車のエンジンをかけようと、イグニッションキーを差し込んで回そうとしても、キーが回らず、エンジンがかからない。さらに、ハンドルも固まってびくともしない。車の運転に不慣れな方だと故障したと思って、あせってしまうシチュエーションです。もう一度落ち着いてエンジンをかけようとキーを回しても回らない、とこのように慌てた経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
このキーが回らない状態を「ハンドルロック(ステアリングロック)」といいます。
実は、「ハンドルロック」は故障ではなく、正常な「機能」なのです。ふつう車を動かすときはエンジンキーを回してエンジンが始動してから、ペダル、ハンドル操作へとうつります。
万が一、自動車窃盗犯がドアロックを突破して、キーが差し込まれていない状態で一定のハンドル操作を行おうとすると「エンジンをかけずにステアリングを回すという異常な行動」と車が判断し、ロックがかかるようになっています。
つまり、ハンドルロックの目的は、盗難を防ぐために、エンジンスタートをできなくすることなのです。
では、なぜ、本来意図していないのにハンドルロック状態になってしまうのでしょうか?それは車を停めるときの操作が大きな理由です。
ハンドルロック状態にしてしまう方は、おそらく、エンジンを止めてから、またはキーを抜いた状態で、前輪のステアリングが切れているのを直そうなどとハンドルを動かしていると思われます。意識していなかったかもしれませんが、そのとき、「ガチッ」という音がしたはずなのです。それが「ハンドルロック」がかかった音です。車の運転にまだ不慣れ、あるいは、ふだん運転しない方がレンタカーを借りるなどした場合、ハンドルロックの状態にしがちです。
イグニッションキーではなく、最近多くなっているスマートエントリー&スタートシステムの車でも、まったく同じようにロックがかかります。
イグニッションスイッチの車と同じで、シフトレバーをP(パーキング)レンジに入れ、ステアリングを左右に動かしながらエンジンのスタートストップボタンを押すと、ロックが解除されます。
2022年の自動車盗難台数(認知件数=届け出などで警察が犯罪を知った件数)は5,734台でした。盗難台数は年々減少しており、2008年の27,668台に比べ、5分の1強まで減っています。正しいイグニッションキーを使わなければエンジンが始動しないイモビライザーなど、自動車の防犯対策が進んだことが盗難件数減少の要因だと考えられますが、窃盗する側の手口の巧妙化もまた進んでいます。
イモビライザーはキーの電子チップに設定されたIDコードと、車両の電子制御装置のコードが一致しないとエンジンが始動しない装置ですが、「イモビカッター」と呼ばれる装置によって照合コードが分析されて解除される事例が増えています。
また、盗難の目的も国外に輸出するという動機が主流を占めているため、海外で人気の高い特定の車種が狙われ、窃盗の手口が高度化されています。そのため、一度盗まれてしまったら、オーナーが車を取り戻すことは非常に難しくなっています。ハンドルロックやイモビライザーなどの防犯対策では不十分になっているのです。
そこで、冒頭にご説明した車の機能としての「ハンドルロック」とは違うカー用品の「ハンドルロック」が、盗難防止策として脚光を浴びているのです。
これは、写真のような、棒状、または大きなクリップ状の道具で、ハンドルに噛ませ、大きな洗濯ばさみのような形状のクランプで留めることでハンドルを固定し、さらにロックすることで、ハード的に盗難を防ごうというものです。
窃盗者にとっては、ドアロックやイモビライザーを解除したうえにこのハンドルロックを破壊しなければならないので防犯効果は高く、また、これらは外からロックされていることが見えることで、「この車を盗もう」という動機をくじく狙いもあります。そのため、これらの製品はわざと人の目につくように、イエローや赤、オレンジに塗られているものが多いです。
最近はトラックなどの大型車の被害も多いので、ハンドルだけでなくペダルを固定できるタイプも販売されています。カー用品店で入手できますので、検討してみてはいかがでしょうか。
※本記事の内容は特段の記載がない限り、チューリッヒの保険商品ではなく、一般的な保険商品の説明です。
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