どれほど気をつけていても、交通事故にあってしまう危険性があります。
たとえば、ひき逃げの被害者になってしまい加害者が不明の場合、治療費はどのように補償してもらえるのでしょうか?
「ひき逃げ事故」に適用される法律、損害の補償についてご説明します。
ひき逃げとは、車両等の運行中に人の死傷を伴う事故があった場合に、道路交通法第72条に定められた必要な措置を講ずることなく、車両の運転者等が事故現場を離れる行為のことをいいます。
警察庁の統計によれば、令和4年中のひき逃げ事件(交通事故に係る無申告事件※を含む。)の発生件数は1万1,530件、全体の検挙件数は6,769件です。
ひき逃げの死亡事件は発生件数が102件、検挙率は99%となっています。
ひき逃げ・無申告事件の発生・検挙状況 | ||||||
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平成30年 | 令和元年 | 令和2年 | 令和3年 | 令和4年 | ||
死亡 | 発生 | 132 | 130 | 96 | 92 | 102 |
検挙 | 128 | 131 | 93 | 92 | 101 | |
検挙率(%) | 97.0 | 100.8 | 96.9 | 100.0 | 99.0 | |
重傷 | 発生 | 1,177 | 991 | 965 | 872 | 870 |
検挙 | 734 | 672 | 657 | 655 | 621 | |
検挙率(%) | 62.4 | 67.8 | 68.1 | 75.1 | 71.4 | |
軽傷 | 発生 | 13,748 | 12,283 | 10,769 | 10,639 | 10,558 |
検挙 | 6,750 | 6,161 | 6,067 | 6,290 | 6,047 | |
検挙率(%) | 49.1 | 50.2 | 56.3 | 59.1 | 57.3 | |
合計 | 発生 | 15,057 | 13,404 | 11,830 | 11,603 | 11,530 |
検挙 | 7,612 | 6,964 | 6,817 | 7,037 | 6,769 | |
検挙率(%) | 50.6 | 52.0 | 57.6 | 60.6 | 58.7 |
交通事故をおこしてしまった加害者にはどのような義務があるのか、ここであらためて確認しておきましょう。
道路交通法第72条1項前段に、「交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない」とあります。
ここで注意したいのが義務を負うのは
車両等(自動車だけでなく原動機付自転車、自転車を含む軽車両等)の運転者やその他の乗務員ということです。
必ずしも、事故を起こした運転手に限定されていないことに注意が必要です。
道路交通法第72条では、交通事故があったときは救護活動や危険回避行動をすることが規定されています。
交通事故とは法律上、車両などの交通による人の死傷もしくは物の損壊をいいますが、ひき逃げにあたるのは事故のうちの「人の死傷」があった場合です。
人身事故を起こしたのに、110番通報や119番通報せずに現場から去ってしまうと、救護義務違反となります。
負傷者がいなくても、事故を起こしてその場を立ち去ると「当て逃げ」となります。
違反の種別 | 罰則 | 違反点数 |
---|---|---|
救護義務違反 | 5年以下の懲役又は50万円以下の罰金(道路交通法117条1項) | 35点 |
人の死傷が当該運転者の運転に起因するものであるとき 10年以下の懲役または100万円以下の罰金(道路交通法117条2項) |
||
報告義務違反 | 3ヵ月以下の懲役または5万円以下の罰金(道路交通法第119条1項17号) |
過失運転致死傷罪: 注意を怠ったことによって起きた事故 |
7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金(自動車運転処罰法第5条) |
---|---|
危険運転致死傷罪: 正常な運転がむずかしい状態で運転した結果起きた事故 |
負傷させた場合:15年以下の懲役 死亡させた場合:1年以上の有期懲役(自動車運転処罰法第2条) |
万が一ひき逃げの被害者になってしまった場合、どのように損害賠償を請求したらよいのでしょうか?
警察の捜査によって加害者が判明すれば、当然その加害者に対して損害賠償を請求することになります。
加害者が契約している自賠責保険、自動車保険(任意保険)がある場合は、加害者の保険から損害賠償を受けることとなります。
加害者が保険に加入していない、または充分な損害賠償を受けることができない場合は、次にご説明する加害者が判明しない場合での補償や、政府保障事業での救済を受けることになります。
警察の捜査で加害者が判明しない場合は、加害者が判明しない場合は被害者自身の任意保険で補償を受けることができます。
人身傷害保険は、事故が起きて、契約の車または他の車に搭乗中や歩行中に記名被保険者およびその家族がケガをしたり、死亡したりした場合に、過失の割合に関係なく損害分の保険金が支払われる保険です。
損害は休業損害や看護料、葬儀費用まで補償されます。
また、事故後の示談交渉を待たずに損害が決定したらスピーディーに保険金を受け取れるというメリットがあります。
チューリッヒの場合、受け取れる総損害額は、約款に定める損害額算定基準に従い、チューリッヒが認定します。
自動車事故で死亡または後遺障害を負ったものの、事故の相手方が無保険だった場合や相手が逃げてしまって不明などの場合で、相手から充分な補償が得られないときの補償です。
チューリッヒでは、ご契約の車に乗っていた方が死亡、または後遺障害を生じた場合、被保険者1名につき、保険金額を限度として保険金をお支払いします。
ひき逃げ事故にあい、加害車両の保有者を特定できないときは、加害者に損害賠償請求できません。
そして、被害にあっても自分自身が自動車保険に加入していなければ、先にご紹介した「人身傷害保険」などを利用することもできません。
加害者からも充分な損害賠償を望めないようなひき逃げ事故の場合は、政府保障事業を使って補償を請求することになります。
政府保障事業は、自動車損害賠償保障法に基づき、自賠責保険(共済)の対象とならない「ひき逃げ事故」や「無保険(共済)事故」にあった被害者が、他の手段によって救済されない被害者に対し、必要最小限の救済を図ることを目的としています。
法定限度額の範囲内で、政府(国土交通省)がその損害をてん補する制度です。
被害者が人身傷害補償保険など他の手段によって救済される場合、政府保障事業では、人身傷害補償保険の保険金(共済金)を、被害者の損害額から控除するため、二重に補償支払を受けることはできません。
運転中に人身事故を起こしたにもかかわらず、道路交通法72条1項に定める救護義務や報告義務も行わずに現場から逃走する、ひき逃げについてご説明してきました。
ひき逃げの場合、道路交通法違反、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(自動車運転死傷処罰法)違反などの罪に問われることになります。
一方で、自動車事故の被害にあった場合、通常は過失割合に応じて加害者の自動車保険から賠償金を受け取ることになります。
ところがひき逃げで加害者不明の場合、加害者から補償を受けられません。
そのような場合は、政府保障事業による救済や自身の自動車保険に付帯する人身傷害保険などで補償を受けることが可能です。
自動車保険は自分が事故を起こしたときだけでなく、不運にも被害にあってしまった場合でも補償を受けることができるケースがありますので、ご自身の自動車保険の内容を確認してみてください。
最後に、車を所有されている方は、チューリッヒの自動車保険をご検討ください。
万が一の車の事故・故障・トラブルに備えておくと安心です。
※記載の情報は、2024年2月時点の内容です。
※本記事の内容は特段の記載がない限り、チューリッヒの保険商品ではなく、一般的な保険商品の説明です。
※チューリッヒの自動車保険に関する内容について
本記事内で紹介しているチューリッヒの自動車保険に関する内容につきましては、ご契約の保険始期および契約条件によって、ご契約のお客さまに適用されない場合がございます。
必ずお客さまの保険証券、約款、重要事項説明書の記載などをご確認ください。
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