更新日:2023年12月25日
公開日:2021年5月9日
かつて自動車運転免許は、普通免許と大型免許の2つに区分されていました。
道路交通法の改正により、2007年に中型自動車を運転できる「中型免許」、2017年に準中型自動車を運転できる「準中型免許」が制定され、免許区分が細分化されています。
また法改正の前に普通免許を取得した人を対象に「8t限定中型免許」、「5t限定準中型免許」といったような区分も設けられています。
限定付きの免許では運転できる車両が限られますが、限定解除をすれば中型自動車や準中型自動車の運転もできるようになります。
中型免許(中型自動車免許)で運転できる中型自動車、準中型免許で運転できる準中型自動車の車両総重量や最大積載量、限定解除の方法、免許の取得費用や履歴書に書く正式名称などについてご説明します。
中型自動車とは道路交通法における車両区分の1つであり、以下の条件に該当する車のことをいいます。
自動車教習所などで利用される送迎バスや、マイクロバスなど乗車定員が11人〜29人までに設定されている小型のバスが中型自動車に該当します。
ここで、中型免許(中型自動車免許)の変遷についてご説明します。
中型免許(中型自動車免許)は、2007年6月2日施行の改正道路交通法によって新設された運転免許区分です。
貨物自動車の大型化が進み、貨物自動車に係る交通事故を防止するため、車両総重量5t以上11t未満の自動車を新たに「中型自動車」とし、これに対応する免許として、中型自動車免許が制定されたのが始まりです。
さらに、2017年3月12日から準中型自動車が施行されました。
これに伴い中型自動車は、車両総重量が7.5t以上11t未満、最大積載量は4.5t以上6.5t未満の範囲へと変更になり、現在の区分にいたります。
免許区分 | ||||
---|---|---|---|---|
区分 | 普通免許 | 準中型免許 | 中型免許 | 大型免許 |
自動車の種類 | 普通自動車 | 準中型自動車 | 中型自動車 | 大型自動車 |
車両総重量 | 3.5t未満 | 3.5t以上7.5t未満 | 7.5t以上11t未満 | 11t以上 |
最大積載量 | 2t未満 | 2t以上4.5t未満 | 4.5t以上6.5t未満 | 6.5t以上 |
乗車定員 | 10人以下 | 11人以上29人以下 | 30人以上 | |
免許の受験資格 | 18歳以上 | ・20歳以上、普通免許等保有2年以上 ・受験資格特例教習を修了した19歳以上、普通免許等保有1年以上 |
・21歳以上、普通免許等保有3年以上 ・受験資格特例教習を修了した19歳以上、普通免許等保有1年以上 |
就職活動や転職活動をする際などには、履歴書に所有している資格・免許の正式名称を記入します。
中型免許の正式名称は「中型自動車免許」、準中型免許の正式名称は「準中型自動車免許」です。
中型免許(中型自動車免許)取得のための条件などを、ご説明します。
年齢 | 20歳以上 |
---|---|
免許経歴 | ・普通免許、準中型免許、大型特殊免許を現に取得しており、これらの免許のいずれかを受けていた期間(免許の効力が停止されていた期間を除く)が通算して2年以上あること ・受験資格特例教習を修了した場合は、19歳以上、普通免許等保有期間が1年以上あること |
視力 | 両眼で0.8以上、かつ、一眼がそれぞれ0.5以上であること(眼鏡など使用可) |
色彩識別能力 | 赤色、青色および黄色の識別ができること |
深視力 | 三桿(さんかん)法の奥行知覚検査器により2.5mの距離で3回検査し、その平均誤差が2cm以下であること(眼鏡など使用可) |
聴力 | 両耳の聴力(補聴器により補われた聴力を含む)が10mの距離で、90dBの警音器の音が聞こえること |
運動能力 | 身体に障害があり、自動車などの安全な運転に支障をおよぼす恐れがある場合は「身体に障害のある方の受験案内」で相談 |
普通自動車免許が18歳で受験できるのに対し、中型免許の受験資格は20歳以上となっています。
さらに条件として、普通免許、準中型免許あるいは大型特殊免許を取得していること、そのいずれかの免許を受けていた期間が通算2年以上であることが定められています。
この通算期間は免許の効力が停止されていた期間が除外されるので注意が必要です。
交通違反などで免許の効力が一定期間停止されていた方は、事前に自動車安全運転センターで確認するようにしてください。
また、2022年5月13日に施行された改正道路交通法では、一定の受験資格特例教習を修了した場合、19歳以上で普通免許等を1年以上保有している人も受験資格を得られることとなっています。
免許取得の方法は、以下の2つがあります。
取得費用は、上記のどの方法を選ぶのか、また所持している免許によって教習の時限数と費用が異なります。
たとえば普通自動車免許(AT車)を持っている人が、指定自動車教習所に通って中型免許を取得する場合は、プランにもよりますが25万円程度です。
また、運転免許試験場で受験する場合の費用は東京都の場合、手数料8,650円(受験料4,100円、試験車使用料2,500円、免許証交付料2,050円)、取得時講習受講料22,000円、合わせて30,650円が必要です。
参照:警視庁 ウェブサイト、拝島自動車教習所、埼北自動車学校、レインボーモータースクール 和光ウェブサイト
2023年10月執筆現在
中型免許は、19歳以上で普通免許等を取得後1年以上の運転経験があれば、特例教習を受けることにより受験できます。大型免許も同様です。
2007年6月1 日以前に取得した普通免許では、8t未満の車を運転できました。
そのため、2007年6月2日に中型免許(中型自動車免許)が新設された際、法改正以前の普通免許取得者に対しては「8t限定中型免許」という区分を設け、車両総重量8t未満の車であれば運転ができるようにしました。
8t限定中型免許で運転できるのは、車両総重量8t未満、最大積載量5t未満、乗車定員10人以下の車両です。
8t限定中型免許を持っている人は、教習所で講習後、限定解除審査を受けるか、運転免許試験場で一発試験を受けて合格すれば、8t限定を解除され、中型免許となります。
中型免許と普通免許の中間に位置する免許が、2017年に新設された準中型免許です。
若年者の雇用促進と、貨物自動車による交通死亡事故の削減を目的に制定されました。
それまで5tを超えるトラックの運転には中型免許が必要でしたが、中型免許の取得には、20歳以上で免許の保有期間が2年以上という条件がありました(現在は、受験資格特例講習を受けた19歳以上、普通免許等保有1年以上あれば受験が可能)。
そのため、たとえば18歳でトラックドライバーを希望しても、年齢などから条件を満たしておらず、働くことができなかったのです。
この問題を受け、準中型免許では18歳でも、車両総重量7.5t未満までのコンビニなどの配送車、単身や二人世帯程度の引越し用トラック、クール宅急便など保冷設備のあるトラックなどを運転できるようになっています。
中型免許 | 準中型免許 | |
---|---|---|
車両総重量 | 7.5t以上11t未満 | 3.5t以上7.5t未満 |
最大積載量 | 4.5t以上6.5t未満 | 2t以上4.5t未満 |
準中型免許の取得条件において、中型免許と異なるのは以下となります。
年齢 | 18歳以上 |
---|---|
免許経歴 | 特になし |
聴力 | 両耳の聴力(補聴器により補われた聴力を含む)が10mの距離で、90dBの警音器の音が聞こえること。ただし、この条件に該当しない方でも、特定後写鏡などを取り付ける、聴覚障害者標識を表示することを条件に、準中型免許を取得することができる。 |
視力、深視力、色彩識別能力、運動能力は中型免許と同じ基準です。
中型自動車免許取得には2年以上の運転経歴が必要ですが、運転経験がない人も18歳以上であれば、準中型自動車免許を取得することができます。
2017年3月11日以前に取得した普通免許は、改正後は「5t限定準中型免許」となり、車両総重量5t未満および最大積載量3t未満の準中型自動車の運転ができます。
5t限定準中型免許では運転できる自動車が限定されてしまいますが、5t限定は解除することも可能です。限定解除をすれば、運転できる車の範囲が広がります。
指定自動車教習所で技能教習を受ける、または運転免許センターで限定解除審査を受けて解除する方法があります。
中型免許(中型自動車免許)や大型免許を取得すれば、乗車定員が11人以上のマイクロバスや大型バスも運転できますが、乗客を乗せて運行するには第二種運転免許(中型二種免許・大型二種免許)が必要です。これはさらにハードルが上がる運転免許ですね。
免許区分が細分化されたことによって複雑になっている中型自動車、準中型自動車についてご説明してきました。
中型免許(中型自動車免許)は、車両総重量7.5t以上11t未満の車両が運転できる免許です。
また、準中型免許は車両総重量3.5t以上7.5未満の車両を運転できます。
中型免許の正式名称は「中型自動車免許」、準中型免許の正式名称は「準中型自動車免許」です。履歴書にはこの正式名称を書くようにしましょう。
8t限定中型免許や5t限定準中型免許を持っている人は限定解除審査に合格すれば、限定解除することができます。
※記載の情報は、2023年10月13日時点の内容です。
1965年生まれ。芝浦工業大学工学部機械工学科卒。トヨタ直営販社の営業マン、輸入車専門誌の編集者を経て自動車ジャーナリストとして独立。さまざまな自動車雑誌の他、エンジニア向けのウェブメディアなどに寄稿している。
近著に『電気自動車用パワーユニットの必須知識』(日刊工業新聞社)、『エコカー技術の最前線』(SBクリエイティブ)、『図解カーメカニズム基礎講座パワートレーン編』(日経BP社)がある。
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員
※本記事の内容は特段の記載がない限り、チューリッヒの保険商品ではなく、一般的な保険商品の説明です。
※チューリッヒの自動車保険に関する内容について
本記事内で紹介しているチューリッヒの自動車保険に関する内容につきましては、ご契約の保険始期および契約条件によって、ご契約のお客さまに適用されない場合がございます。
必ずお客さまの保険証券、約款、重要事項説明書の記載などをご確認ください。
インターネットから申し込むと、
初年度最大21,000円割引