更新日:2024年2月9日
公開日:2021年2月27日
タイヤは、自動車の「走る・曲がる・止まる」という基本動作を支える最も大切なパーツのひとつです。
路面と接するタイヤは消耗品であり、適度なタイミングで交換しないと、運動性能が低下し、安全な走行ができなくなるのはもちろん、燃費の悪化や最悪の場合バースト(破裂)を招く原因となります。
タイヤの交換時期(寿命)の判断ポイントや、タイヤを長持ちさせるコツをご説明します。
タイヤは、走行することで次第に摩耗していきます。
また、使用環境や車庫の状況、保管条件によって、その寿命は変わっていきます。
では、タイヤの摩耗の程度はどのようにして知ることができるのでしょうか。
タイヤの溝は、「いずれの部分においても1.6mm以上」と道路運送車両の保安基準により定められています。
その深さがどこか一部でも1.6mm未満になったものは整備不良として、車検を通すことはできません。
摩耗の程度は「スリップサイン」と呼ばれる箇所を確認することによって知ることができます。
タイヤの側面に描かれた三角マーク(△印)の延長線上にある溝の奥に、ゴムが盛り上がった部分があります。これが「スリップサイン」です。
スリップサインは、タイヤの全周に4〜9ヵ所設置されています。
タイヤの摩耗が進行することで、やがてタイヤが地面と接触する「トレッド面」と「スリップサイン」が同じ高さになります。
1ヵ所でもスリップサインが浮き出ているということは、タイヤの溝が1.6mm未満にまですり減ったことを意味します。
この状態が、一刻も早くタイヤを交換すべきタイミングを示すサインです。
残溝の簡単なチェックとして、100円玉を使う方法があります。「100」の文字がタイヤに直角になるように溝に差し込んで、このときに「1」が見えたら残り溝は約5mmになります。そろそろタイヤ交換の時期と考えましょう。
スリップサインが現れる1.6mmは、道路運送車両の保安基準で定められた最下限の数値です。
実際にはタイヤの残り溝が3mm程度あったとしても、雨天時の高速走行ではタイヤのグリップ力は極度に落ち込み、制動距離が大きく伸びてしまうことが報告されています。
また、ハイドロプレーニング現象という水膜の上に乗った状態になり、ハンドル操作やブレーキが利かなくなることもあります。
一般にタイヤは、4万kmの走行距離に耐えうると考えられています。
また、目安として5,000kmの走行で1mmほどタイヤが摩耗するともいわれています。
新品のタイヤの溝は約8mm程度でつくられていますから、32,000kmほどの走行でタイヤの溝は1.6mmになる計算です。ただし先述のとおり、使用環境などによっても摩耗の具合は変わってきます。
最近のタイヤは、ロングライフ性能を謳ったものが多いです。残り溝が4mmを切ると、雨の日はハイドロプレーニング現象が起きる可能性も高まるなど、極端に性能が落ちます。残溝の状態、ひび割れなどがないかどうかをチェックし、毎月の空気圧チェックを忘れないようにしてください。
時間の経過とともにタイヤが傷つき、ひび割れていく経過にはいくつかの段階があります。
原則として、クラック(ひび割れ)がタイヤ内部のコード(カーカス)と呼ばれる骨格部分にまで達しないかぎりは継続的な使用は可能です。
しかし、クラックの深さはタイヤのサイドウォール(側面)からしか確認できません。
JATMA(一般社団法人日本自動車タイヤ協会)では、クラックの発生レベルをいくつかの段階に分けています。
出典:一般社団法人 日本自動車タイヤ協会『タイヤ安全ニュースNo.72』
上の写真のレベル1〜2は継続的な使用が可能な段階、レベル3〜4も継続使用は可能ですが、ここまでひびが入っている場合は日常点検での経過観察が必要となります。
レベル5に達していたら要注意です。いつでもバーストの恐れがありますので、速やかな交換が必要になります。
タイヤの使用期限を知るためには、製造された時期を知ることがひとつの基準になります。製造年週も同じく、タイヤの側面に書かれています。
上の写真の、青丸の箇所にご注目ください。これが製造年週を表す数字です。
J以降の4桁の数字のうち、最初の2桁の数字50が週を、16が年を示しています。
つまり、このタイヤは2016年の50週目(=12月)に製造されたことを意味しています。
一般に、タイヤの寿命は最長でも製造から10年程度が目安とされていますが、タイヤメーカーは使用開始後4〜5年での交換を推奨しているようです。しかし、使用状況によりタイヤの寿命はかなり差があらわれます。
たとえ溝が充分にあり、ひび割れがなかったとしても、さまざまな要因によって目に見えないゴムの劣化が進行している場合もあります。
安全に走行するためにも、タイヤの溝の残量や走行距離、タイヤの製造年月日などを目安にしましょう。
そのうえでタイヤの状態を確認しながら、早めにタイヤ交換を行うようにすると安心です。
降雪のある地域や降雪地に出かける、または道路が凍結する恐れのある地域では、夏タイヤから冬タイヤへの交換が必要です。
夏タイヤから冬タイヤへの交換は、雪が降り始める少し前のタイミングが最適です。なお、国土交通省では11月をタイヤ装着運動月間としています。
一方、冬タイヤから夏タイヤへの交換は最低気温が3℃以下にならない時期が目安だといえます。
タイヤの交換 | 時期 |
---|---|
夏タイヤ→冬タイヤ | 北海道:10月下旬 東北甲信越:10月〜11月上旬 その他の地域:11月〜12月 |
冬タイヤ→夏タイヤ | 3月〜5月 |
タイヤは時間の経過とともに劣化していくため、シーズンオフは直射日光を避けた冷暗所での保管が理想的です。
ただし4本のタイヤの保管場所を確保するのは、容易ではありません。
最近ではディーラーやタイヤ販売店で、タイヤの預かりサービスを行っています。
タイヤ交換時に外したタイヤを預かってもらえるため、便利です。
タイヤは、使用期限がある消耗品です。
しかし、損傷や摩耗に気づくのは簡単ではありません。突発的に発生する問題に備えてタイヤを長持ちさせるためにも、スペアタイヤも含め、すべてのタイヤを定期的に点検する必要があります。
スリップサインやクラックで確認できる点検の他に、タイヤを長持ちさせるために重要な方法をご説明します。
タイヤの状態を点検する方法のひとつに、タイヤの空気圧チェックがあります。
タイヤの空気圧が適正でないと、走行性能や燃費に影響する他、バランスが悪い場合、偏摩耗の原因となり、タイヤの劣化を早めてしまいます。
空気圧の状態 | 起こりうる現象 |
---|---|
空気圧が高い場合 | 空気圧が高い状態で走行すると、タイヤのセンター部分だけが偏摩耗し、乗り心地も悪化します。 |
空気圧が低い場合 | 空気圧が低い状態で走行すると、 走行の安定性が損なわれてハンドルがとられたり、タイヤの接地面積の肥大により回転への抵抗が大きくなったりすることから燃費も悪化します。 高速走行ではタイヤが以上に熱を持ってしまう、スタンディングウェーブ現象が起きることもあります。 |
タイヤのエアバルブの不良やバルブキャップ、あるいはホイールの不具合などによる空気漏れなどにより、タイヤの空気圧は変化します。
また、何の損傷も見られなくても、最大で毎月10〜20kPa程度は空気圧が自然に下がります。
適正な空気圧が保たれていない場合、タイヤが偏ったすり減り方をし、タイヤの寿命を縮めることになります。
普段から、指定空気圧を保つよう心がけましょう。
指定空気圧は、自動車の取扱説明書、あるいは運転席側のドア付近や給油口のフタの裏側などに貼られたステッカーに明示されています。
前後輪で数値が異なったり、乗車人数や荷物の積載量で変わったりする場合もあります。
定期的にタイヤ空気圧をチェックして適正かどうかを確認するだけで、タイヤの寿命は伸ばせ、走行性能も高まります。
少なくとも月に1回、また、長距離の運転の前には空気圧の点検を心がけるようにしましょう。
ご自身で定期的に空気圧を測り調整することもできますが、ガソリンスタンドで給油した際に店員に依頼して空気圧のチェックをしてもらうとよいでしょう。
車の重量や運転の仕方、あるいは路面状況によって、タイヤにかかる負担は変わります。
また、駆動方式やパワートレインによって、各タイヤの受ける力が異なります。
場合によっては片側だけが極端に摩耗したりするなど、タイヤはまんべんなくすり減るのではなく、偏ったすり減り方をします。
この摩耗を均一化するために行うのがタイヤのローテーション(タイヤ位置の入れ替え)です。
タイヤのローテーション(タイヤの位置入れ替え)を定期的に行い、この偏りをならすことも、タイヤを長持ちさせる秘訣です。
ローテーションの方法は、車種やタイヤの種類で異なります。
回転方向や取付け方法などを指定されたタイヤや、前輪と後輪でサイズが異なるタイヤが装着されている場合もあります。ローテーションが可能かどうか、まず確認が必要です。
タイヤの位置に指定がない場合は、以下の図のように、FF(フロントエンジン、フロントドライブ)車の場合は、前輪はそのまま後輪へ、後輪は左右を入れ替えて前輪へもってきます。
FR(フロントエンジン、リアドライブ)車と4WD車の場合は、後輪はそのまま前輪へ、前輪は左右を入れ替えて後輪へもってきてローテーションします。
ただし、タイヤのローテーションについて取扱説明書などで指定されている場合は、その指定に従ってください。
ゴム製品であるタイヤは、未使用だとしても時間とともに状態を劣化させていきます。
特に、太陽光に含まれる紫外線は、タイヤにとって大きな損傷を与える可能性があります。
できるかぎり紫外線を避けて劣化を防ぐことで、タイヤを長持ちさせることができます。
紫外線対策としては、屋根付きの駐車場を設けることが理想です。ただし、さまざまな事情で屋根を設けることができない場合もあります。
そのような場合、紫外線カット(UVカット)機能を持つボディカバーやタイヤカバーをかぶせることで、タイヤに当たる紫外線を抑えることができます。ただし、ボディカバーは上手にかけないと、砂やほこりなどでボディを傷つけることもありますので注意が必要です。
タイヤはいつ交換すべきなのかの判断ポイントや、タイヤを長持ちさせるコツにはさまざまなものがあります。
タイヤの劣化を避けるためにも、定期的な点検とケアを心がけましょう。
タイヤは、残り溝が1.6mm未満になった場合は整備不良となり、車検を通すことができません。
しかしながら、残り溝が3mm程度になると雨の日などに滑りやすくなりますので、早めの交換が推奨されています。
タイヤ交換時期の目安は残り溝の深さや、タイヤの製造年週などから判断し、安全のためにも早めに交換をするようにしましょう。
※記載の情報は、2024年2月9日時点の内容です。
「クルマは楽しくなくっちゃネ!」をモットーに、日本車・輸入車問わずカーライフを女性の視点で発信している。
現在はTV出演、ラジオ番組のパーソナリティなどを務める他、MCやレポーター、コメンテーター、イベントでのトークショーなど、多方面で活躍中。
プロダクション人力舎所属
アンガーマネージメントファシリテーター
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)副会長
日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
国際交通安全学会(IATSS)会員
※本記事の内容は特段の記載がない限り、チューリッヒの保険商品ではなく、一般的な保険商品の説明です。
※チューリッヒの自動車保険に関する内容について
本記事内で紹介しているチューリッヒの自動車保険に関する内容につきましては、ご契約の保険始期および契約条件によって、ご契約のお客さまに適用されない場合がございます。
必ずお客さまの保険証券、約款、重要事項説明書の記載などをご確認ください。
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