更新日:2022年8月23日
公開日:2019年9月18日
自動車が盗難に遭ったとき、一般的には車両保険に入っていれば、車の盗難補償を受けられます。しかし、車両保険に入っているから補償を受けられるとは限りません。車の所有者にも過失があると認められた場合は、保険金を受け取れない可能性があります。
「車の盗難なんて滅多に遭わない」と思われるかもしれませんが、2021年に車の盗難被害は5,000件以上確認されています。万が一のときに慌てなくて済むよう車両保険に加入し、盗難に遭ったときに受けられる補償内容を理解しておきましょう。また、保険で備えられるとはいえ、普段から盗難に遭わないよう対策をしておくことが重要です。
この記事では、盗難に遭ったときに利用できる保険や、盗難に遭わないようにするための対策をご説明します。
自動車が盗難に遭った場合、車両保険で補償されます。ただし、「保険契約者や被保険者、保険金受取人に重大な過失がある」と認められた場合は補償の対象外となります。
保険会社によっては、盗難に遭っても補償されない場合があるので、車両保険のタイプと補償内容を確認しましょう。たとえば「盗難対象外特約」をつけている場合、保険料が安くなる代わりに盗難による損害が補償対象外となります。付帯している特約も含めて確認することが大切です。
自動車が盗難に遭った場合は、基本的に全損扱いとなります。全損とは、車の修理が不可能である、または車の修理費が車両保険金額より高い状態です。
タイヤやナビのみが盗難された場合は分損の対象となります。分損とは、修理費が車両の時価額を下回る場合のことです。分損の場合、損害物の時価額から免責金額を引いた金額が補償されます。
車が盗難に遭った場合、支払われる保険金は車両保険金額までです。車両保険金額は、車の型式や登録した年月によって選べる範囲を決められています。車の販売から年数が経つにつれて価値が下がり、車両保険金額が下がるしくみです。また、盗難で全損にあたる場合は免責金額が発生しません。
車が盗難に遭って、全損として保険金を支払われた後は、車は保険会社の所有となります。保険会社所有となった後は原則として、保険会社が発見された車を使用したり処分したり自由に扱うことが可能です。
保険金が支払われる前であれば、発見された車を「修理して乗る」もしくは「保険金を受け取る」いずれかから選択してください。
保険金を受け取った後60日以内に盗難車が発見された場合、保険金を保険会社に返金すると車を返してもらえます。盗難車が見つかっても、支払われた保険金を返さずに別の車の購入費用にあてることも可能です。
盗難後に生じた損害は保険金を請求できる場合があります。発見までの日数・損害への補償は保険会社によって異なるため、保険会社の規定を確認しておきましょう。
盗難車の発見状況 | 所有者の対応 |
---|---|
保険金支払い前に盗難車を発見した場合 | 修理して乗る または 保険金を受け取る |
保険金支払い後60日以内(※)に盗難車を発見した場合 | 保険会社に返還請求(保険金を返金)または 保険金を受け取る |
保険金支払い後60日以内(※)に発見できなかった場合 | 保険金を受け取る |
ここでは、自動車の盗難に遭った場合の流れをご説明します。
盗難が発覚したら、まずは警察に通報します。車の中にあった貴重品も含めて盗難届を出しましょう。自動車の盗難届には自動車登録番号(ナンバープレートの番号)などが必要になるため、車検証のコピーを自宅に管理しておくなど普段から番号がわかるようにしておくのがおすすめです。
警察に届出をした際の受理番号が保険金請求や一時抹消登録に必要となることがあるので、控えておきましょう。
警察に届出をした後は、保険会社に連絡しましょう。保険会社によって盗難状況の調査が行われます。
盗難状況の調査は1~2ヵ月程度かかる場合があります。車両保険が支払われるか確認し、場合によっては車の一時抹消登録についても相談しましょう。
一時抹消登録とは、車の使用を一時的に止めるための手続きのことです。一時抹消登録を行うと自動車税が非課税となり、自賠責保険が免除されます。保険会社に車の所有権を移転する場合は、運輸支局で「所有者変更記録」を行う必要があります。一時抹消登録を行った車に再び乗るためには新規登録・車検が必要になるため、状況に応じて手続きを行ってください。
盗難車の調査が終わると、契約時に設定した保険金を受け取れます。保険金を受け取った後の車の所有者は保険会社です。
保険金を受け取った後60日以内(※)に盗難車が見つかった場合は保険金を受け取るか、保険金を返金したうえで見つかった車を修理するか選べます。日数は保険会社によって異なるため、確認しましょう。
(※)保険会社によって異なる場合があります。
車が盗難に遭うと、多くの会社では1等級下がり、1年間の「事故あり等級継続期間」が適用されて保険料が高くなります。「事故あり等級継続期間」は、保険料の割引率が下がる期間のことです。等級が下がるのは盗難発生時や保険金受取時ではなく、翌年度の契約からです。
自動車事故で車両保険を利用した多くの場合、3等級下がって3年間の「事故あり等級継続期間」が適用されます。盗難の場合は自分に過失がないと考えられ、等級ダウンが少なく設定されています。
車両保険に加入しておくことで、盗難時の補償が受けられますが、普段から盗難に遭わないように防犯することも大切です。ここでは、自動車の盗難に遭わないようにするための対策をご説明します。
盗難防止機器を設置して、盗難に遭ってもすぐ察知できるようにしておきましょう。盗難防止機器には、以下のようなものがあります。
イモビライザー | 車とキーをIDが一致する場合のみエンジンがかかるようにする |
---|---|
カーセキュリティ装置(警報) | 盗難や車上荒らしを検知した際に持ち主に異常を知らせる |
ハンドル・タイヤロック | 盗難防止のためにハンドルやタイヤをロックしておく |
コンビニなどで買い物をする数分間でも車を盗まれるケースがあります。わずかな時間であっても、車から離れるときは必ず施錠をしましょう。自宅の駐車場に置いているといっても施錠は必要です。
盗難は、夜に人目につかない駐車場でよく発生しています。駐車場を選ぶときに「駐車料金が安い」「人通りが少なく駐車しやすい」という理由だけで決めると盗難の危険性が上がります。駐車する場所に気を配り、人目につかない場所は避けましょう。
ドアノブにタッチすることで解除できるスマートキーを利用した「リレーアタック」の対策をしましょう。
リレーアタックは、「鍵から発信される電波を認識して所有者がドアハンドルを引くだけで解錠する」というスマートキーの機能を悪用してロックを解除する手口です。所有者が持つスマートキーからの電波を受信し、複数人で電波を送受信して車の側にいる人物が開錠できるようにします。
スマートキーは常に電波を発しています。電波を他人が受信しないよう、電波を遮断するケースにキーを入れたり、節電モードにして電波を発しないようにしたりして、被害に遭わないようにしましょう。
「車内身の回り品特約」を利用すると、車両保険では補償対象にならない「車載の身の回り品」の補償を受けられます。車内に積んでいた身の回り品だけでなく、キャリア(車の外装につける荷台や箱のこと)に固定されていたサーフボードやスキー板なども補償の対象です。
ただし、金品やクレジットカード、キャリアに固定された身の回り品の盗難は補償の対象外になるので、補償の範囲を確認しておきましょう。
特約の補償対象例 | 補償対象外となる例 |
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自動車の盗難に備える車両保険のしくみをご説明しました。
盗難に備えるためにも車両保険に入り、補償内容を把握しておきましょう。
保険で備えるものの、盗難に遭わないことが1番です。日頃から盗難に遭わないよう対策することも忘れないようにしましょう。
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東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。 資格:CFP
※本記事の内容は特段の記載がない限り、チューリッヒの保険商品ではなく、一般的な保険商品の説明です。
※チューリッヒの自動車保険に関する内容について
本記事内で紹介しているチューリッヒの自動車保険に関する内容につきましては、ご契約の保険始期および契約条件によって、ご契約のお客さまに適用されない場合がございます。
必ずお客さまの保険証券、約款、重要事項説明書の記載などをご確認ください。
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