理費用などの法律上の損害賠償責任を負った場合に補償する保険です。
他人の所有する車や家屋以外にも、ガードレール・信号機・電柱・街灯、電車などの公共物への損害も補償の対象です。
チューリッヒの自動車保険も対物賠償保険があります。
対物賠償保険の保険金額は任意で選択できますが、チューリッヒの自動車保険では対物賠償保険金額を「無制限」にすることをおすすめしています。過去に数千万円、数億円に達する損害額が発生した事故も起きているため、万が一に備えて無制限に設定しておくと安心です。
対物賠償保険の補償範囲や補償されない事故・トラブル、等級への影響もわかりやすくご説明します。車の事故によって他人の財物(モノ)に損害を与えてしまったときの補償について知りたい方は参考にしてください。
対物賠償保険とは、車の事故で、他人の財物(モノ)に損害を与え、法律上の損害賠償責任を負った場合に修理費用などを補償する保険です。
他人の所有する自動車や家屋、所有物、ガードレール・信号機・電柱・電車などの公共物への損害、店舗などを壊してしまった場合の損害(休業による損害なども含む)も補償の対象です。
自動車保険では基本補償となり、はじめからついているのが一般的です。
なお、必ず加入する自賠責保険では、相手の財物(モノ)への損害に対する補償はされません。
支払われる主な保険金は、対物賠償保険金です。1回の事故につき、ご契約の保険金額を限度として保険金が支払われます。
契約者は、対物賠償保険金額の上限をご契約時に設定する必要があります。
対物賠償保険で補償される事故やトラブルの例を説明します。対物賠償保険で補償される他人の財物(モノ)には以下のような対象があります。
たとえば自分の不注意で、停車している他人の車にぶつけた場合、対物賠償保険で相手方の車の修理費用を補償できます。
停車している車にぶつけたため、自身の過失割合は100%です。仮に自分の車も傷つけてしまっても、自分の車は対物賠償保険の補償対象外である点に注意しましょう。
ブレーキとアクセルと踏み間違えて店舗に突っ込んだ場合、店舗だけではなく店内の商品も破損する可能性があります。
店舗・商品の破損や営業損失費用は、対物賠償保険から補償されます。加えて店舗の修理などで休業する必要があれば、日数分の店舗の休業損害も補償対象です。
また、ガードレールや信号機、電柱といった道路上の公共物への損害も補償対象となります。
自分の不注意でタクシーやバスに衝突してしまい、相手方がその車両を使用して営業ができなくなった場合には、保険金額を限度に車両の修理費用に加えて休車損害費用を補償します。
対物賠償保険の補償範囲となる被保険者を確認しておきましょう。
対物賠償保険における被保険者は、対人賠償保険と同じで、次のいずれかに該当する者をいいます。
対物賠償保険の対象となる家族の範囲は、自動車保険の「運転者の範囲」の契約内容によって異なります。
運転者の範囲を「運転者本人・配偶者限定」に設定していれば、記名被保険者とその配偶者が補償の対象となります。それ以外の家族が運転中の事故は、補償の対象外です。
どこまでが補償範囲か、保険証券を確認しておきましょう。いざというときに補償の対象とならないことがないように対物賠償保険を利用できる家族の範囲などを適切に設定しておきましょう。
対物賠償保険で注意しなければならないのは、自分や自分の家族の所有する車または財物の損害が、補償の対象外になっていることです。
たとえば、車庫入れの際にアクセルとブレーキを踏み間違えて、自分の車と自宅の車庫や塀に損害を与えてしまった場合は補償の対象となりません。
その他、以下の場合は補償の対象外となります。
たとえば、夫婦がそれぞれ自分の車で出勤する途中、あやまって妻が夫の自動車に追突した場合、互いの車(自分の家族の所有する車)の損害については、保険金が支払われません。
対物賠償保険の金額は、いくらに設定すべきか悩む方がいるかもしれません。
チューリッヒの対物賠償保険の保険金額は、500万円、1,000万円、2,000万円、3,000万円、5,000万円、無制限から選択できます。チューリッヒでは「無制限」で設定することをおすすめします。
無制限とは、対物賠償が発生した際の補償金額が無制限であるということです。車による事故では、数千万円の損害が発生することもあります。事故の損害によっては「無制限にしておけばよかった」と思うかもしれません。
「対物賠償保険の金額を無制限にすると保険料が大幅に高くなる」と思う方がいるかもしれませんが、実際は大きく変わらないこともあります。
保険料がやや高くなったとしても、数千万円単位の損害が発生したときのことを考えると、無制限にしておいたほうがよいでしょう。
「実際にいくら増えるか」については、契約者や補償内容によって異なるため一概にはいえません。気になる方はシミュレーションをして、保険金額を確かめてみましょう。
以下は、過去に対物賠償の自動車事故で高額となった判例です。
認定総損害額 | 裁判所 | 判決年 | 被害物件 |
---|---|---|---|
26,135万円 | 神戸地裁 | 1994年 |
積荷 (呉服・洋服・毛皮) |
13,450万円 | 東京地裁 | 1996年 |
店舗 (パチンコ店) |
12,036万円 | 福岡地裁 | 1980年 | 電車・線路・家屋 |
11,798万円 | 大阪地裁 | 2011年 | トレーラー |
11,347万円 | 千葉地裁 | 1998年 | 電車 |
大きな事故では1億円を超える認定総損害額が発生しています。億単位には達しなくとも、1,000万円を超える損害額になる事故も多くあります。
事故はいつ、どのようなときに起こるかわからないので、万が一に備えて対物賠償保険の金額を無制限に設定しておくことをおすすめします。
対物賠償保険を使った場合、翌年度の等級が3等級ダウンします。
たとえば、12等級の方が事故を起こして対物賠償保険を使ったときは、翌年度は9等級となります。等級が下がった結果、保険料が高くなるしくみです。
対物賠償は時価額の上限が支払われるため、相手方の車の時価額を超える修理費用は補償されません。相手方の車の修理費用が時価額を超えた場合、対物賠償で補償されない保険金額をカバーするには、対物超過特約の付帯がおすすめです。
対物超過特約は特約のため付帯は任意で選択することが可能です。
本来、相手方の車の時価額を超える修理費用を負担する義務はありません。しかし、自動車事故において「時価額を超える修理費用をどうするか」でトラブルになることがあります。
たとえば、こちらに責任がある事故にもかかわらず、時価額を超える修理費用を負担しなかった場合、相手方は事故にあったうえに、自分で修理費用を支払わなければなりません。そのため、トラブルに発展する可能性があるのです。
しかし、対物超過特約を付帯していれば、相手方の車の年式が古くて時価額が低く、修理費用が時価額を超えたときでも補償されます。
トラブルを防ぎ、スムーズに交渉を進めるための手段が対物超過特約です。
チューリッヒの自動車保険の対物超過特約(対物差額修理費用補償特約)も参考にしてください。
対物賠償保険は、自動車事故により他人の財物に与えた損害に対して法律上の損害賠償責任を負った場合に、保険金が支払われる保険です。
対物賠償保険の保険金は、無制限がおすすめです。
チューリッヒの自動車保険の対物賠償保険もご参考ください。
相手方のいる事故で、相手方の車の修理代は対物補償保険の対象ですが、自分の車は車両保険でなければ補償されないので注意が必要です。
また相手方の車の修理代のうち、時価額を超えた分は対物賠償保険の対象外なので、対物超過特約もセットで付帯を検討しましょう。
資格:CFP
東証一部上場企業で10年間サラリーマンとして勤めるなか、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。
対物賠償保険は、事故相手の車や建物といった所有物の損害を補償するための保険です。車や建物以外に、電柱、電車、信号機などの公共物も補償対象となります。
以下の場合は補償されません。
チューリッヒでは保険金額を無制限に設定することをおすすめしています。過去に数千万円、数億円に達する損害額が発生した事故も起きているためです。件数としては少なく稀な例ではありますが、事故はいつどのような状況で起きるかわからないため、無制限に設定しておくと安心です。
対物賠償保険で自分の車を修理することはできません。
対物賠償保険は、他人が所有する車や家屋、ガードレール、信号機に損害を与えてしまい、修理費用などの法律上の損害賠償責任を負った場合に補償する保険です。自分の車を修理するためには、車両保険の付帯が必要です。
車両保険は任意で付帯する補償となるため、必要に応じて設定するとよいでしょう。
※本記事の内容は特段の記載がない限り、チューリッヒの保険商品ではなく、一般的な保険商品の説明です。
※チューリッヒの自動車保険に関する内容について
本記事内で紹介しているチューリッヒの自動車保険に関する内容につきましては、ご契約の保険始期および契約条件によって、ご契約のお客さまに適用されない場合がございます。
必ずお客さまの保険証券、約款、重要事項説明書の記載などをご確認ください。
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