更新日:2023年12月28日
公開日:2020年9月5日
バイクの免許は16歳(大型二輪は18歳)から取得することができ、通勤・通学の移動手段としてもツーリングなどの趣味としても愛用される乗り物です。しかし、バイク乗車中の事故は自動車乗車中の事故より致死率が高いことからわかるように、ひとたび事故を起こすと乗員の生命が脅かされます。
バイク・原付の事故と事故率、事故の原因や死亡事故の危険性についてご説明します。バイク・原付の事故の被害を軽減する方法などもご説明します。
軽快な動きと開放感が得られ、便利な移動手段であるバイクですが、身体がむき出しの状態で運転するため、ちょっとした不注意や自分本意な運転などが原因で、車や建物などと衝突、あるいは転倒すると死亡事故に繋がってしまうおそれがあります。
バイク(自動二輪車・原付)乗車中と自動車乗車中の死傷者数を警察庁の統計から見てみましょう。
状態別事故の死傷者数と致死率 | |||||
---|---|---|---|---|---|
状態別 | 死者数 | 重傷者 | 軽傷者 | 死傷者 | 致死率※1 |
自動車乗車中 | 870人 | 6,631人 | 205,877人 | 213,378人 | 0.41% |
自動二輪車乗車中 125cc超 |
343人 | 3,780人 | 18,790人 | 22,913人 | 1.50% |
原付乗車中 125cc以下 |
92人 | 2,618人 | 13,322人 | 16,032人 | 0.57% |
上記の表でわかるように自動車乗車中の致死率が0.41%であるのに対し、自動二輪車乗車中の致死率は1.5%、原付乗車中の致死率は0.57%であり、バイク事故の危険性が浮き彫りになっています。
交通事故全体での車の乗員とバイクの乗員では死傷者数の割合がそもそも異なります。車はバイクと比べて衝突安全性が高い乗り物です。バイクは身体が剥き出しなので、運転されるライダーの皆さん、本当に安全運転でバイクを楽しんでください。
2022年の全国のバイク事故での死傷者の損傷主部位の1位が頭部37.7%、2位が胸部27.6%と全体の約65%が頭部と胸部になっています。
2022年東京都(警視庁)の統計でも1位が頭部45.0%、2位が胸部25.0%と全体の70%が頭部・胸部となっています。そして死亡事故の27.5%で事故の際に頭からヘルメットが外れていたと報告されています。
頭部と胸部にダメージを受けるとケガでは済まず、死亡率が高くなることがわかります。
事故被害の軽減のため、安全基準に適合したヘルメットのあごひもをしっかり締め、確実に被るのはもちろん、胸部・腹部を守るプロテクターを着用するようにしましょう。
プロテクターの着用は、ヘルメットとは異なり義務化されていませんが、万が一の事故の際に衝撃から身体を守ってくれます。
胸部への衝撃による死亡事故が多いことから、プロテクターの効果を高めるエアバッグもさまざまなメーカーから販売されています。プロテクターを着用することによって窮屈な思いをするのでは、と導入をためらっている方もいるでしょう。しかし年々、フィット感や機能が改善されているので、時々最新の商品などをチェックすることをおすすめします。
バイクの死亡事故で多いのが単独事故で、スピードの出し過ぎが主な原因です。見通しのよい直線道路はスピードオーバーになりがちです。またカーブを曲がりきれずに工作物や対向車に衝突する事故も起きています。スピードの出し過ぎに注意し、カーブの手前ではしっかり減速しましょう。
交差点を直進するバイクと対向車線から右折する車が衝突する右直事故も多いです。直進車であるバイクが優先ですが、車のドライバーが車体の小さいバイクの存在に気づいていない、バイクのスピードを遅く見積るということもあります。
右折待ちの車がいるときは、急に右折してくるかもしれないという意識を持って運転をしましょう。また、交差点で直進するときは、対向車が右折待ちをしていなくても速度を控え、すぐにブレーキをかけられる状態で走行しましょう。
特に信号のない交差点では衝突事故が発生しやすいです。交差点では、自分のほうが優先道路であっても、徐行や一時停止を徹底し、左右の安全を確認してから進行しましょう。
その他夏から秋にかけての気候のよい行楽期は、二輪車の交通重大事故が多発するというデータもあります。
事故が起きると重大な被害につながりやすいのがバイクです。バイクの特性を知って危険を回避するようにしましょう。
バイクは路面の変化を受けやすいため目前の路面に視線を向けやすく、また頭部を守るヘルメットにより視界の妨げがあり、四輪車の運転に比べて視界は狭く、周囲の安全を確認する時間が短くなりがちです。
車に比べ車体が小さく小回りが利くバイクは車の陰や死角に入ることが多く、車からは見落とされやすく、事故につながってしまいます。
すり抜けて直進するバイクを左折車が巻き込む事故、交差点を直進するバイクと対向車線から右折する車が衝突する右直事故、いずれも車のドライバーが車体の小さいバイクの存在に気づいていない、バイクのスピードを遅く見積るなどが原因です。
車体が小さく小回りの利くバイクは、車から見落とされやすい存在であることを常に意識し、急な進路変更など自分本位の運転をしないことが大切です。
移動手段として便利なバイクも、ひとたび事故を起こすと重大な事故につながることをご説明しました。
事故の際、強制保険といわれる自賠責保険だけでは十分な補償は得られません。
自賠責保険がカバーするのは、事故の「相手方のケガ・死亡」に対する補償のみで、相手側のバイクや車、自分のケガ、自分のバイクなどの補償は含まれません。
相手方への補償 | 自分への補償 | その他 | ||||
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ケガ・死亡 | 車両・モノ | ケガ・死亡 | 車・モノ | 弁護士費用特約 | ロードサービス | |
自賠責保険 | ○※ | × | × | × | × | × |
任意保険 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
※自賠責保険は、被害者の救済を目的とした保険のため、他人をケガさせたり、死亡させたりした場合の対人賠償のみの補償です。
傷害の場合は120万円、死亡の場合は3,000万円、事故後に後遺障害が残った場合は、障害の程度に応じて75万円〜3,000万円が限度額であり、最低限の補償となっています。(神経系統などに著しい障害を残して常時介護が必要な場合は最高4,000万円まで)
自賠責保険の限度額を超えた損害賠償や自分自身のケガなど万が一のバイク事故に備えて任意保険に加入しておくとよいでしょう。
自動車乗車中と比べてバイク(二輪車、原付含む)乗車中の事故は致死率が高いことが特徴です。
身体をむき出しにして乗車するバイクは、事故が起きた時に、頭部や胸部に衝撃を受けやすいため、ヘルメットのあごひもをしっかりしめ、胸部プロテクターなどでしっかり自分の身体を守りましょう。
また、単独事故や事故の相手側が任意保険に加入していなかった場合などに備えて、バイクの任意保険に加入しておくことをおすすめします。
バイクの特性やバイク事故が起こりやすい場面を理解して、安全運転を心掛けてください。
※記載の情報は、2023年10月24日時点の内容です。
1965年生まれ。芝浦工業大学工学部機械工学科卒。トヨタ直営販社の営業マン、輸入車専門誌の編集者を経て自動車ジャーナリストとして独立。さまざまな自動車雑誌の他、エンジニア向けのウェブメディアなどに寄稿している。
近著に『電気自動車用パワーユニットの必須知識』(日刊工業新聞社)、『エコカー技術の最前線』(SBクリエイティブ)、『図解カーメカニズム基礎講座パワートレーン編』(日経BP社)がある。
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員
※本記事の内容は特段の記載がない限り、チューリッヒの保険商品ではなく、一般的な保険商品の説明です。
※チューリッヒのバイク保険に関する内容について
本記事内で紹介しているチューリッヒのバイク保険に関する内容につきましては、ご契約の保険始期および契約条件によって、ご契約のお客さまに適用されない場合がございます。
必ずお客さまの保険証券、約款、重要事項説明書の記載などをご確認ください。
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