べーパーロック現象をペーパーロック現象と覚えている人がいますが、それは間違いです。べーパーロック現象のべーパーとは英語のvaporで「蒸気」という意味です。つまり蒸気によって制動力の伝達がlock「阻害される」ということをさしています。車のブレーキが効かなくなるべーパーロック現象、同じようにブレーキの効きが悪くなるフェード現象についても解説します。
まずはブレーキのしくみについて簡単にご説明しましょう。車のブレーキでもっとも一般的なのが油圧式ブレーキです。
油圧式ブレーキは、ドライバーがブレーキペダルを踏んだ力が、ブレーキフルードという液体で満たされた配管を通って伝わり、ブレーキ内のピストンを押します。そして摩擦材であるブレーキパッドを押し、押されたブレーキパッドがディスクローターを両側からはさみこんで(ディスクブレーキの場合)ブレーキ力を得るしくみです。
坂道を下るときなどフットブレーキを使いすぎると、その摩擦熱がブレーキフルード(ブレーキ液)に伝わって、ブレーキフルードが沸騰し、気泡が発生します。気泡が発生すると、ブレーキペダルによって発生した油圧がブレーキフルードに伝わらず、ブレーキが効かなくなってしまうのです。
これをベーパーロック現象といいます。
このようにブレーキフルードはブレーキペダルからの油圧をブレーキ装置に伝える大切な液体です。
ボンネットを開けると、ブレーキフルードはリザーバタンクに入っており、容易に確認することができるので、液量と液の色をチェックしましょう。
劣化するにつれ、液の色が、正常な飴色から茶色がかった色に変わっていきます。2年に1回程度の交換が望ましいようです。
フェード現象も下り坂などでフットブレーキを使いすぎると、走行中にブレーキが効かなくなる現象です。ブレーキが効かなくなるという点ではベーパーロック現象と同じですが、ブレーキが効かなくなる原因が異なります。
フットブレーキを使いすぎるとブレーキパッドが非常に高熱になり、摩擦材の熱分解で発生したガス膜がブレーキローターの間にはさまることで摩擦力が減り、ブレーキの効きが悪くなるのがフェード現象です。
2013年に大分県で起きた大型観光バスの路外転落事故は、フットブレーキの多用によりフェード現象が起き、ブレーキが過熱して効かなくなったことが原因と警察は判断しました。
つまり
フェード現象は摩擦材が要因
べーパーロック現象はブレーキフルードが要因
ということになります。
長い下り坂に入る前には低速ギアにして、しっかり減速しておきましょう。そして走行中はエンジンブレーキを多用するようにしましょう。
ブレーキフルードは交換を怠ると、経年劣化で空気中の水分を吸収するため、沸点が下がってしまい、ベーパーロック現象を起こす確率が上がってしまいます。ブレーキフルードの劣化に注意を払いましょう。
べーパーロック現象、フェード現象、どちらもフットブレーキを多用することで起こることがおわかりいただけたと思います。
車を運転するうえで、フットブレーキ操作は欠かせないものですが、長い下り坂ではエンジンブレーキを効果的に使うように心がけましょう。
安全、確実に車を停めるブレーキ(制動力)が効かなくなるということは、命に直結します。ブレーキフルードの点検など日ごろの点検も怠らないようにしましょう。
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