スパイクタイヤは雪道や凍結路でも安定した走行ができ、かつては冬用タイヤの代名詞ともいわれていました。
しかしスパイクタイヤによる環境汚染が問題となり、スパイクタイヤの使用を制限する法律も施行され、今ではスタッドレスタイヤが冬用タイヤの主流となっています。
本記事では、スパイクタイヤの特徴からスタッドレスタイヤとの違い、スパイクタイヤが規制された理由や規制内容などについてご説明します。
スパイクタイヤは、タイヤのトレッド面の金属製のピンを打ち込んだタイヤのことです。
タイヤに打ち込んだピンにより、雪道や凍結路でも滑らずに安定して走行することができます。
タイヤチェーンと違い、着脱の必要もないので、かつては積雪寒冷地域を中心に冬期の主流な常用タイヤでした。
スパイクタイヤに代わって、積雪寒冷地の冬用タイヤとして一般的に使用されるようになったのがスタッドレスタイヤです。
スパイクタイヤが、タイヤに打ち込んだピンにより雪道や凍結路でも安定した走行ができるのに対し、スタッドレスタイヤは、柔らかいゴムが低温の道路でも路面に密着することで雪道や凍結路でも安定した走行が可能となっています。
スパイクタイヤは、ピンがアスファルトの路面を削ることで粉塵を巻き上げるなど環境面で大きな欠点を持っています。
一方、スタッドレスタイヤはピンを打ち込んでいないので、環境問題を引き起こすこともありません。
こうしたことから、今では積雪寒冷地の冬用タイヤの主流となっているのです。
積雪寒冷地の冬用タイヤの主流であったスパイクタイヤですが、路面が乾くとタイヤに打ち込んだピンが、道路のアスファルトを削るため粉塵公害の原因となってしまいました。
仙台市では、スパイクタイヤによる粉塵が街中に舞う「仙台砂漠」が社会問題になり、多くの人が外ではマスクをつけたといいます。
こうしたことから国は「スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律」を1990年に公布し、禁止規定も1991年4月1日に施行されました。
同時に国内大手タイヤメーカーも1990年でスパイクタイヤの製造を中止し、1991年3月をもってスパイクタイヤの販売も中止しています。
大手タイヤメーカーがスパイクタイヤの製造を中止するなど、一般的にほとんど使用されなくなったスパイクタイヤですが、「スパイクタイヤ 粉じんの発生の防止に関する法律」では、スパイクタイヤの使用を全面的に禁止しているわけではありません。
「スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律」第7条では、指定地域内の道路が積雪や凍結状態にない場合に、スパイクタイヤを使用することが禁止されています。
また、消防自動車や救急自動車など、政令で認められている車両に関しては禁止規定の対象から外れており、どのような状態においてもスパイクタイヤを装着してもよいことになっています。
上記の通り、スパイクタイヤは、指定地域内では積雪や凍結がない道路で使用してはいけません。
指定地域に関しては「スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律」で以下の通り規定しています。
第五条 環境大臣は、住居が集合している地域その他の地域であって、スパイクタイヤ粉じんの発生を防止することにより住民の健康を保護するとともに生活環境を保全することが特に必要であるものを、指定地域として指定しなければならない。
2 都道府県知事は、前項の指定地域(以下「指定地域」という。)の要件に該当すると認められる一定の地域があるときは、同項の指定について、環境大臣に対し、その旨の申出をすることができる。
スパイクタイヤ規制の指定地域は、北海道や東北地方、北陸地方など雪の多い地方の他山梨県、長野県、岐阜県、鳥取県、島根県などさまざまな地域で指定されています。
地域名 | スパイクタイヤ 使用規制期間 | スパイクタイヤ 使用抑制期間 |
---|---|---|
道央・道南地域 | 4月1日から 11月20日まで | 11月21日から 翌年3月31日まで |
道北地域 | 4月10日から 11月10日まで | 11月11日から 翌年4月9日まで |
道東地域 | 4月10日から 11月20日まで | 11月21日から 翌年4月9日まで |
「スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律」に違反した場合の罰則は
罰金:10万円以下
になります。
※2020年5月執筆現在
スパイクタイヤは、指定地域内の雪道や凍結道路では使用できますが、走行中雪道や凍結道路がなくなると法律違反になります。
環境保全や地域住民の健康のためにも、スパイクタイヤの使用は控え、スタッドレスタイヤを使用すべきといえるでしょう。
スパイクタイヤは、アスファルトの粉塵が社会問題となり、今では法律で定められた指定地域の雪や凍結のない道路での使用は禁止されています。
しかし、指定地域内の雪道や凍結道路では使用できるなど、スパイクタイヤの使用は全面的に禁止されているわけではありません。
指定地域以外では、スタッドレスタイヤを使用することが、環境保全や健康のためにも役立ちます。
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※記載の情報は、2020年5月時点の内容です。
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