車のノッキングとはどういう現象で、車にどのような影響を与えるのでしょうか。車のノッキングの原因と対策についてご説明します。
ゆっくりと車を走らせている途中で、アクセルぺダルを踏み込み、急加速すると、エンジンから、「カラカラ」もしくは「カリカリ」という音がしたことはないでしょうか。
あるいはエンジンがしゃっくりを起こしたように、大きな揺れを起こすこともあります。この状態を「ノッキング」といいます。ピストン頂部を衝撃波が叩いている状態なので、こう呼ばれています。
ノッキングは、どのようにして起こるのでしょうか。ガソリンエンジンの燃焼機関では、4つの作動行程(1.吸入→2.圧縮→3.燃焼(膨張)→4.排気)が行われています。
ノッキングは、ガソリンエンジンが異常燃焼している状態です。
ノッキングは一般的に、
場合に起きやすいといわれています。
日本のガソリンの品質はとても高く、通常であればノッキングを起こす原因とはなりません。
ガソリンはオクタン価の数値によって、ハイオクかレギュラーか区別されてます。
オクタン価とは、走行中にガソリンのノッキング現象(異常燃焼などでエンジンの動きがぎくしゃくしたり、金属音がする現象のこと)を起こしにくくすることを示す指数のことです。オクタン価が高ければ高いほど、そのガソリンはノッキングを起こしにくくなります。
日本工業規格(JIS)によると、オクタン価96以上のものがハイオク、オクタン価89以上のものがレギュラーです。レギュラーよりもオクタン価が高いハイオクは異常燃焼しにくく、ノッキングを起こしにくいといわれています。
上り坂などの加速で「カリカリ」と聞こえるノッキングは軽い症状なので、アクセルを少し緩めると収まる場合が大半です。ただし、ひどいノッキングが続くと、エンジン破損の原因にもなりかねません。また、ヘッドガスケットの吹き抜けなどにも支障を及ぼすといったトラブルを起こすこともあります。
ノッキングを起こさないようにするには、どのようにすればよいのでしょうか。ノッキングを防ぐ対策方法を、いくつかご説明します。
まずは車を加速させたときに、エンジンルームから「カラカラ」や「カリカリ」という音がしていないかどうか、注意深く聴いてみましょう。
エンジンに負荷がかかりやすい上り坂の状態では、特にノッキングを起こしやすいので気がつく場合があります。
エンジン音を意識していれば、ふと異音を感じることもあるかもしれません。
また、点火プラグ(スパークプラグ)の点検も大切です。ガソリンエンジンは点火プラグに高圧電流を流し、先端の電極間で生じる火花によって混合気に着火しています。
この火花を発生させる部分を電極といいますが、電極は燃焼時には高圧高温下にさらされ、放電による衝撃によって、少しずつ消耗していきます。こうした電極の摩耗でも、ノッキングが起こることがあります。
プラグを外して点検し、もし摩耗している場合は、直ちに点火プラグを交換しましょう。
参考元:『オールカラー版 クルマのメンテナンス』(ナツメ社)
エンジンの燃焼室に堆積したカーボン(すす状の燃えカス)が原因で、ノッキングが起きることがあります。たとえばピストンにカーボンがついていると、それが燃焼ガスによって高温の火種になり、混合気を異常燃焼させる原因となるからです。
近所の買い物など、短時間の走行ばかりを繰り返していると、燃焼室にカーボンなどが堆積しやすくなります。ときどき高速道路を走らせるなど、良好な燃焼状態を続けることおすすめします。
他にもノッキングの原因については、さまざまな要因があります。複合的な理由から起きている場合もあるため、まずは専門家に相談しましょう。
エンジンが壊れるほどのノッキングが起きそうになったら、クルマには自動的に回避する機能が備わっています。また電子制御となった現代の車には、ノックセンサがついていることがあります。ところで、ノックセンサとは、どのようなものでしょうか。
その名の通り、ノッキングの発生を感知する部品です。
ノッキングが起こるとエンジンには特定の周波数の振動が発生します。シリンダーブロックに取り付けられたノックセンサはそれを検知し、信号をエンジンを制御するコンピュータに送ります。するとノッキングが発生しないようコンピュータは、スパークプラグの点火のタイミングを調整します。
補足ですが、エンジンの主要パーツについてもご説明します。
円筒型のシリンダー内部にある、エンジン部品です。
燃焼室の底部にあって、上下動することで吸排気と圧縮を行います。
ガソリンと空気の混合気を爆発させ、その燃焼圧を受け止めます。
ピストンの上下運動を回転運動にして、変速機へと駆動力として伝える軸です。
エンジンが発生する力をすべて受け止めて伝えるため、非常に頑強につくられているエンジンの能力の大半を左右する部品です。
ピストンとクランクシャフトを連結して、上下運動を回転運動へと変換する部品です。
シリンダーブロック内にある円筒で、内部はピストンが上下運動する空間です。
ここでガソリンと空気が一気に燃焼されることで、車の駆動力になります。
燃焼室上部に備わっている開閉弁です。
吸気行程では吸気バルブが開き、燃焼室に混合気(直噴エンジンの場合は空気のみ)を取り入れます。
排気行程では排気バルブが開いて、燃焼したガスをエンジンの外に排出します。
ガソリンと空気を混ぜた混合気を、着火させる役割を担っている部品です。
点火プラグとも呼ばれています。
シリンダーヘッドとシリンダーブロックの間に挟む、自動車部品です。燃焼室を密閉し、エンジン内部を循環します。エンジンオイル・冷却水が、漏れないようにする役割を果たしています。
これらのエンジンの主要パーツが、どのように作動しているのでしょうか。
最後に、4サイクルにわたるガソリンエンジンのしくみについてもご説明します。自動車が走行するための動力を生み出しているのが、エンジンです。
エンジンは燃料と空気を混ぜて圧縮することで、一気に燃焼させて膨張させます。その熱エネルギーで、動力を生み出しているのです。
4つの作動行程(1.吸入→2.圧縮→3.燃焼(膨張)→4.排気)が行われています。
クランクシャフトが回転することで、ピストンが下降をはじめます。
空気を取り込む吸気バルブが開き、空気とガソリンの混合気(直噴エンジンの場合は空気のみ)をシリンダー内に吸い込んでいきます。
さらにクランクシャフトが回転します。
すると、下降していたピストンが上昇しはじめます。それと同時期に吸気バルブが閉まり、混合気が圧縮されていきます。直噴エンジンの場合は空気だけを圧縮し、ピストンが上がり切る前に燃焼室にガソリンを噴射します。
ピストンが最上部に達した頃、シリンダー上部にあるスパークプラグに高圧電流を流すことで火花が飛び、圧縮された混合気に着火します。
これによって混合気は一気に燃焼して膨張し、ピストンを押し下げます。
ピストンが再び上昇する行程になると排気バルブが開き、燃焼ガスを排出します。
空気の流れや燃焼には、時間が必要です。吸排気バルブの開閉するタイミングやスパークプラグの点火タイミングは、エンジンの回転数によって調整されています。
回転数が上昇するほど、すべて早めに動作させているのです。
ところが、本来の運転環境と異なる条件が加わると、正しい燃焼状態とは異なる燃焼が起こる可能性が生じます。正しいタイミングで燃焼が起こり、各気筒のピストンを順番に押し下げることで、エンジンは滑らかに回転しています。
しかしコンピュータが制御するタイミングとは違うところで混合気が燃焼しはじめてしまうと、各気筒のバランスが狂いピストンやコンロッド、クランクシャフトなどに大きな力がかかります。
最近は自動車エンジンの制御も進み、ノッキングが起きにくくなっています。しかし異音がするなどのエンジンの異常に気づいたら、すぐに整備工場で点検してもらうことが肝心です。
もちろん、定期点検は必ず、行うようにしましょう。
定期点検によりノックセンサの不良やコンピュータの不具合に気づくこともあります。
最後に、車を所有されている方は、チューリッヒの自動車保険をご検討ください。
万が一の車の事故・故障・トラブルに備えておくと安心です。
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