車のメンテナンスといえば、エンジンオイルの交換やタイヤの空気圧チェックなどを思い浮かべる方が多いかもしれません。ディーラーやカー用品店などの広告で目にする機会も多いでしょう。
そこで意外と見落とされがちなのがブレーキ関係です。速い速度で走る自動車を制御するために、ブレーキは非常に重要な役割を担っています。今回はこのブレーキを作動させるために必要不可欠な、ブレーキフルードについてご紹介します。
普段の運転ではあまり意識しませんが、ブレーキペダルの重さは適度で踏みやすくなっています。
しかし、エンジンが停止している状態でブレーキペダルを踏んでみると、いつもより踏み込みにくいことがわかります。これは、ブレーキが「油圧」と呼ばれる働きでドライバーのサポートをしているためです。ドライバーがペダルを踏んだ力を油圧の働きによって増幅させ、強い力を必要とせずに車の動きを停めることが可能となっているのです。
ここで重要な役割を果たしているのが、ブレーキの油圧に使われるオイル、ブレーキフルードです。
ブレーキフルードは、エンジンルーム内にある「リザーバータンク」と呼ばれる容器に入っており、そこから「マスターシリンダー」という部品を経由し四輪のブレーキへと繋がっています。ブレーキフルードは非常に吸湿性が高いため、長期間使用すると空気中の水分を液内に取り込んでしまい劣化します。
するとブレーキ機構は本来の性能が失われ、ブレーキが効きづらくなり、最悪の場合「ペーパーロック」と呼ばれる現象によってブレーキがまったく効かなくなってしまいます。
ブレーキの故障は大事故に直結しますので、オイルの劣化や漏れなどに対し、定期的な管理・メンテナンスが重要といえるでしょう。
ちなみに、原付をはじめ排気量250cc未満の車両にはブレーキフルードの交換が義務付けられていないため、メンテナンスを怠ると劣化に気付かないことがあります。排気量が小さい車両であっても、ブレーキフルードはとても重要ですので、日頃から注意を払うようにしましょう。
ブレーキフルードは一般的に2〜4年が寿命であるといわれています。車の使用頻度が低く、スポーツ走行をしない、などであれば4年に一度の交換でも大丈夫です。しかし、命を守る部品であることを考えると、車検ごとに交換するのがよいといえるでしょう。
ブレーキに使用されるオイルにはDOTという規格が用いられています。一般的な車にはDOT3かDOT4と呼ばれるグレードが用いられていますので、交換時にはご自身の車と同じグレードを選択しましょう。車の取扱説明書を確認するとわかります。
後で述べるように、ブレーキフルードの交換は一般的なドライバーにとっては難しいものですが、交換時にお店などで選ぶ機会があったら参考にしてみてください。
ブレーキフルード自体の価格は1Lあたり1,000円前後で、作業料金(工賃)は作業店によって異なります。費用を抑えられるに越したことはありませんが、あまりに作業料金が安い場合、リザーバータンク内のみの交換になる可能性があります。タンクだけではなく、四輪すべての経路までオイル交換をしてもらえるのか、作業を依頼する前に確認することが大切です。
ブレーキフルードの交換は、オイルが充填されているリザーバータンクから、タイヤ側のブレーキパッドまですべての経路で行わなければ確実な効果は得られません。そのためにはジャッキアップしてタイヤを外す必要があります。
そしてさらに、ジャッキアップしたままの状態で作業を進め、車に乗り込んだ状態で「エア抜き」というブレーキペダルを踏む手順を必要とします。そのため、自分で作業する場合にはリジッドラック※と呼ばれるツールや、整備工場などが備え付けているリフトと呼ばれる設備で、車体を地面から浮かせ固定された状態を作り出さなければなりません。
※リジッドラック:ジャッキで車体を持ち上げた後、車体が落ちてこないように、作業しやすい高さでしっかりと固定するための道具です。
「加圧式ブリーダー」と呼ばれるツールがあれば浮いた車両に乗り込む必要がなくなりますが、商品が高額であることと作業の頻度を考えると、あまり現実的ではないでしょう。
ブレーキフルードの交換は、自分で補充などをするとかえってブレーキの効きを悪くしてしまう恐れがあり、交通事故に繋がる危険があります。必要な工具や知識、作業スペースが十分に得られないならば、ディーラーなど整備のプロフェッショナルに任せてください。
なお、「ブレーキフルードは塗装面を傷める可能性がある」といわれていますが、浸透しないうちに水で洗い流せば問題ありません。
最後に、車を所有されている方は、チューリッヒの自動車保険をご検討ください。
万が一の車の事故・故障・トラブルに備えておくと安心です。
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