「だろう運転」「かもしれない運転」という言葉を見聞きしたことがありますか?
運転している方は誰でも事故を起こさないように運転しているのですが、現実には自動車事故はなくなっていません。車を運転するときに必要な危険予測の心構えの違い、「だろう運転」「かもしれない運転」について解説します。
「だろう運転」とは周囲の状況を楽観的に都合よく予測して運転することを指します。
たとえば信号のない横断歩道にさしかかったときに「近くに人がいるけど渡らないだろう」と思いスピードを緩めずに横断歩道を通過したり、交差点で右折する際に「対向車が譲ってくれるだろう」と、周囲の動きを自分の都合のよいように想定したりして運転することです。
しかし、横断歩道のそばで人を確認した場合は、すぐに停止できるまでスピードを落とし、もし人が横断歩道を渡るようなら横断歩道の前で自動車を停めなくてはいけません。人が見えなかったとしても、突然飛び出してくるかもしれないと意識することが大切です。
また交差点で右折する際に対向車が譲ってくれるだろうと思っても、対向車にその気がなければ衝突事故になってしまいます。
このように事故相手の存在には気づいていたけれど、危険性を軽視し、その動静の注視を怠ったことを「動静不注視」といい、交通事故の要因として非常に大きな割合を占めています。
動静不注視による交通事故件数は、安全不確認、脇見運転につぐ第3位となっています。令和4年警察庁が公表した「令和4年交通事故発生状況について」でその推移を見てみましょう。
原付以上運転者(第1当事者)の動静不注視の交通事故件数の推移
動静不注視 | |
---|---|
平成24年 | 71,375 |
平成25年 | 68,032 |
平成26年 | 62,240 |
平成27年 | 59,044 |
平成28年 | 56,677 |
平成29年 | 50,567 |
平成30年 | 45,084 |
令和1年 | 37,856 |
令和2年 | 30,061 |
令和3年 | 29,368 |
令和4年 | 27,984 |
原付以上運転者(第1当事者)の法令違反別交通事故件数の推移
動静不注視 | |
---|---|
平成24年 | 104 |
平成25年 | 117 |
平成26年 | 95 |
平成27年 | 82 |
平成28年 | 82 |
平成29年 | 62 |
平成30年 | 68 |
令和1年 | 46 |
令和2年 | 47 |
令和3年 | 41 |
令和4年 | 52 |
では「だろう運転」による動静不注視の事故にはどのようなものがあるのでしょうか。
「だろう運転」は運転免許取り立てのドライバーよりも、運転に慣れたドライバーが起こしやすくなります。運転に慣れると、ついつい気を緩めて周囲への注意が疎かになり「だろう運転」を行ってしまうのです。
特に気をつけたいのが、通勤や業務で毎日同じルートを運転している場合です。
「この交差点はほとんど車が通行しないだろう」「この時間帯に通行人はいないだろう」などと、毎日通るうちに楽観的予測が当たり前になり、突発的な出来事に対する危機意識を持たず運転をしてしまうのです。しかし、ある日思わぬところで衝突事故ということにもなりかねません。
通い慣れた道こそ最も注意すべきなのです。
「だろう運転」に対して「かもしれない運転」は、常に高い安全意識を持ち、危険な状況になることを予測して運転することをいいます。
道路とは、予測不能な出来事が起こる場所です。信号が赤なのに突然人が飛び出してきたり、前方を走行する車が突然停まったりと、いつ何時どのような突発的な出来事が起こるかわかりません。
事故の多くは、安易な予測から引き起こされることを忘れてはならないのです。
信号のない横断歩道にさしかかったときは、たとえ人の姿が見えなくても「人が飛び出してくるかもしれない」と常に周囲を注視しながら運転する必要があります。
また交差点で右折する際には対向車が少し離れていても「スピードを上げてくるかもしれない」と対向車の動きに注意します。
このように危険を予測していれば横断歩道で急に人が飛び出してきても、交差点で対向車がスピードを上げて走ってきても、危険を回避することができます。
「人が飛び出してくるかもしれない」
「前の車が停まるかもしれない」
「右折したいが対向車は譲ってくれないかもしれない」
常に周囲の状況に気を配り危険を予知しながら運転する「かもしれない運転」は、事故を起こさないための最も重要な運転方法なのです。
「相手はきっとこう動くだろう」と決めつけてしまうのは、非常に危険です。相手の状況や年齢を考え、危険なことが起こる展開、つまり「事故の危険があるかもしれない」という方向で考える必要があります。
危険を予測できていたにもかかわらず、適切な対応をしなかった場合も事故につながります。「飛び出してきても避けきれるだろう」といった根拠のない自信です。
運転中は、「かもしれない」という危険予測だけでなく、常に前方、後方、側方の安全の確認を取り、右左折の際は徐行するなど、安全確認の基本を常に実行することが事故防止の基本です。
「かもしれない運転」で危機意識を高めると同時に、万が一の備えとしてご自身に合った自動車保険にもきちんと加入するようにしましょう。
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