赤信号や渋滞など、車列ができている状態のなか、バイクがすいすいと車と車の間をすり抜けていくのを目にすることがあります。バイクのライダーにとっては早く車列を抜けることができますが、事故の原因にもなり危険です。バイクのすり抜け走行とはどのような行為なのか、その危険性や法律違反の可否、事故例などについてご説明します。
バイクのすり抜けとは、原付を含むバイクが赤信号や渋滞などにより停車、もしくは低速で走行している車の間をすり抜けて追い抜く行為のことをいいます。
原付やバイクは、乗用車やトラックなど4輪車に比べて車体や車幅が小さいため、同一車線内で4輪車の脇を通ることが可能になります。このため赤信号や渋滞時、すり抜け走行を行うバイクが原付を含めて少なくないのです。
すり抜け走行をするバイクは、周囲の自動車などからは死角となることが多いため、事故の危険性を高める可能性があります。たとえば自動車などが左折しようとしたとき、すり抜け走行で左サイドの隙間にバイクが入ってきた場合、自動車の運転手はバイクに気付かず巻き込み事故が起こることが考えられます。
また対向車から進路を譲られ、右折しようとした際、対向車の間をすり抜けて出てきたバイクと衝突する事故なども考えられます。その他にも、停車中の乗用車やトラックの間をすり抜けていくとき、
という可能性も高まります。このように、すり抜け走行は周囲の車にとっても、すり抜けるバイクにとっても危険な行為です。
警視庁によると、2023年の東京都内の交通事故の死亡者数は136人でした。
そのうち原付を含むバイクによる交通事故死者数は、44人で全体の32.4%です。
4輪車の交通事故死亡者数が5人ですので、東京都におけるバイクの交通事故死亡者は4輪車の交通事故死亡者の約9倍にもなっています。
東京都内死者数 | 東京都内構成率 | |
---|---|---|
二輪車 | 44人 | 32.4% |
四輪車 | 5人 | 3.7% |
自転車 | 32人 | 23.5% |
歩行者 | 55人 | 40.4% |
合計 | 136人 | 100% |
2015年大阪府吹田市内の国道423号を走っていたバイクが、タンクローリーの左側を後方からすり抜けようとしてタンクローリーに接触。
そのはずみで転倒し、全身を強く打ち死亡が確認される事故がありました。
すり抜け走行が、非常に危険だということがわかります。
バイクのすり抜け走行は、他車と接触して転倒したり、または死亡事故につながるとても危険な行為です。
このため、すり抜け走行は道路交通法などの法律で禁止されているのかと思われますが、実はバイクのすり抜け走行を直接禁止する規定はありません。
バイクのすり抜け走行を直接禁止する規定はありませんが、警察官により以下に該当すると判断された場合は法律違反になります。
車両は前の車を追い越すときは、原則右側走行することが道路交通法により定められています。
道路交通法第28条(追越しの方法)
バイクの場合、右側の車線にはみ出ないで走行可能なため、違反の対象となる追い越しに該当しないことが多いですが、渋滞中の自動車の左側からすり抜け走行で追い越したり、自動車と自動車の間を縫って走ったりした場合は道路交通法違反になります。
信号停止している車列の先頭に、すり抜け走行で追いついた場合も注意が必要です。
先頭車と停止線の間に入ると割り込み行為となり、道路交通法違反に問われます。
道路交通法第32条(割込み等の禁止)
また信号停止している車列の先頭に出て停止線を越えてしまった場合は、道路交通法施行令違反、わかりやすくいえば信号無視に問われてしまいます。
道路交通法施行令第2条(信号の意味等)
大型連休期間など高速道路では数十kmにもなる渋滞が発生し、低速のノロノロ運転を長時間強いられることがあります。
ノロノロ運転は、バイクのライダーにとって肉体的にも精神的にも過度な疲労がかかるなど、安全に走行することが難しくなることもあります。
このような場合は細心の注意を払いながら、渋滞の列を抜け、最寄りのサービスエリアやパーキングエリアに入り、渋滞が解消されるまで休憩するようにしましょう。
前述のとおり、すり抜け走行自体を直接禁止する法律はありません。
しかし、バイクのすり抜け走行は他車とのトラブルの原因や重大な交通事故をひきおこす原因にもなります。
安全のために、バイクのすり抜け走行は行わないようにしましょう。
最後に、バイクを所有されている方は、チューリッヒのバイク保険をぜひご検討ください。
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※記載の情報は、2024年5月時点の内容です。
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