車を運転しているときに、対向車や後続車からパッシングを受けた経験がある方もいらっしゃるでしょう。最近では過度なパッシングなどによる「煽り(以下あおり)運転」が社会問題になっていますが、パッシングはドライバー同士の重要なコミュニケーション方法です。パッシングは未然に事故を防ぐひとつの手段ともなりうるので、パッシングの意味と使い方・やり方を正しく理解しましょう。
車のパッシングとは具体的にどのようなものでしょうか。パッシングの使い方や、やり方に関してご説明します。
パッシングとは車が走行中にヘッドライトを素早く点滅させてさまざまな合図を対向車や先行車に送ることです。周りの車との大切なコミュニケーション方法で、パッシングによってドライバー同士が自主的に事故などのトラブルを回避しているといえます。
パッシングは特に法律で決まったことではなく、ドライバー同士のコミュニケーション方法として派生的に広がった行為と考えられます。
ヘッドライトスイッチ・レバーを手前に引いてヘッドライトを点灯させ、すぐにレバーを離します。この操作を1回か2回行います。多くやりすぎると相手のドライバーに不快な思いをさせ、結果的にトラブルの原因にもなるので、決して執拗に行わないよう注意する必要があります。
パッシングで伝える意味は状況に応じてさまざまです。
パッシングを受けたドライバーは、相手のドライバーが何を伝えたがっているかを状況に応じて瞬時に判断する必要があります。おもにどのようなときにパッシングが使われるのか、確認しておきましょう。
狭い道や交差点、合流地点などで対向車がパッシングする場合は、先に進んでくださいという「道を譲る」合図の場合が多いといえます。
追い越し車線などを走行中に後続車がパッシングをする場合は、「先に行きたい」という意思表示のことが多いです。
また交差点で右折をしようと対向車線の直進車が途切れるのを待っている際、直進車はパッシングで「先に行きたい」という意思を伝えることもできます
ただ、この「先に行きたい」という意思表示も、地域によっては「お先にどうぞ」という意味に受けとめられる場合もあります。このように、パッシングは発信側と受信側で共通する信号とならない限り、トラブルの原因となる大変曖昧なコミュニケーション手段です。
対向車に道を譲ってもらったときなどはパッシングで感謝の気持ちを表すことがよくあります。
対向車のヘッドライトがハイビームのままで眩しすぎる場合や、昼間のヘッドライトの消し忘れや夜間やトンネル内の無灯火運転などを知らせるために、パッシングで警告する場合があります。
無理な割込みや急な停車などをする車に対して、パッシングで抗議の意思を伝え、注意を促す場合があります。ただ、衝動的な行為として相手に反感を抱かせる場合もあり、その場合はトラブルにも発展しかねませんので、状況をよく判断しましょう。
対向車の進行方向に事故や危険物、警察の取り締まりなどがあるとき、対向車にパッシングで知らせることがあります。
バスなどの場合、バスジャックといった車内での緊急事案が発生した際はパッシングで周りの車に危機を知らせます。
交差点で横断歩道を渡ろうとしている方がいて、対向車が歩行者の存在に気が付きにくい場合はパッシングで歩行者の存在を知らせます。
パッシングは車を安全に走行するための有効なコミュニケーションの方法です。しかしひとつ間違えると逆に事故の原因になるなど、注意すべき点もあります。
パッシングは意味を間違えると事故などトラブルの原因になってしまいます。たとえばパッシングは「道を譲る」という意味と「先に行きたい」と相反する意味で使われますが、「先に行きたい」を「道を譲る」と勘違いしてしまうと衝突事故などを起こしてしまいます。
また、パッシングの意味は地域によって受け止め方が違うという側面もあります。
たとえば関東地方では対向車へのパッシングは「お先にどうぞ」と道を譲る場合が多いといえます。対して関西では「自分が先に進む」という合図の場合がもあります。
地域が変わればパッシングの意味やニュアンスが変わることがあるので、パッシングがあるからといって瞬時に判断するのではなく、相手側のドライバーの表情も確認して、次の行動に出るようにしましょう。
先に行きたいからと、先行車にしつこくパッシングをし続けていると、あおり運転と思われ、先行車のドライバーの怒りを買うなどしてトラブルの原因になることがあります。
ドライバーは道路交通法で安全運転と車間距離の保持が義務付けられています。先に行きたいからといって執拗にパッシングを繰り返し、先行車との車間距離を詰めて運転していると、道路交通法第70条の安全運転義務違反や道路交通法第26条の車間距離不保持違反に問われ、罰則に問われることになります。
相手の運転手の気持ちも考えて、執拗にパッシングをし続けないことが肝心です。
ドライバーは安全に走行するために、パッシング以外にもドライバー間でコミュ二ケーションを取る必要があります。どのようなコミュニケーションが望ましいのでしょうか。
パッシングには正しいルールがないので、ドライバー個人の受け取り方も大きく影響します。「感謝」の気持ちでパッシングをしているのに、「抗議」の気持ちと受け取られることもないとはいえません。
パッシングと同時に瞬時のアイコンタクトや身振り手振りで、意思の疎通を図るよう留意しましょう。
パッシングで道を譲ってもらったり、異変を知らせてもらったりした場合、相手の車には軽く手をあげたりアイコンタクトをすることで、お礼の気持ちを伝えるようにしましょう。
時々、前方車をあおる意味でパッシングでなくクラクションを鳴らす車を見かけることがありますが、この場合、その行為は法令違反となります。
パッシングと違い、クラクションの使用は法令での規定があり、道路交通法第54条でその使用と禁止を命じる詳細な条件を提示しています。
左右の見通しがきかない交差点や道路の曲がり角、見通しのきかない上り坂の頂上などで、クラクション(警音器)を鳴らすよう道路標識により指定された場所では、クラクションは鳴らさなければなりません。これは山地部の道路その他曲折が多い道路についても同じように規定されています。
原則としてそれ以外の場合は禁止されており、唯一、危険を防止するためにやむを得ない場合は、その禁止から免れることもあります。
したがって前の車にイライラして煽る意味でクラクションを鳴らす行為は法令違反になり、道路交通法第54条の2項、警音器使用制限違反として以下の罰則に問われます。
反則金:3,000円(全車種)
出典:警視庁ウェブサイトより反則行為の種別及び反則金一覧表
クラクションで何らかの合図を送っている車は日常的に見かけますが、法令違反なので決してむやみにクラクションを鳴らさないよう注意しましょう。
パッシングは、走行中の車同士が瞬間的に意思を伝える大切なコミュニケーション方法です。道を譲ったり、先に行かせてもらったり、危険や異変を伝えたり、感謝したりとさまざまな意味があります。パッシングの意味を正しく受け取り、事故を起こさないように注意しましょう。パッシングの際は瞬時にドライバー同士でアイコンタクトをすることも事故やトラブルを防止するコツです。
最後に、車を所有されている方は、チューリッヒの自動車保険をご検討ください。
万が一の車の事故・故障・トラブルに備えておくと安心です。
インターネットから申し込むと、
初年度最大21,000円割引
DD190311-4