更新日:2024年1月19日
公開日:2019年11月14日
車の運転や駐車の際に、不注意でガードレールや塀などでボディを擦ってしまい、擦り傷(ひっかき傷)などを付けてしまうことがあります。小さな傷であれば、すぐに修理をしなくてもよいのではと考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、車の傷を放置していると、傷が付いた部分からサビが発生し、ボディの腐食、またはダメージが進んでしまうこともあります。そのため、車に傷が付いたら早めに修理をした方が賢明です。
車の擦り傷やひっかき傷など、浅く、小さな傷であれば自分で修理することもできます。自分で車の傷を修理する直し方についてご説明します。
車につく傷は大小さまざまなものがありますが、まずは車の傷の種類と特徴についてご説明します。
傷の種類 | 特徴 |
---|---|
線傷 | 車のボディに付きやすい線状の傷です。 手に持った鍵やキーホルダーなどで傷が付いてしまうこともあります。 |
擦り傷 | 擦り傷は小さな傷が広範囲に広がる傷のことで、車のボディに付きやすい傷の一つです。 狭い道の曲がり角や駐車の際などで、ブロック塀やガードレールに擦ったときにできやすい傷です。 |
ひっかき傷 | ひっかいたような細い線状の傷です。ボディが木の枝などに接触した場合などにできやすく、砂やほこりが擦れてひっかき傷になる場合もあります。 |
へこみ傷 | 狭い道路や駐車場などで、ポールや塀の角などに車をぶつけてしまうと、ぶつけた部分にへこみ傷ができます。また、走行中に飛び石で小さなへこみ傷ができてしまうことがあります。 |
車に傷が付いていても、それほど目立たなければそのまま放置していても問題ないのでは、と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、車の傷を放置しておくと、次のようなリスクが生じるので、早めの修理をおすすめします。
傷を放置しておくと塗装保護の役割をしているクリア層がはがれるため、塗装の劣化が始まります。また、ボディの金属部分に達するほどの深いキズの場合は、雨水などが金属に付着することでサビの原因となります。
サビを放置しておくと傷の周辺から、内側にまでサビが進行してしまいます。サビの範囲が広くなれば修理にかかる費用負担も増えてしまうため、できるだけ早めに修理をすることが大切です。
自動洗車機で洗っていると、ボディに付いた傷に気が付かないことも多いので、たまには自分の手で洗車することも意義のある行為です。洗車は最も簡単な点検の一つでもあります。タイヤやホイールの状態もチェックしておけば安心ですね。
小さな傷や浅い傷であれば、自分で直すことも可能です。専門の修理業者に修理を依頼するよりも費用が安くなります。
しかし、遠目で見れば傷が目立たない程度にはできても、カーディーラー、カー用品店、板金塗装業者など専門の修理業者が行う修理と同じレベルに仕上げることは難しいでしょう。
ボディの表面に付いた微細な傷であれば、傷消しワックスで補修できる場合があります。
ワックスには、研磨剤入りと研磨剤なしの2つのタイプがあります。特徴は、以下の表の通りです。
ワックスの種類 | 特徴 |
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研磨剤入り | ワックスの中に研磨剤が含まれているタイプです。 磨くことで塗装を薄く削り、傷が目立ちにくくなりますが、力を入れ過ぎるとかえってボディに傷をつけてしまうことになるので注意が必要です。 |
研磨剤なし | 研磨剤で擦るのではなく、シリコンなどで傷を埋めることで傷を目立たなくするタイプです。 ワックスの皮膜が落ちてしまうと、傷が目立つようになるため、定期的に塗り直す必要があります。 |
車の塗装は、複数の層に分かれており、表面のクリア層に付いた浅い線傷や擦り傷であれば、コンパウンドで磨いて補修することができます。
コンパウンドとは研磨剤のことで、傷の周辺を削ることで傷を目立たなくします。
爪がひっかかるほどの傷の場合は、クリア層の下まで達していると考えられます。
ボディカラーの層まで傷が達していても、下地や鋼板が見えていなければコンパウンドで研いで目立たなくすることは可能です。
しかし下地や鋼板が露出している場合には、タッチペンを使用して補修を行いましょう。
下地や鋼板が見えていない状態なら、コンパウンドで磨くことにより傷を目立たなくさせることはできますが、完全に消すのは周囲の塗装をそれだけ削ることになります。自分で行う補修はあくまで応急処置と考え、傷が増えたらまとめてプロに修理を依頼するのも賢い方法です。
たとえ線傷でも傷が塗装面の奥に深く入ってしまった場合などに素人が修理するのは簡単ではありません。
このような場合は、カーディーラー、カー用品店、板金塗装業者など専門の修理業者に修理を依頼することをおすすめします。
車の修理業者に修理を依頼するメリット・デメリットと、修理を依頼できる業者ごとの特徴や費用についてご説明します。
自分で車の修理をするとなると材料や道具をそろえなければならず、手間がかかります。また、失敗をしてしまう恐れもあります。
カーディーラー、カー用品店、板金塗装業者など専門の修理業者に修理を依頼する最大のメリットは、専門的な知識と技術で傷の修理を行うため、限りなくもとの状態に近い、きれいな状態に仕上げられることでしょう。
しかしながら、専門の修理業者に修理を依頼すれば自分で修理するときよりも費用がかかってしまう点がデメリットです。
専門の修理業者に車の傷の修理を依頼した場合の費用や修理にかかる日数は、傷が付いた場所や傷の程度によって変わります。
一般的に、バンパーなどの樹脂部分に付いた傷の修理は比較的安くできますが、ボンネット部分など、全体の塗装が必要になる場合、修理費用は高くなります。
また、浅く、小さな傷の場合の修理費用は抑えられますが、傷の範囲が広くなれば作業にかかる時間も手間も多くなるため、金額は高くなり、修理にかかる日数も長くなるでしょう。
カーディーラーはメーカーと特約店契約を結んでいる自動車販売業者ですが、販売した車の修理にも対応しています。
修理には純正パーツを使用しているので安心感があり、自社製品なので扱いも慣れているはずです。
ただし、カーディーラーでの修理は、他の業者の料金相場よりも比較的修理代が高くなることが多いです。
カー用品を販売する店でも、傷の修理(板金・塗装)を受け付けています。カーディーラーよりも、比較的低価格で修理ができます。
板金塗装業者は車の傷を修復する技術力を備えた専門家です。全国にフランチャイズを持つ大規模な店舗から、街の修理工場までさまざまな業者があります。
業者によって技術力・料金などに違いがあるので、依頼先の選択が重要になります。予算の範囲内での修理費用など柔軟な対応をしてくれるところもあります。
事故などによる車の修理代などの損害を補償する保険に自動車保険の車両保険があります。
契約している車両保険によって、車の擦り傷などの修理にも保険を使えるケースと使えないケースがあります。
車両保険を契約していても、自分の不注意によって付いてしまった車の擦り傷などは、契約内容によって補償される場合もあれば、補償されない場合もあります。
たとえば、チューリッヒではワイドカバー型(一般条件)の車両保険なら自損事故による車の破損に対して補償がされます。しかし限定カバー型の車両保険では、自損事故による車の破損は補償されません。
自損事故に対応している車両保険を使って、車の修理代を保険金で補うことはできます。しかし、保険を使用すると翌年度から等級が下がってしまいます。
さらに事故あり係数適用期間が適用され、この間は保険料の割引率が大きく下がり保険料が高くなります。
また、車両保険は利用する際に免責金額(自己負担額)が設定されていることがあるので留意が必要です。修理代の全額を受け取れるわけではありません。
車の擦り傷などの場合、修理費の相場は数万円程度です。そのため、小さな傷の修理に車両保険を使うと、かえって割高になってしまう場合があります。
車両保険を使う際は、修理代と翌年度以降の保険料などを比較検討したうえで決断するようにしましょう。
車の線傷や擦り傷など小さな浅い傷ならば、自分で補修できる場合があります。自分で車の傷を直す場合には、傷消しワックスやコンパウンド、タッチペンなどを使用します。
しかし、ボディに付いた傷が深く、広範囲にわたる場合は、カーディーラー、カー用品店、板金塗装業者など専門の修理業者に相談した方が安心です。
また、軽微な擦り傷などの修理代に車両保険を使う場合は、修理代と翌年度からの保険料を考えて使うようにしましょう。
※記載の情報は、2023年11月10日時点の内容です。
1965年生まれ。芝浦工業大学工学部機械工学科卒。トヨタ直営販社の営業マン、輸入車専門誌の編集者を経て自動車ジャーナリストとして独立。さまざまな自動車雑誌の他、エンジニア向けのウェブメディアなどに寄稿している。
近著に『電気自動車用パワーユニットの必須知識』(日刊工業新聞社)、『エコカー技術の最前線』(SBクリエイティブ)、『図解カーメカニズム基礎講座パワートレーン編』(日経BP社)がある。
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員
※本記事の内容は特段の記載がない限り、チューリッヒの保険商品ではなく、一般的な保険商品の説明です。
※チューリッヒの自動車保険に関する内容について
本記事内で紹介しているチューリッヒの自動車保険に関する内容につきましては、ご契約の保険始期および契約条件によって、ご契約のお客さまに適用されない場合がございます。
必ずお客さまの保険証券、約款、重要事項説明書の記載などをご確認ください。
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